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情報提供

「とりあえず、まずは食ってけ奢りだ」

 普通にユダが坂本にも奢る宣言した為、あっという間に空気が軽くなった。

「マジで⁉︎ ラッキー! 何食べよう?」

「いや、さっきの空気何処やんだよ!」

 冬美也はずっと突っ込みっぱなしだ。

 ユダとしてはもう慣れているのだろう、坂本の技術が本物として受け入れての態度そのもの。

「仕方がないだろ、どうせ見張り付けてたんだろう? しかもこっちが仕掛けても撒くのも上手い坂本がここまで来れるんだ自然な事だ」

 その言葉に光喜も前に言っていたのを思い出す。

「そういえば、忍者してましたもんね」

「やっだ! 昔の事よ」

 フィンがふと小言で言うも、すぐに坂本に気付かれる。

「今もでしょ?」

「なんか言った?」

「別に……」

 これ以上下手な事を言う事は不可能だ。

「で、穏喜志堂についてだ。特にどういう奴らが居た?」

 ユダの問いに答えたのは意外にも坂本だった。

「政治家金剛岩助とタレントアイドル水島舞里に穏喜志堂であり、初期から陰鬼士道にいる人物だ。森沢木人の他は江戸時代辺りからが多い」

「長年生きている連中は大抵は淘汰される。我々みたいな形で生きているならともかく、ああいう連中は信念がこっちと同じで頑固だから余計困る」

「でもこっちは流れに任せる連中も多いし、その分自分らの資金は生前から元々蓄え、次に備えつつも決して子孫達にバレない様に暮らすのがモットーであり、殆どの連中は子孫にそこそこの資産を残すが真の資金は別の形にしてる。だけども、あいつらは元々ずっと生き続け、しこたま溜め込んだだけでなく、ゆっくりと世界に根を張り、今の情勢にここぞと表舞台に顔を出したに違いない」

 子孫がいると言う言葉に興味を持った光喜に、坂本とユダが意外な事を言う。

「管理者にも子孫いるんですか?」

「居るわよ、一ちゃんも居るし、他にも居る筈よ」

「アダムも居るぞ?」

「詳しく!」

 冬美也とフィンに坂本までもが興味深々だ。

 しかし、ユダもそれを分かってたからこそ話を戻されてしまった。

「誰が言うか、そもそもその3人分かっているなら、どういうやつか知っているんだろうな?」

 ちょっと面白くないと3人はブーブー文句を言う頃に、食事が運ばれて来た。

 皆がそれぞれ頼んだ物を何なのか聞きながら、並べる。

 改めて冬美也と光喜は、森沢がどういった事をしたのか説明した。

「森沢はなんか木だったよな、銃みたいにぶっ放して来たし」

「そう、たまたま理美ちゃんが足引っ掛けて一さんを転けさせなかったら死んでたと思う」

 そしてフィンが水島について話す。

「俺は水島だったな、日向さん水を纏わせると言うか水圧みたいな感じもしたけど息出来なくて死にかけてたし、とにかく電気を駆使して空気取り込んで何とかなった感じ」

 ただ、金剛は分からないし、会ってもいない。

「岩助は分からないぞ? 話に出ただけだし」

 冬美也が答えてすぐに坂本がディダに聞いたと言う。

「それならディダに聞いたから教えてあげるわよ」

「いつの間に?」

 坂本は連絡の電話に気付かず、起きてから聞き直した後、光喜達を探しに来てくれたと同時にユダもそれにかんして同じだった。

「あんたらが帰ってすぐよ、仕事ギリギリまでしてすぐ寝てたから電話に気付いてなくってね。それで電話で聞いてからすぐユダなら聞きに来るって踏んで来ましたよ私!」

「お前なら来るってこっちも踏んでたがな、で、金剛はなんだ?」

 金剛について説明する。

 どうやら昔からそう言った噂を聞いた事があるらしく、岩を使って行うのは分かっていたが、ディダの話でより詳しくなった。

「昔聞いた話の時は岩とかぶん投げるって聞いてたんだけど、どうやら合体寄生みたいな形で体にはぐれ神宿らせてゴーレムみたいな形で襲って来たんだって、すぐに気付いて構えたからそこまで酷い傷にはならなかったけど、どの道アイツはやばいからねぇ」

 だが、最後に意味の分からない事を言い、ふぃんが冗談で聞くともっとヤバかったのだ。

「どうヤバいん?」

「ん? アイツ、バイぞ?」

 一気に空気が悪くなる、バイとはバイセクシャルの事だろう。

 ユダもそんな情報は要らないにも一応普通の感性の若い部下達に尾行などさせるのは止める方針となった。

「最後は要らん情報だが、若者共には金剛に近づかせん」

 流石に国ためと言って差し出したのが分かれば、どちらが不得手かよく分かる。

 勿論、こちらもだ。

 しかも、この金剛もっとヤバいのも出てきた。

「その方が良いわ、花魁時代にもまだ幼い子とか手を出そうとした連中の中に居たって言う噂が」

「だから要らん情報だ! なら、お前が見張ってろ!」

 もう知りたくない話ばかりで、重要性も欠くことばかりだ。

 男子3人もあまり聞くべき話でもない。

 話を戻す為、冬美也が話を戻しながら総十について聞くと、意外と坂本の方が知っていた。

「でも、知っているのコレくらいだし……ユダなら総十って知ってるか?」

「あの粗暴野郎か」

 ユダもその名を知っているのかこんな事を話してくれたが、やはり絶句ものだ。

「戦争時、一度やられた事がある、あの獣と言うか悪魔と言うかゴーレム使いのアイツだろう? どの戦争だったか……秘密裏に植民地の奪還しようとした隊の半数がゴーレムに喰われた」

「うん、総十だそれ、植民地の解放後も攻められるのはいつもの事だからって人数減らせない分、総十みたいな異能者が門番代わりになって解放された後も交戦してたのよ」

 坂本も知っていたし、異能者も兵士として戦っていた。

 無論、どの国も異能者は裏での交戦を行い、そして闇へと葬り去られ忘れ去られる末路。

 ユダはそれをどの時代でも見て来た。

「管理者もそれなりの上官クラスで戦い、負けを認めた管理者は大抵こちらの為に働いて貰う形でまだ良いが、異能者は敵意がそのままだから大抵人体実験になる」

 最後の言葉に、冬美也とフィンが物凄く嫌な顔と態度にも現れる。

「うげぇ最低だ」

「聞くんじゃなかった」

 慌てて光喜が戦争の話なんてしてないのにどうしてそうなったと思って言う。

「待って! 元々総十の話でしょ! そこじゃないでしょ! って事は総十も?」

 止めに入ってた光喜すら、人体実験の言葉に引っ掛かりを感じつい聞き直せば、嫌な大当たりを引いた。

「悪いが最初にあったのが一個小隊から一個中隊無くしてでも生け取りに成功、本人を捕まえ人体実験した」

 フィンも引いてしまうが、ユダの話には続きがある。

「う、わぁぁぁ」

「が、本人も自身の体がどうなっているのか知りたがって人体実験に参加した」

 坂本はもっとも聞きたかった話のようで食い気味だ。

「で、どうだったの? もしかしたら、アイツ、陰鬼士道に対して弱点を突く為に自身を知りたいと思っての事だろうけど?」

 ただ、ユダは茶を啜りながら未だにその過去を思い出す度に苛立ちがあるのだろう、置く瞬間勢いがあったらしく残った茶が顔を出す程だ。

「いや、その後はアイツら興味無くなったのか2人揃ってどっかに消えた……あんにゃろう共が!」

 光喜も総十だけでなくてもう1人いた事に触れると、何故か坂本とユダが冬美也を見る。

「……えっ? 2人共って?」

「いやオレを見る? しかも坂本も?」

「私はたまたまよ、たまたま、と言うかなんでユダも見んのよ?」

 ユダも頼んでいた軽食を摘むも、やはりもう1人の人物の手口に業を煮やして、手が進まない。

「ふん、こっちもだ。1人は人体実験の上層部の博士で、一通りやったデータ全部持ち逃げ、いや亡命の足しにしやがった!」

「えっと、それならその亡命先にその書類あるならそっちから……」

 光喜としては、アメリカとして動けば危険があっても研究書類位集めそうといった安易な考えだ。

 勿論、個人的なのも含めてだったが動こうと思えば動けただろう。

 だが手遅れだった。

「だがその研究資料も国上層部が管理する形になってしまい、興味のない上層部が無くすと言う馬鹿くさいオチが付いてな、結局行方不明だ」

 坂本が意味深な事を言うと、ユダも完璧にこなしたかったのも事実だ。

「何それ? あんた見張り番じゃないの?」

「ふん、こっちも完璧に身張れれば、もっとまともで神聖な場所いやそれだと約束の反故だ。とにかく安全に管理し易くするだろうな」

 本当なら、重要な話が聞けて、尚且つ状況によっては、両方が有利になっていただろう。

 が、これはどう見ても情報交換というより提供だ。

 このままだとユダだけ美味しい思いだけ、いや奢っている為トントンかと思いながらも、光喜が纏めようとした。

「まあまあ、結局そのために来たようなものでしょ? ユダも坂本さんも、俺らも少しでも欲しかったし、ただ総十って人があまりにもある種の怖さがあったのは分かったし、もし弱点とか研究資料が見つかった時で良いんで俺らじゃなくても教えてください」

 この中で聞き役と纏め役が光喜に大人2人は何とも言えない表情となる。

 ユダもこれ以上話が進まないと分かり、別件で冬美也に言った。

「どうだか、そうだ、冬美也」

「なんだよ?」

「小娘に纏わり付いている奴が判明した」

 冬美也としてはそんな奴見つけ次第、殴ってでも追い払いたいと思っていたが、そういう訳にもいかなくなってしまう。

「誰だ⁉︎ そいつぶ――」

「やめとけ、そいつはアンドレ•ガナフ、お前下手に逆らうと医療費援助してくれたのを一括で払えってなった時お前1人だけじゃないぞ」

 光喜もフィンもどういう話か見えた来ないが、坂本だけは理解して言った。

「あーそういう事、あんたはどうするの? また裏切り者になるの?」

「ふん、血さえ残せれば別に」

 その言い方に坂本が返す。

「あら酷い」

 これだけで冬美也の顔色も悪く、部が悪いと言った感じだ。

 どう返せ分からない。

 そこで冬美也はメニューパットを持ち出し、色々頼み出した。

「……むかつく、後他にモノ頼んで食えない分まで支払わせてやる」

「店にも被害増す八つ当たりやめろ」

 流石にフィンが突っ込んだ。

 で、結局お開きになってしまうも、光喜が出ようとした時ユダに言われた。

「自分で対処出来るなら別にそのままで良いが、万が一自身で対処出来ない時こっちに来い如月」

「俺はまだよく分からない、でもあまり人の優劣つけ過ぎてるのが1番嫌だ」

 なんとなくだが、理美に対して名や苗字も言わないのが気に入らなかった。

「じゃ、オレらはたらふく食ったし帰るか」

 冬美也と光喜が立ち上がり、フィンも立ちあがろうとしたら、ユダがフィンを止める。

「小僧は残れ、どうせ碌な仕事押し付けられるんだ。ついでにワシのお使いも頼むわ」

「お小遣いくれるなら良いよ」

 本当にのほほんと答えるフィンにユダも食えない奴と言った感じで情報提供も要求し、それに対しても応じるが不利にならないモノに関してだけだ。

「出してやるから、その代わりちゃんと情報を寄越せ」

「はいはい、こっちの不利になるのは言わないけどー」

 流石に冬美也と光喜がドン引きした。

「良いのか⁉︎」

「えぇぇぇぇ⁉︎」

 坂本はそれよりも一人称に驚いている。

『一人称ワシ呼びだったのか』


 そうして光喜と冬美也だけ店を出て帰り道に冬美也が話す。

「前に、ユダが言ってたのお前なら覚えてるだろ?」

「んっ? あぁ、プロジェクトによる斡旋で幼少期の治療費負担してくれたって」

「そのプロジェクトって言うのはジニアスプロジェクトって言って、幼少期に天才児を発掘し手籠、そして早い段階で経済だけでなく化学、医療、政治等を担う役割させる為だけでなく、最近だとIQの高い者同士の見合いさせて、子もそれに等しいそれ以上の頭脳を目指す気長なプロジェクトだよ。ただ、斡旋を受け入れてしまった家庭はほぼ言いなりだ」

「言いなりって」

「そのままの意味、幼少期にIQの高いのを調べ、その時点で教養の無い家庭は理由つけて引き離し、CIAと関係のある裕福な家庭に、教養もあってそこまで裕福じゃない家庭には大学費諸々持つからこのプロジェクトの参加を促され自ら行く人達が多い。んで、オレの場合みたいな頭があっても体が弱い奴は他と違って莫大な資金提供もあるせいで、かなり弱味を握られていて、下手に反撃すると今まで持ってもらった医療費を支払い命令される」

 かなり大々的に行われているプロジェクトのようで、確かに天才と呼ばれる人間を幼少の頃に抱き抱えれば、それなりの利益が見込めるだけでなく、もしかすると他の国では出来ないものここだけで出来る様になれば、国の再発展が可能になる。

 しかし、中盤と最後の違いが分からなかった光喜は口を出した時悟ってしまう。

「えっ、でもそうなると普通の……あっ」

「そう、年齢的に自分から行く選択があるし、実際経済親に負担させずに尚且つ国の経済を潤すんだから率先的に受けた方が得だろ? 化学も成果があればもっと称賛されるし。でもIQあっても凄くても体が追いつかない場合は基本放置なのを金の力で解決させれば、いきなり方針転換されても、反対しても金返せと言われれば親も言いなりだ」

 中盤なら自分がなりたいモノや興味を率先して受けられる選択がある。

 だが、体が弱くアメリカの保険医療制度は日本と違う分、保険の効かない医療を受ける場合多額の医療費が掛かり、それを持つ代わりに自身の選択有無もなく、まして可愛い我が子を死なせたくない親なら喉から手が出る程欲しいだろう医療費を持ってくれるのだから家族諸共弱味を握られてしまうのだ。

 何とも言えない、でも冬美也の考えを聞きたい。

「冬美也はどうしたい?」

「アンドレの考えを知りたい。どうせアイツは一般人として気に入らないからってのもあるだろうが、アジア系を嫌っている差別主義者な部分もある」

 どうやらそれだけでなく、アンドレが差別主義者だと言う最悪な部分を知る。

「でもそうなると冬美也もだよね? 見た目あれだけど」

 そう、冬美也は見た目がアレであるものの、立派な日系アメリカ人だ。

「見た目がな。それにアイツ絶対オレの事嫌いってのは小さい頃から知ってるから、親父も斡旋者がマトモだったから受けたらしいけど、それを横取りしたのもアンドレだ」

 本来担当していた人間が代わるのは良くある話だ。

 だが、横取りと言っている辺りで無理矢理割って入ったのは間違い無いだろう。

「酷い……」

「んまぁ、色々頑張ってみるよ、理美の為にもオレ自身の為にも」

 そう言った頃には、冬美也と光喜は自身の部屋の前に着いていた。

 次の日からは各々のやるべき事が多くなるだろう。

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