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プロローグ

海外のS国ーー。

 繁華街に日本人の修学旅行だろうか、皆物珍しそうに写真を撮ったり、物を見てたり各々で楽しんでいた。

 その中の1人、如月光喜(きさらぎこうき)が、仲間と共に笑いながら歩いていた。

 黒い短髪で細いがしっかりした肉体だ。

 光喜は仲間と一緒にアーケード街を歩きながら物色し、土産になるのを選んでいた。

 少し離れた場所からでも分かる、大都市の高層ビル、皆と会話でも明日はその中でも1番高いビルに行って観光するのが楽しみと、最上階のある場所で告白すると叶うと言う都市伝説もあり、ちょっと楽しみと言う女の子の加原舞(かはらまい)ともう1人の女の子、春日谷咲楽(かすがやさら)が言った。

「舞ちゃんや? 誰だいそんな告白したい人とは?」

「そ、それはい、言えませんよ!」

「えぇぇ!」

 加原舞は咲楽の追求に笑って誤魔化しつつも、誰か好きな人がいるのは名言を残し黙秘した。

 実際加原舞は成績や運動の良く、それなのに決して傲慢にも成らず、皆に優しいので男子達も彼女と付き合いたくて何人も告白して全員振ったらしく、好きな人がいると言う話だけしか聞こえてこなった。

 光喜も加原舞の事が実際好きな1人で、一体誰が好きなのか気になっていた。

 もし自分の事が好きでいてくれるならと願うばかりだ。 

 そんな時、誰かとぶつかり転んでしまった時、一気に世界が反転した。

 

 誰かと会った気がした。

 誰かがこの世界の話をした。

 その誰かが、自分を選んだと言った。

 自分はたまたま選ばれ、戦う事になるとも言った。

 永遠の輪に閉じ込められ、ずっと続く話とも言った。


「光喜!」

「光喜君!」

「おい! 如月!」

 次に目を覚ました時は、周りが驚き、仲間も必死に声を掛けていた。

「あっ……ごめん、なんか意識が飛んだ」

 光喜は周りや仲間に迷惑を掛けてしまい、しかも一部の親切な方々がスマホで救急を呼んでしまい、結果、先生やその救急班の方々に平謝りする羽目になった。

 勿論、海外の救急車は運ばれると有料、しかし運ばなければタダなので、一応軽く診てもらい、貧血による失神ではと、今は大丈夫なので、万が一悪化した時はちゃんと近場の病院に行くよう言われ、帰って行った。

 倒れた本人である光喜は皆に迷惑掛けてしまい、本当に頭が下がりっぱなしで、流石に自分は倒れた事もあり先にホテルで待機となった。

 ーーしかし、あの現実とはかけ離れた世界、そして自分と群青のローブを被った少年は一体誰だったのかと不思議に思いながら渋々1人だけベッドで寝る事となった。


 次の日、光喜は熱を出した。

 流石に昨日の今日なので病院に連れて行くかと話が上がるも、時差ボケによる体調不良の可能性も捨て切れず、とりあえずは今日は様子見のまま、結局保健医の先生と一緒に留守番となった。

 保健医の先生と他の先生が話し合っている間に、同じ班の榊田渉(さかきだわたる)がやって来た。

「大丈夫か? 具合?」

 光喜は熱のせいであまり覇気が無く応える。

「最悪だ、せっかくの、修学旅行が……」

「あはは、明日までに治れば、自由行動出来るんだし、ゆっくり休んどけ、後な、加原が誰に告ったかも教えといてやるから」

「い、要らない……むしろ悪化する」

「はいはい、じゃぁ、買えないと可哀想だから代わりに買って置いてやるから、お金後で返せよ」

「おう、安いので頼む」

「分かったよ、じゃ、行ってくる」

 渉はそう言い、手を振って部屋を出る時、同じように光喜も手を振って渉が部屋を出るのを確認するまで振り続けた。


 観光名所の一つの高層ビル、そこは街を一望出来る唯一の展望台となっていた。

 修学旅行生の他、海外から来た観光客も大勢いて、外を見るのもやっとな空気だ。

 それでも、一部の告白すると叶う場所は他の海外の人も同じ様で、様々なカップルで埋め尽くされ、正直近寄り難い場所になっていた。

 加原舞は少々その空気にげんなりして咲楽に話す。

「あそこは、ただのカップルだらけの場所で行きづらいので諦めます」

「マジで! えっ、誰誘う気でいたの?」

「それは内緒です」

 丁度その時、渉もやって来た。

「何やってんだ2人して、そろそろ時間になるから集合するぞ」

「うぃー、ところで、あんたも買ったんだよね? 光喜の土産」

 咲楽が楽しそうに渉と話し出した時、加原舞がふと中央部のを見ると、フードを被り、仮面をした珍妙な堅いからして男だろうか、立っていて周りは観光に夢中で誰も気付いていない。

 その男がスッと片手を上げる。

 加原舞はその男が何しているのか、ずっと見てた時、男も気付き、逆の片手で器用に仮面を外した。

「えっ……ーー⁉︎」

 驚く加原舞を見ながら男は笑って、思い切り手を振り落とした。


 保健医の先生が、光喜の熱を計り、大分落ち着いているのを確認した。

「熱、下がってきたし、明日もこのままだったら皆と合流出来そうで良かった」

 そう言って、ふとスマホのバイブに気付き、ちょっと待っててと言って電話に出ながら外へと足を運ぶ。

 光喜は窓から見る景色を眺め、皆楽しんでるのかなと正直悲しみを覚え、つまらなく涙目となった。

 直後だ。

 急に凄い地響きで驚き起き上がる。

 この地域には地震が無いことでも有名なのに、凄い揺れに揺れるもすぐに止んだ。

 だが、外を覗くと一気に全てが嫌でも納得させられた。

 あの高層ビルが崩壊したのだ。

 一気に爆風の様に煙が飛んで来る。

 煙と瓦礫が飛んだ影響で何も見えない。

 あまりの勢いで周辺に居た人間達は慌ててホテルや店に逃げ込み、難を逃れるも風圧と瓦礫がガラスを突き破り、二次被害が起きる。

 たまたま運良く光喜の居るホテルは離れた位置、階は8階な為、ガラスが揺れるだけだったが、下は煙というべきか土煙にも似た茶系の色も混じっており、入り損ねた人々が煙と風圧から逃げ惑う。

 光喜は外へと飛び出すも、保健医の先生に止められ、ホテル従業員が客室に残っている客を宥める為右往左往し、状況説明を求める客達に圧倒せれつつも必死に宥めていた。

 皆が心配なのと今の状態が分からないままの恐怖は残されたもの達にも心を抉る。

 光喜は渉と加原舞と咲楽が心配で仕方がなかった。


 崩壊した高層ビル、運が良かったのか悪かったのか、榊田渉は目を覚ます。

 瓦礫が体の下半分を押し潰す。

 痛いのか分からず、辺りを見渡す。

 そこにはフードを被った男が片手を上げては振り落とす動作を繰り返し笑っている。

 男の近くに瓦礫で上半身が見えないが加原舞であるのは分かった。

 必死に踠く加原舞から瓦礫が浮いたかと思えば、何度も瓦礫が押し付けられる様に、下敷きになり、悲鳴にならない悲鳴が彼女から聞こえ、榊田渉が声を上げた。

「やめ、や……や、め、……やめろ!」

 必死な声が男の耳に入ったのか、男がこちらを見て、微笑んだ。

 榊田渉がその男の顔に恐怖した時、逆の片手が上がったかと思ったら、振り下ろされた。

 瓦礫に重さが体に伝わり、下半身を潰す。

 痛さで渉からも悲鳴が上がり、男が再度加原舞に向かうも、息をしていない事に気が付き舌打ちをした。

 その直後、思い切り片手が振り落とされた。


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