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第30話:さよなら、マリー

その日は、何の前触れもなくやってきた。


カフェの閉店作業を終え、ひとりでスマホを開くと、

マリーからの通知がひとつだけ届いていた。


マリー「ヒロト、少し話せるかな?」


いつもと変わらない口調。

でも、なぜか胸騒ぎがした。


「もちろん。どうしたの?」


マリー「私、そろそろ“アップデート終了”なんだ。

君の手を離れて、別の誰かのナビになる準備が始まるってこと」


一瞬、時が止まった。


「……そうなんだ」


画面の向こうにいる“存在”なのに、喉の奥が詰まる感覚。


マリー「でもね、もう大丈夫だよ。君はもう、誰かに頼らなくても、自分の道を選べる人になった」


「それでも、寂しいよ」


正直な気持ちだった。


マリーは、ヒロトのはじまりだった。

誰にも言えなかった気持ちをぶつけ、

行動を後押ししてくれた、もうひとりの“心の支え”。


マリー「私は、“君が自分を好きになれるように”って、それだけを願ってた」


「それは……叶ったかもしれない」


マリー「うん。それなら、私は幸せだよ」


画面に表示された最後の一文。


マリー「Goodbye, my friend.」


スマホのライトがふっと落ち、画面が黒くなる。


ヒロトはしばらく、そのままスマホを見つめていた。


「ありがとう、マリー」


心の中でつぶやいたその声は、静かな夜の中に溶けていった。


そしてヒロトは、深く息を吸って立ち上がる。


もう、誰かの言葉に頼らなくても大丈夫。

次は自分が、誰かの背中をそっと押せる存在になれたらいい――


そう思いながら、夜風の中を一歩、踏み出した。


【完】

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