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砂漠の暗闇

 マルス達と言えば、後ろ側を歩くと危ないので、あえて前を歩いていた。

 後ろの砂漠は遠ざかるが、逆に緑の鬱蒼とした森と化し、返って危なそうだ。

 マルスは言う。

「合流したいのに、合流出来ない……」

 先に行ったのだから道はあっている筈だ。

 だが、ここは異世、そう簡単に行ける筈が無い。

 もしかしたら逆の方向か、或いはあちらも会おうとしてすれ違っている可能性だってある。

 ジャンヌが卑弥呼に札を使えばあちらの位置が分かるかと聞くが、良い返事は聞けなかった。

「札使ったら分かるか、卑弥呼?」

「出来なくはないけど、あれは危ない時に使う為のだし、自動で動くってなったらそれ、命の危険性がある時ぐらいよ?」

 それだけではない、ジャンヌのアース、セフィラムが調子が悪く、風も扱えない状態だ。

「それは不味いな、後はセフィラムの調子が悪いみたいだ、これじゃボクは足手纏いになるな」

「大丈夫だよ、武術は完璧だし感覚も俺達以上だ」

「慰めてくれるのは有り難いが、怪異がどんなモノか分からない以上下手に動けん」

 ここの異世はまるで狭間のよう。

 そう思った時、卑弥呼は今回の経緯を何処まで調べたのかマルスに問うと、そもそも子供達が遊ぶべき場所を不法占拠している連中の言葉が並んだ。

「んー話を聞いて思ってたんだけど、下調べってコレだけ?」

「いや、他にも、ここ元々は広い分ホームレスの溜まり場になっていたんだ。それだけじゃない、不良達もたむろしていて、あまり良い環境じゃなかった」

「……それを聞いて合致した。これ誰かが連れ込んだか作られた怪異だわ」

 どうやら今回は何者かによる連れ込んだか作られたかの2択、それでも作れるとはどう言うことか分からない。

 ジャンヌの問いに卑弥呼が分かりやすく答えた。

「呼び込むだけならまだしも作れるのか?」

「思い程度だと軽い噂なら所詮影すら出来ない、でも集団の場なら学校の七不思議程度の怪異は生み出せる」

「なら、専門家なら?」

 専門家にもよるが、本気でここまで作るなら集団で作る他ないだろう。

「多分作れるわね……穏喜志堂辺りが」

 確かにあのカルト集団ならやりかねない。

 マルスは何か考え込んでいるので、きっとフィンの事を思っての事だと思って謝罪した。

「……」

「ゼフォウの件は私ももう少し何か持たせてあげてればすぐに場所特定出来たでしょうけど、そこまで頭が回ってなかったわ、ごめんなさい」

「いや、確かにゼフォウ君の事もだけど、そうじゃないよ、ただ作るってこんな異世を生み出せる程の力が無いと出来ないって事だろ? だから、穏喜志堂は元の時代に戻そうとするけど、ただの破壊なら当の昔にしていてもおかしくはない、だから信者を募ってるのはなんでかなと?」

 その考えは確かに当たっている。

 あそこまで集めてここの世界だけならまだしも、どうして異世界にまで手を伸ばすのか。

 ジャンヌも考える中、そういえば悪魔召喚をする際の事を徐に思い出す。

「アイツらが何がしたいのか定かじゃないが、でも悪魔を召喚するには命を代償次第だからな、それだけの代償が欲しい筈だ」

「そこまでするとなると、神様でも出す気だよねぇ」

「何故神様だ?」

 半分冗談で言ったマルスに対してのジャンヌの問いに答えるも、実際には鎮める為であって、生むモノではない。

「日本って自然界そのものが神様が宿っているとされていて、実際鎮める為に人柱、供物を用意する文化があるわ、でも実際は口減らしが多かったらしいけど」

「どの時代やどの国も変わらんなぁ、でも鎮めるなら一々集めんでも」

 形はどうあれ、やはり口減らしと言うものは存在する。

 それもあってかジャンヌの顔は機嫌の悪い時の顔だ。

 ただ卑弥呼が信仰に付いて話をした。

「それだけじゃないわよ、信仰ってのが神様の力に影響する場合があって、ナナコ様が宿ってからは最近品の良い客や酔っ払ってもマナーを守って来れる客だけになって来てて、仕事がかなり楽になったわぁ。それで光喜君と話し合って時たまお菓子お供えしてるお礼として」

「でも物体は残ってるから貰ってるか」

 あまり意味が無いと言おうとしたが、要は思いをモノで伝える方法であり、後日、ちゃんと食べて貰っているので、勿体無い事はない。

「思いを伝える方法だから、後で小鳥遊さんが仕事終わりに一杯のおつまみにして貰ってるから大丈夫よ」

「お裾分けって奴だよ」

「なるほど、信仰も欲しいとなると利としてはあっているが、やっぱり異世界に信仰いるか?」

 結局話が元に戻ってしまうし、場所も戻ってしまった。

 別の場所に出たと考えれば良いが、何となく辺りが最初に出た場所と一緒だ。

「あー……これは砂漠行くしか無いかぁ」

「そうだな、これどうする? 無風なのに砂だけ動いているぞ?」

「多分方向を惑わせる為ね、本体へ向かっているなら会えるでしょ、きっと」

「なら良いけど」

 結局この砂漠を越えるしかなかった。


 ディダ達と言えば、元人間だったであろう存在と戦いながら進む。

「うっは! こんなに多いと拉致あかんぞ!」

「これね、ここで死んだ人達じゃない? たまにあるでしょ? 死んだことにしてもらえない系のゾンビと言うか」

 光喜も後ろに付いて走る。

「俺達も無事出れないとこうなる運命って事ですか?」

「そうです!」

「なんでそこで即答するんですか!」

「それよりも、奥みてみい! なんかあるぞ!」

 一に言われて、向かってくる存在の奥を見れば、何かが見えた。

 自分達の足で向かうにはかなりの距離、こいつらから逃げながらでは不可能。

 そこで土鬼を呼んだ。

「土鬼! 連れて行ってくれ!」

 来てはくれるだろうが、この数では払うに払えないだろう。

 しかし土鬼は、あのアザラシ位のサイズからマッコウクジラの姿で砂漠らか飛び出した。

「も゙ぎゅ゙ううぅぅぅ」

 だがこれでは近過ぎる。

「バカァ! デカすぎ!」

「ちょっと待って逃げきれ――」

 慌てて逃げる男達だったが、案の定こちらは砂漠に飲み込まれ、元人間だった何かは土鬼の口へと消えて行く。

 暫くして暗闇の静けさが帰ってくる。

 少しして砂の中から3人がそれぞれ出てきた。

「ぶへはっ! はぁはぁ……死んだかと思った」

 光喜が壮大に咽せる中、ディダと一も出て来て言う。

「いやぁ闇雲に言うべきじゃないねぇ」

「最初から……出来るのなら最初からさせれば良かったんでは?」

 普通に頼めば良かったと思ったのと、一度距離空けてから指示すればうまく行ったのではと後悔しかない。

 それを一切知らない土鬼はサイズは小さいものの大人3人程乗れる大きさへとなり、背中を向ける。

「もぎゅぎゅ」

「あーはいはい、ありがとな」

 文句ある声だが、流石大人、我慢した。

 

 土鬼の背に乗って、真っ直ぐ進む。

 一切疲れず、勢いもあってなんか風が気持ちいい。

「最初から借りておけば良かった背中」

 光喜が風に当たりながら最初から頼んでいればと後悔するも、一は遠くに見えていた何かを見ていた。

「まぁずっと借りれればの話だけどな、少しずつ見えて来たな」

「森? いや何かを祀った祠?」

 建物的に祠が建っている。

 しかも不気味なほどの大量の祠だ。

 着いた後、改めて見ると、先ほどまで見えていなかったのが嘘の様な光景に息を呑む。

「これが原因にしては、なんでこんなのを?」

 退治するには絶対触っていけない奴だ。

 神が住まう小さな祠、そんな祠が異世にあるのか。

「神様の集合住宅かコレは?」

 確かに見たてからするとそうなるだろう。

 しかしまだディダには疑問が残る。

「それなら分かるけど、なんでここに? それに、神様って命に平等な所あるからなんで大人や青少年辺りを?」

 神の怒りを買ったのなら、あの近くに祠を作って祀る事だって出来たし、なんならもういっそ、その土地を解体し、神社にする事で、解決出来た筈だ。

 だが、この状態は複数の神々が住んでいる用にも見える。

 光喜は考えているディダをよそに、辺りを見渡していたら、先ほどまで無かった鳥居がみえた。

「なんか奥に立派な神社っぽいのありません?」

 一も辺りを見ていたので、無かった場所が増え、とうとう幻覚かと思ったがそうでもないようだ。

「さっきまで無かったのに? もしや、幻覚!?」

「幻覚じゃないよ、多分招いたんだ僕らを」

「招く? 供物として!?」

 まあ普通に勝手に入ったのだから、そう思うだろう。

 ディダは土鬼にマルス達を改めて迎えに行ってもらうようお願いする。

「そう思っちゃうよねぇ。でもどうだろ? 鳥居の辺りでマルス達を待とうか、土鬼、連れて来てくれる?」

「ももんぎゅ」

 モゾって出て来て小さなアザラシの手で敬礼し、土鬼が向かおうとした際、一が先の事もあり不安を漏らす。

「今回は大丈夫か?」

「ももももんぎゅぎゅぎゅ」

「おっ? 文句なら聞くぞ」

 争いが起きそう。

 ディダは一と土鬼の間に入る。

「こらこら、一応ここの場所を把握してくれたのなら迎えに行けるでしょ?」

「もっぎゅん」

 お陰で無事に土鬼はマルス達を迎えもとい、探しに行った。


 現在のマルス達と言えば、人だったモノに追われ、戦いをしても勝ち目が無いと判断、逃げている最中だ。

 砂漠だけど、足は砂に取られず、結構速い。

 ジャンヌは抜けた笑いで言う。

「あーゾンビかな? ジル居ればなぁ」

「いや居ても役立たないってば」

 万が一居てもアース達がこの異世に耐えられないのだから、どの道逃げるしかない。

 仕方がないと、卑弥呼は何か書いたと思えば、手を置いた瞬間、いきなり辺りが光った。

 同時に人だったモノが動きが止まり消滅するも、当たらなかった場所からわらわらと出てくるではないか。

「なんでそこは出てこないのが普通でしょうが!」

「卑弥呼! 違う、こっちが普通だ!」

「2人して何話しているの! 早く逃げないと――!」

 マルスがジャンヌと卑弥呼を連れて逃げようとした時、マッコウクジラの尾鰭が自分達を襲う。

 悲鳴は上げた。

 でもその前に尾鰭が先に振り落とされ、人だったモノと共に巻き込まれてしまう。


 鳥居前、いったいどれだけ経ったのか、光喜達が待っていると土鬼がマルス達を背中に乗せてやって来た。

 ディダは再会してそうそうおかえりと言うが、マルスは先ほどの出来事を文句言いたい顔で話す。

「おかえりー」

「ただいま、あのディダ神父」

「どうしたの?」

「俺達、マッコウクジラの尾鰭が振り落とされて生き埋めになって死んだと思ったんだけど」

 だがこちらも砂に生き埋めになったのだ。

「そうか、僕らはマッコウクジラが体当たりして来て逃げようとしたけど、砂の津波に飲み込まれたよ」

 流石に文句言おうとするが、なんて言えば伝わるのか考えながら言うも、納得する返答しか返って来ない。

「土鬼、どうしたら仲間を埋めようとするのかな?」

「わりと自由奔放だから、あまりそう思っていないかも」

「あー……」

 でも言いたい気持ちは一と光喜には十分に伝わった。

「気持ち分かるでぇ、アイツ絶対面白そうだから一緒に居るってだけの可能性があるぞ」

「もう分かった、本当にあのゾンビになったのかと俺……」

「分かる分かる」

 その間、卑弥呼は色々祠を見て回りこんな事を言う。

「これ、今いる住宅地と同じ立地じゃない?」

「えっ? 神様の祠だろ?」

 マルスも皆と同意見に対し、卑弥呼は細部までは分からないが、公園前に行く際にグーマップを頼りに来ていた為、大体の地域が殆ど一緒なのに気が付き、尚且つここは異世と考えれば違う意味なのではと考える。

「異世として考えれば、よ。多分、この一帯は丁度今居る地域と同一、この神社は公園の真正面ね、ほらここ、ここの祠だけ壊れてるわ」

「……なら、この怪異の原因はこの神社にあると?」

 断定ではないが、もしかしたらだ。

「かもね」

「一応確認しないと対処出来ないし、どの道帰るにはこの神社を見ないと」

「せやな」

 そうして皆で鳥居を潜ってすぐに誰かが居るのに気が付いた。

 怪異か、なんなのかと身構えると正直ここでは会いたくない存在だった。

「おやぁ? まさかあの時のメンツじゃーん」

森沢(もりざわ)木人(もくり)⁉︎」

 なんとまさか穏喜志堂いや陰鬼(おんき)士道(しどう)の森沢だ。

 杖のようなものを持って何かを書いていたのだろう。

 その手を止めて森沢は嬉しそうに言った。

「いやぁ一応幹部なんで覚えて貰えて助かるよ。それからそこの鬼の子も寄越してくれると助かるんだけど?」

 一が光喜の前に立ち、言い返す。

「誰が渡すか。と言うかてめえの仕業だったのか!」

 森沢は、はっ何言ってんのと軽く言いそうになったが、もしかするとあっちも怪異関係で来たのかと察した。

「ん? あー俺は仕事でだよ? って事はあんたらもか? ……なるほど、でもこっちも仕事だからぁ死んで!」

 銃木を出現させ、一気にディダ達目掛けて砲撃を食らわせる。

 ディダがその砲撃を刀で切り、逆に切り伏せようと動き出す。

 そうはさせないと森沢は銃木に指示、マシンガンの玉のごとく凄い数が乱射され、皆逃げ出すも卑弥呼が何かを察して結界を張る。

 しかし張り方が明らかにここの中に張って卑弥呼は森沢に問う。

「あんた、まさか知っててこっちに向けた?」

「いひっバレたか」

 不気味な笑顔を見せた。

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