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2無事帰還


只今、私は誘拐先より生家に戻り、玄関にて般若の形相のお祖父様にお出迎えされているんです。



もう半分泣いています。



「蝶子や、無事で何よりじゃ。」



お祖父様、お顔に沢山書いてあるように見えますが、見て見ぬふりしても宜しいで良いでしょうか?



「お祖父様、御心配お掛けしてすみませんでした。」



私は深々とお辞儀をしながらお祖父様に謝罪をした。



「取り敢えず家に入りなさい。話はあとで聞く。」



お祖父様はそう言うと、奥の部屋へ戻っていった。



ハァーーーーーー。と深い溜め息が漏れてしまったが、誘拐されていたので自分が今どんな酷い格好かわかっているから紅蓮に、



「取り敢えず、お風呂入ってからお祖父様の元へ伺うって伝えておいて。」



そう紅蓮に伝えて、自分の部屋へ足早に戻りお風呂に向かった。



私だって分かってる。お祖父様に心配をかけていること。



もう、この家にはお祖父様と、私しか血の繋がる者はいないのだ。



私は覚えていないが、小さい頃に両親ともに事故で亡くなったと、聴いている。



写真でしか両親を知らない私にはお祖父様しかいないのだ。



「親子不幸ならぬ、お祖父様不幸だわ!」



と、お風呂場で一人呟いてしまったが、



「お嬢、それがわかっているのなら、御館様にしっかり怒られて、今後この様な勝手な行動は慎んでください。」



ちょ!な、な、な、何で!



「紅蓮!!な、何でお風呂に、付いてきてるのよ!」



あり得ない!乙女の入浴中に、壁隔てて紅蓮が居るなんて思ってもいなかった。



「お嬢の替えの服と、御館様に伝言を伝えたことをお伝えするためです。」



然も何か問題が?見たいな問い掛けに、流石にブチッときた私は有ろうことか、バン!と、お風呂場の扉を開けてしまい自分の今の格好を忘れていたのだ。



はっ!開けた瞬間私は自分の格好を思い出す。



「ぎ!ギャーーーーーー!」



大声で叫び扉を閉めた。勢い良く占めた為物凄い音がしたがもう、其どころではなかった。



そして外から溜め息が聞こえたかと思ったら



「もう少し、女性らしく声を上げられた方がよろしいかと。」



何の感情も籠っていない声色で、伝えるだけ伝えて立ち去っていった。



私はと云うと、へにゃへにゃと床に座り込んで、何なのよ!乙女の入浴邪魔するし、人の裸見て、言うことはそれだけか!



確かに勝手に切れて、扉を開けたのも自分だし、悲鳴も可愛げは無かったかも知れないけど、うら若き乙女の裸見て何とも思わない紅蓮に更に怒りを向けたのだった。



もう、ゆっくりお風呂を楽しむ気分では失くなったので、お風呂からでて軽く髪を乾かし、お祖父様の元へ行こうと廊下へ出ると、そこには紅蓮が待っていた。



「随分、お早かったですね。」



誰のせいよ!誰の!心の中で物凄く毒づきながら



「お祖父様をあまり待たせても、悪いでしょう。行くわよ。」



と、顔に出さないように、足早にお祖父様の部屋へと向かった。



この家は、古くて、大きな屋敷なので、以外に時間がかかるのだ。お祖父様がいるのは奥の離れの奥座敷だから余計に長く感じる。



今この屋敷には、生きている人は、私とお祖父様、それと、紅蓮だけだが、生きている人って言うだけで、お祖父様が式神を使役しているので、お屋敷は以外に人が多く居るように見える。



これも小さい頃からの光景なので特に気にもならないが他の人が知ったら、異様な景色だろうなとは思っている。



「お祖父様、入っても宜しいでしょうか。」



入室許可を頂き部屋に入るまでのこの時間が私にはとても苦痛なのだが、それを後ろに控えている紅蓮に知られたくないので平気な顔をして居なくてはならない。



「ああ、入りなさい。」



ふうっと気持ちを落ち着けて部屋に入った。



 お祖父様のお部屋は何時来ても、時が止まっているかのような静寂さがあると思う。今は夕暮れ時で日差しが淡い朱色に染まった部屋に、普段から物静かなお祖父様がそこに居るだけでそこは異質な感じがする。



 「お祖父様、ご心配おかけして申し訳ございませんでした。」



 まずは先手を打たなければと、座るより前にお祖父様に謝ることにした。



  「ああ、話はまず座ってからだ。」



 そう言われ、素直にお祖父様の前に座った。



 「今回の事は其奴から話はある程度聞きはしたが、蝶子からも聞きたいと思う。」



 蝶子は、自分が学園からの帰りに、突然意識がなくなり気が付くと森にいたことをそのまま伝えた。(寄り道使用としたことは伝えないことにした。)



 それを後ろで聞いていた紅蓮が、はぁーと溜め息を吐いて何やら不穏な空気になりかけたとき。



 「お祖父様、今回はたまたま?こんなことになりましたが、私だってお祖父様の孫ですもの、自分の身位守ってみせます。」



 「守れなかったから、私がお迎えに行ったのですが?」



 キッと後ろの紅蓮を睨んでも、当人には全然効いてないのかフッと鼻で笑われた。



 「紅蓮が来なくても、大丈夫だったわ!多分きっと!」



 そう言うとお祖父様が、難しい顔をしていた。



「蝶子、今回は何事もなかったやもしれないが、これからは外出時、学校の登下校も全て紅蓮と共に行動をしなさい。」



 お祖父様がとんでもない事を言い出して、蝶子は慌てた。



 「な、お祖父様!何故ですか!今までそのような事言わなかったではないですか。」



「すまないね、これは当主として決定事項だ。暫くは、大人しくしていなさい。」



 お祖父様からの、こんな厳しい言葉は初めてだった蝶子は、内心で何故?と思いつつも、唯一の肉親ましてお祖父様の言葉は絶対だった。



 「ッ!、、、わかりました。」



 「では、今日は、下がりなさい。」



 小さく返事をしてお祖父様の部屋を出ようとしたとき、



「紅蓮にはまだ話があるから、残りなさい。」



 お祖父様にそう言われ一人大人しく部屋に戻ると、ベットに倒れ込んだ。



 「もう何で!何で一人で帰っちゃ駄目なのよ!」



 声に出し、1人ベットの上でバタバタと暴れ、一通り暴れ落ち着いてきたのでふぅと息をつき、もう今日は疲れ、何も考えたくない!寝よう!と意識を手放したのだった。



 同じ頃、お祖父様の部屋では



「やはり、蝶子を狙ってきたか。」



「はい、そのようです。あちらも焦っているようでなりふり構ってはいられなくなったようです。こちらを身につけておりました。」


そう言って御館様に紋章が入った木の装飾を差し出した。



 「あの子は、気が付いてはいないか?」



 「はい、今の所大丈夫だと。」



 「すまんな、そなたにはこれから、、、」



 紅蓮とお祖父様の話は1時間位で終わったようで、紅蓮は当主の部屋を出て、蝶子の部屋を訪れていた。



 静かに部屋に入ると、蝶子はベットで暴れたのだろうとわかりやすいぐらい乱れた上で寝ていた。



 紅蓮は、何時もの事のように一度蝶子を優しく抱き上げ印を結びベットの乱れを直し静かに蝶子を寝かせる。



 「お嬢は、安心して守られればいいんです。」



 そう小さく囁やき部屋を後にした。



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