村の小さなヒーロー
夏の暑い日、川で遊んでいると、小さな女の子が川に落ちそうになっているのを見つけた。
「危ない!」
私は慌てて駆け寄った。女の子は川岸の石で滑って、今にも深い所に落ちそうになっている。
「手を出して!」
私は必死に手を伸ばした。女の子は泣きながら私の手を掴んだ。
「怖かった…怖かったよ」
女の子は私にしがみついて泣いていた。私よりも二つくらい小さい子だった。
「もう大丈夫よ。お姉ちゃんがついてるから」
私は女の子の背中を優しく撫でた。まるで昔、おばあちゃんが私にしてくれたみたいに。
「一人で川に来ちゃダメよ。危険だから、大人の人と一緒じゃないと」
女の子は小さくうなずいた。
「お名前は?」
「ミナ」
「ミナちゃんね。私はエリナよ。お家まで送ってあげる」
ミナちゃんの手を引いて、村の中を歩いた。小さな手が私の手をぎゅっと握っている。
「エリナお姉ちゃん、ありがとう」
ミナちゃんのお母さんにお礼を言われた時、胸がとても温かくなった。
「いえいえ、当然のことです」
家に帰って、おばあちゃんにその話をすると、おばあちゃんはとても嬉しそうに笑った。
「エリナちゃんは本当に優しい子ね。おてんばだけど、心はとても優しい」
「おばあちゃんに似たのかな」
「いいえ、エリナちゃん自身の優しさよ」
その夜、ベッドの中で考えた。私はおてんばで、よく失敗もするけれど、困っている人がいたら放っておけない。それは悪いことじゃないよね。




