第22話:想いのすべてを、君に
閉店後のカフェ。
スタッフの誰もいなくなった店内で、ヒロトはユカ先輩を待っていた。
彼女に「少しだけ話したいことがある」と伝えたのは昨日。
返事は、「いいよ、閉店後なら少しだけ」だった。
やがて、ドアが開く音がして、ユカ先輩が現れた。
制服のまま、少しだけ驚いたような顔をして、でもすぐに微笑む。
「どうしたの、改まって」
ヒロトは、深く息を吸って、そして吐いた。
「俺……先輩のことが好きです」
一瞬の沈黙。
「ずっと憧れてました。でも、それだけじゃなくて……先輩が笑ってると、自分のことみたいに嬉しくて、落ち込んでたら一緒に沈んでしまうくらい、心が動いてしまうんです」
ユカは何も言わず、ただ真っすぐにヒロトを見ていた。
その視線に押されるように、ヒロトは続ける。
「俺、今まで何度も逃げたくなったけど……自分の弱さと向き合って、初めて“誰かのために本気で変わりたい”って思えました」
「それが先輩だったんです」
声が震えていた。でも、言葉には一切の迷いがなかった。
「俺を選んでほしい――とは言いません。
でも、この気持ちは、伝えずにはいられなかった」
ヒロトは頭を下げた。
沈黙。
長くて、息が詰まりそうなほどの時間。
「……ありがとう」
ユカの声が、震えていた。
「そんなふうに想ってくれる人がいるなんて、思ってなかった。……本当に、ありがとう」
顔を上げたヒロトの目に、ユカのやさしい微笑みが映った。
その瞳の奥に、まだ揺れている感情が確かにあった。
でも今は、それでいいと思えた。
想いは、届いた。
答えは、これからだ。
▶︎ to be continued...




