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第19話:君を好きになってしまったから

「あ、ヒロトくん。おはよう」


ユカ先輩の笑顔。

それだけで、今日一日が少し明るくなる気がする。


けれど、最近の彼女の笑顔はどこかぎこちなくて、少しだけ遠い。


(何があったんだろう…)


それとなく話を振ってみても、ユカ先輩は話を逸らす。

けど、それでも――気づいている。


彼女がタカトさんと、距離を置いていることを。


僕の中で、希望と不安が入り混じる。

この気持ちに名前をつけるなら、それはきっと――


「期待」だった。


バイト終わり、カフェの裏口から外に出ると、夕焼けがビルの隙間を染めていた。

ユカ先輩が、ひとりベンチに腰掛けて空を見ていた。


「先輩……」


「ヒロトくん」


彼女の声は、どこか弱くて、でもやさしかった。


「今日さ、ありがとうね。朝のコーヒー、すごく嬉しかった」


「……よかったです」


しばらく、ふたりで空を眺めていた。

静かで、落ち着いていて、何も言葉がいらない時間。


だけど。

心のどこかが騒いでいた。


(今、言いたい。今、伝えたい)


でも、言葉にならない。

口を開けば壊れそうな気がして、ただ隣にいた。


するとユカ先輩がぽつりとつぶやいた。


「……ねえ、ヒロトくん。もしもさ、私が誰かと別れて、すぐに誰かに傾いたら、軽く見えると思う?」


「……思いません」


即答だった。


「人を好きになるのって、タイミングとかじゃなくて、その人が“そこにいてくれたか”だと思うから」


ユカ先輩は、少しだけ目を丸くして、それから静かに笑った。


「……やっぱり、ヒロトくんって、まっすぐだね」


その笑顔が、今までで一番近くに感じられた。

でも、それでもまだ手は届かない場所にある気がした。


マリー。

僕、やっぱり――


君を好きになってしまったんだ。


▶︎ to be continued...



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