第12話:私は、変わってしまったの? «ユカ先輩視点»
「ゆかさんって、最近すごく女性っぽいよね」
後輩の一言に、ユカは思わずコーヒーを吸う手を止めた。
「そうかな?」
まだ笑顔で返せた自分は、すこしまだ余裕があると思いたい。
けれど、その言葉が心の深くまで射し込んでくるのを、どこかで感じていた。
最近、よく思う。
このままで、本当にいいのかな? って。
タカトは、今も変わらず優しい。
大丈夫?疲れてない? そんな微笑みを吐きながら胸の中を伸ばしてきてくれる人。
理想的で、カッコよくて、タカトはどこまでも尊敬できる。
だからこそ、感じてしまったんだ。
「やさしさ」って、時に「おおきな壁」にもなりうるんだと。
しっくりしたスーツに詰め込められる自分が、どこかで作り立てているような気がして。
「ユカ先輩は優美」「優しい」「安心感がある」そう思われるための自分になろうとしている自分が、微笑んだ。
ふと、ヒロトの顔がよぎる。
他の誰かみたいに開花なカリスマ性はないけど、まっすぐな目とことばだけは、どこまでも偉そうにしない。
だから、すこしほっとするのかもしれない。
「ユカ先輩、最近疲れてませんか?」
「無理してたら、休んでくださいね」
そんなこと、タカトは言わない。
ヒロトが、はにかみながら吐いた。
ちょっとオドオドしいけど、それが一番心に届いた。
私は、変わってしまったの?
それとも、もともと変わりたかったの?
心の中でまだはっきりしないその問いを、私は、何度も何度も繰り返している。




