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怪異のある公園

 集合場所は人気が全く無い、ある公園だ。

 しかし何かがあったのか、現在使われても無ければ、テープや板に看板まで付いている。

 公園内を見れば、草木が無造作に生え、遊具も錆びて朽ちていた。

 普通に入りたい者は物好きと言われても不思議ではない。

 その公園前でディダが集合した人数を見て一言。

「いや、やっぱり専門家呼ぼう、僕とマルスだけじゃ無理だ」

 今回は光喜だけのつもりだったが、他にジャンヌ、卑弥呼、ザフラにアミーナ、そして大人が2人だ。

 ただ専門家は誰も居ない。

 マルスはディダに専門家でもある総一も頼んでいたが、この時間帯はダメとかではなく普通の仕事で来れなかっただけ、ただ代わりが来た。

「総一さんだって来れないって言われたでしょう? 夜勤だって」

「だから私が来た!」

 大人の内1人がナイチンゲールな為、ジャンヌは彼女には何かあっても良いようにここで待機する救護班の担当をお願いする。

「ナイチンゲールが来るのだったら、治療班は彼女と誰にする? 冬美也も居ないし」

 その点は問題ないが、他も欲しいとの事でアミーナとザフラが救護班となった。

「アミーナが入って、あんたなら緊急時に空間圧縮してこっちに強制的に戻せるでしょ」

「そうですね、常に安全圏で見ていられるので」

「後ザフラ様も、あなたに何かあったらあの斎藤一でも対処出来ないから」

「あー確かに、あの時は上手く行ったが今回も上手く行くとは限らんからな」

 渋々理解するが一緒に行きたがっているのは間違いない。

「でも光照先輩も来てくれるなんて驚きです。ケガ大丈夫なんですか?」

 一緒に入院していた仲、やはり心配だったが、寧ろもう治っていた。

「大丈夫も何もあなたよりは回復早かったから先に退院してたでしょ」

 多分、覚醒時の反動による肉体変化も加わり中々治りも悪かったとも言える。

 その間にディダとマルスが話し合って、二手に分かれる形でチームを発表した。

「それじゃ今回はディダ神父に光喜君と卑弥呼ちゃんで、俺と一緒に行くのがジャンヌちゃんと一さんで」

 最後の大人の1人は一だ。

 皆、仕事が夜勤になるってよく言っていたのにわざわざ来るなんてと思っていたが、なんか一の様子がおかしい。

「一さん、仕事大丈夫? 日向さんが入るって言っていたのにまたなんで?」

「い、いやぁ、もう現実逃避したい」

 物凄く顔色が悪いし、もしや外交失敗したのかと心配してしまう程だ。

「思っていた以上に精神バランスやばくなっていないか?」

 ナイチンゲールが言っている間に、ディダも自分とは違うが大事な機械が壊れてしまって仕事が出来なくなったから来たのかと心配する。

「機械故障したの? 仕事大丈夫なの?」

 無論そうではないが、心霊スポットであり怪異のテリトリー、誰が好き好んで行くものかと半泣きで怒りつつも、とにかく光喜とチームを組みたいと編成を代えて欲しいと志願。

「違う! 行きたくないけど行かなぁあかんなったんの! それと自分は光喜君と一緒が良いから誰か代わってくれる?」

「神父が主体だから代わるなら卑弥呼ちゃんだけだし、でも結界を張れる人間ってなると彼女だけだし」

 アタッカーであるディダとガードである卑弥呼、それでいて光喜の覚醒時にも対処も可能と考えての構成だったが、一を入れるにしてもガードが欠けるのは非常に不味い。

 そこで卑弥呼は光喜だけでなく皆に結界時に使う札を配った。

「なら札渡しておくから、無くさないでね」

「おーうフラグっぽい事になったぞ」

 もうどうにでもなれとばかりな言い方な一に少々引く中、ちゃんと他のサポートとして土鬼も壊れたコンクリートから顔を出す。

「それなら、ほらそこに、土鬼がいるからどちらか何か起きても対処してくれるだろう」

「もっぎゅっぎゅ!」

「今までどこに?」

 ディダは仕事や他の間に預かってくれていた。

「この子を暫くこっちで預かってたからね」

「なるほど」

「普段は理美ちゃんの所に居たんだけど、理美ちゃん自身精神があまり良くなくて、最近実家に一旦帰る話が出てるんだ。まぁそっちの方が絆さんも居るから安心するんだけど」

「えっ……」

 知らぬ所で話が進んでいるのには驚き、冬美也は気付いているのだろうか。

 ディダはマインドコントロールについて話す。

「マインドコントロールって話知ってる? 良いも悪いも受け取り次第だけど、ゆっくり着実に洗脳される感じかな? ただマインドコントロールはさっきも言ったけど良いも悪いもある。良くする為に行うにもマインドコントロールが必要不可欠な場合もあるけど」

「今回は悪い方に転ばされた」

「そういう事、今まで頑張って来たけどスランプならではだから皆、どうすれば良いか位は経験を持っていたけど、邪魔が入ったから正直見つけ次第……ねぇ」

 流石に身内が酷い目に遭っている分、かなり怒りと殺気を押し殺しているのが見て取れ、マルスが冷静に返す。

「気持ち分かりますが、止めてね神父は」

「はいはい分かってます」

 そう言いながら、ディダは通れそうな場所がないか探し、板を外した。

 光喜はディダに聞く。

「今回の怪異討伐は?」

「神隠しだね」

「神隠し?」

「怪異、或いは神の領域か、正直僕も分かんないや」

「ここの公園、かなり前から行方不明者の報告が多数あって、裏社会の人間による誘拐や怪異による現象なんか噂があって、最後の行方不明者が元町長自身だったもんだから閉鎖したって訳」

 たまにある、結局子供達が消えても中々閉めもせず放置して、トップに等しい大人が消えて漸く動くあれだ。

「腰重すぎじゃん」

 子供が消えているのだから、その親御さん達もさぞ苦労しただろう。

 ところがディダはとんでもない事を言い出した。

「君らは何か勘違いしてない? まぁ子供も行方不明になるってのは分かるけど、ここで消える子供は……君ら位の年の子が消えるんだ」

 思い切り光喜位の年、そう、自分達がもっとも危険だ。

 聞けば必ずこう言う。

「帰って良い?」

 一もそれに関しては同情する。

「そら帰りたくなるわ、でもなんで今更? ここ荒らすと危ないんとちゃうん?」

 荒らせば絶対良くない事が起きる、それは分かっていての事、だが同時にディダは板を持って諭させた。

「いやこうやって動くし、入れるって事は……って事なのよ」

 光喜もこれだと誰だって入れるじゃんと言いたくなるが、最初の頃を思い出す。

「あー口には出てないけど、俺達世代や少し上の人達かぁ」

 異世界に来れる方法があって入って来た同世代のイビト達みたいなものとし、絶対やってはいけないなんて一定数は止めるが、絶対行くやつは行く。

 経緯もやはり今時だった。

「ちなみに依頼者はヴィチューブ専門事務所からで、生配信中のヴィチューバーが映像は残っているけど途中で途絶えて、警察へってなってね」

 こうまで行くと、もう常時誰かに見張っててもらわないといけない気がしてきたのと、ホラー創作サイトでよく見かけるネタを卑弥呼がしだして皆も乗った。

「財団居たら、その前になんとか囲ってくれるんだけどねぇ」

「こらこら、そんなの空想ホラーなんだからやめてくれ、仕事の邪魔だ」

「良くネタにするけど、実際おったら面倒やし」

「いやぁ居たら居たで、何人か管理者混じってるだろそれ」

 流石にそのままだともっと盛り上がりそうでディダは止めて、話を戻すもやはり警察の何人か帰って来なくなったのもあっての依頼だ。

「はいはい、話を戻すと警察の方も何人か帰って来なくって、ここで僕らに依頼が来た経緯、それと最初言っておくけど、正体一切分からない怪異だから気を付けて」

「それとここ昔の地図確認したけど、結構広い公園だからね」

 マルスが皆に地図を渡すと、本当に広い。

「このまま話続けててもしょうがないから入るよ、一応神隠しが起きる場所も調べは付いているけど、入ったら解決するまで出られないと思ってほしい」

 先陣切ったのはディダとマルス、そこから一、光喜、ジャンヌ、最後に卑弥呼だ。


 入れば、ここは本当に見た目は廃墟そのもの、まぁ当然と言えば当然。

 暗いので、マルスが懐中電灯で照らす。

「では、俺は右側からで」

「僕は左側、離れないでね、下手すると解決しても帰れなくなるから」

 懐中電灯位は大丈夫なのか、ディダが持つも、なんで顔を照らすんだ。

 言い方も怖いのに、照らすと余計に怖い。

「怖い怖い! 帰って良い!?」

 本気で帰りたいのに、ディダが帰らせてくれる筈もなく。

「ダメダメ、一応今回は光喜君の修行だから」

「いやぁぁぁぁ!!」

 泣き出す光喜は自身の名を呼ぶニュートンに驚いた。

「光喜」

「うわぁぁ! びっくりした! どうしたニュートン!?」

「見られてる」

 まだ先な筈なのにもう出て来たのかと思ったが違う何か。

「か、怪異?」

「分からん、でもあまり良いものじゃねぇ」

 見えないマルスがなんて話しているのか光喜に尋ねる。

「なんて?」

「誰かに見られていて、怪異か分からないけどあまり良いものじゃないって」

「……」

 ディダはその話を怪訝な顔をしながらも、何か聞こえないか、遠くを見渡す。

 しかし、何も感じ無ければ気配もない。

 突如、地面から飛び出す土鬼に光喜が驚き、集中が途切れてしまった。

「もっ! ぎゅっぎゅ!」

「わぁぁ‼︎」

「あー……もうダメだ、とりあえず土鬼は自由にしてて良いから何かあった時には」

 よっぽどでなければとりあえず放置しようと言った顔だ。

 とにかく気が散らされると此方も困る。

 一は公園外で待機しているアミーナに声を掛け、情報共有した。

「アミーナ、話聞こえたか?」

「一応、わたくしの方でも見ておきますので、気を付けて」

 改めて進む事にする。

 ナイチンゲールは言う。

「あまり言い方ありませんが、寧ろ私達に向けられていないかコレ?」

 皆が奥に消えて行く中、今ならはっきりと分かる。

 見られているのは彼らじゃない、自分達だ。

「それは本当に……そうですね」

「力を使うか?」

「いや、やめておきましょう、こちらの人数では、 分が悪い」

 じりじりと迫る視線と足音がナイチンゲール達に迫っていた。

 

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