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母の子守唄、星になったお母さんへ  作者: エリナ
第5章
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隠された血の真実

義父が病に倒れたのは、トムが五歳になった秋のことだった。


「エリナ、ダビド、来てくれ」


弱々しい声に呼ばれて、私たちは枯葉のように痩せ細った義父のベッドサイドに座った。


「もう長くない。その前に…どうしても話しておかなければならないことがある」


義父の表情には、深い苦悩が刻まれていた。何かとても重大なことを隠し続けていたのだろう。


「実は…お前たちは…」


義父は震える手で額の汗を拭った。


「お前たちは、異父兄妹なのだ」


最初、言葉の意味が理解できなかった。異父兄妹?私とダビドが?


「何を言っているんですか」


ダビドの声が裏返った。


「エリナの父親は、山賊に殺されたのではない。あの人は…この村を出て、隣村で新しい家庭を築いた。その時に生まれたのがダビドなのだ」


頭の中が真っ白になった。私の父が生きていた?しかも…ダビドの父親?


「そんな…嘘でしょう?」


「嘘であってほしかった。だが、これは紛れもない事実だ。お前の母エレナは、その真実を知って絶望し、それで本当に山賊に殺されてしまった」


義父の話によると、私の父は借金に追われてこの村を去り、隣村で身分を偽って新しい人生を始めたのだという。母は一人で私を育てながら、父の帰りを待っていた。そして父の裏切りを知った時、絶望のあまり危険な山道を通って隣村に向かい、そこで山賊に襲われたのだと。


「許してくれ…ずっと黙っていた。でも、お前たちがあまりにも愛し合っているのを見て…どう言えばいいのかわからなくて…」


義父は涙を流していた。


私は立ち上がることもできなかった。ダビドも蒼白な顔で座り込んでいる。


私たちは兄妹だった。血のつながった兄妹が、愛し合い、結婚し、子供まで作ってしまった。


「リナとトムは…」


私の声は震えていた。


「この子たちは、どうなるの」


「子供たちに罪はない」


義父は弱い声で言った。


「でも…これが世間に知られれば…」


その夜、ダビドと私は一睡もできなかった。二人とも言葉を失い、ただ暗闇を見つめていた。


愛していることに変わりはない。でも私たちは血を分けた兄妹だった。こんな関係でいいのだろうか。リナとトムは、近親結婚の子供として生まれてしまった。


「エリナ」


ダビドが初めて口を開いた。


「僕は…君を愛している。それだけは変わらない」


「私も」


涙がこぼれた。


「でも…どうしたらいいの?」


「わからない。でも、子供たちは守らなければ。この子たちに罪はない」


そうだった。リナとトム。この子たちは何も知らずに、純粋に私たちを愛してくれている。この子たちの幸せを守ることが、今の私にできる唯一のこと。


翌朝、義父は息を引き取った。私たちは重い秘密を抱えたまま、普通の夫婦として生活を続けることにした。


他に道はなかった。今更別れることもできないし、子供たちから両親を奪うこともできない。


でも時々、リナとトムの寝顔を見ていると不安になった。この子たちが大きくなって真実を知ったら、どんな気持ちになるだろう。私たちを恨むだろうか。


「お母さん、どうして泣いてるの?」


七歳になったリナが心配そうに尋ねた。


「何でもないのよ。ちょっと悲しい本を読んでいただけ」


嘘をつくのは辛かった。でも、この子にはまだ重すぎる真実だった。


せめて、この子たちには精一杯の愛を注ごう。どんな出生であろうと、この子たちは私の大切な宝物。血のつながりがどうであれ、愛情に偽りはない。


夕暮れ時、家族四人で夕食を囲みながら、私は心に誓った。


この秘密は私たちの胸にしまって、子供たちには普通の幸せな家族として記憶されるようにしよう。それが、今の私にできる精一杯の母親としての愛情だった。

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