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命中

 近くに寄ってくる狩人達を薙刀で振るい、次々と斬り付け、近寄らせないようにし、冬美也を見て言った。

「あら? ごきげんよう、下がってしまうのはまだまだ力不足ですよ」

「そ、そっすね」

「こちらで理美様を預かりますから、君は少し休みなさい」

「はいすいません」

 力の差は歴然で下手に刺激したら1番厄介なので、刺激しないようにした。

 琴が来た事に気付いた日向は言った。

「中沢! 頼む! このままじゃ埒があかん!」

 冬美也から理美を託され、抱き抱えたながら琴は日向に話す。

「あら? 日向さんもここに? それは良かった、今ジャンヌと一緒に来ているんですよ」

 上を見れば、飛んでいるジャンヌがいた。

 ジャンヌは辺りを見渡し、丁度良さげな屈強な狩人を見つける。

「おっ? 丁度良い生贄を見つけたぞ、琴」

 日向の雷に当てられても一切怯まず突っ込んでいく屈強な狩人を見たジャンヌは、その狩人だけに強風を起こし、舞い上がらせた。

 それを見て、琴はジャンヌに言い、冬美也を見た。

「捕まえておいてください、冬美也は如月君の元へ」

「理美を頼む」

「言われなくとも」

 薙刀の鞘部分を使って、上へと舞い上がった。

 屈強な男は宙に舞い、動かず仕舞いで異能も使えず慌てふためいていた目の前に琴がやって来て、理美に促す。

「それでは、どうぞ」

「あ、りが、とう」

「はっ? 何を?」

 屈強な狩人を触った直後、理美が降りて来た。

「復活! ごめん、今生き返った!」

「では、始末致しますので隠れていてください、そちらに行ったら容赦無く始末を」

 琴も降りてきて、理美に指示しそのまま狩人達を狩りに行く、どんどん血吹雪が舞い、頭や四肢も舞っていた。

「はい」

 あまりの風景に絶句しつつも、光喜達の元へ駆け寄った。

 光喜は喜ぶも今のはと言いたい言葉にどう表せば良いか分からない。

「良かった2人とも無事、と言うかあの、アレは?」

 そう言う間に、あの屈強な狩人が落ちて来た。

 生きている、だがあまりの吐き気と気持ち悪さに悶えていた。

 理美は言った。

「移した」

「移した?」

 光喜にはどういう意味か分からなかったが、冬美也が代わりに説明してくれた。

「管理者には色々居て、理美の場合異能持ちの管理者だ。これは時間系らしく、自分が怪我や精神状態或いは病気系等の時間をそのまま相手に移し、自分は回復する。でも、結局移す為にも力が必要だから、今は無理させれはしないが、動ければ良いよ」

 少々訳わからない部分もあるが、今までの酔っていたのを全て相手に移し替えたのだと丁度落ちている狩人で理解出来た。

 そして、今度は冬美也の今まで隠していた異能について聞いた。

「で、冬美也は?」

「……言いたくない」

「なんで⁉︎」

「バレてるのに⁉︎」

 流石に理美ですら突っ込んだ。

 仕方がないと降りて来たジャンヌが説明した。

「体を金属性に変える異能だ。しかもコイツ変形可能なタイプでな、金属性と言った通り、色々な金属に変えれるんだ」

「成る程、なんか納得した。鍵無くしても便利な能力だな」

 意外な言葉にホッともしたし、そんなしょうもない事を言われ冬美也が突っ込む。

「おい」

 近付いて来た狩人達はジャンヌが鋭利な風に変え、瞬殺した。

「鎌鼬、妙に多いな何処から湧いて来てないかコレ?」

「それか、分裂タイプの異能か?」

「ふむ、ドチラカトいえば前者ですね。後者もいる可能性もありましたが、個々がシッカリしています」

「じゃあ、この開いた奴が他に穴開けたって事か?」

 ワラワラと出てくる狩人をジャンヌが蹴散らすも、隙を狙って襲って来る。

 異能を使う瞬間に、理美がけたぐって相手を失神させた。

「多分、そろそろ落ち着くと思うよ?」

 理美の言葉にニュートンは言うと、理美のアースも現れた。

「出たな、予知者」

「まぁ、もう勘付いてたの?」

「周りの会話とチグハグなのに、妙に皆が合わせてると言うより、皆信用している感じがしたからな」

「確かに当たってることが多いけど、あまり信用しすぎちゃダメよ。当たらなくなった時、あの子のせいではなく自分で考えずに頼り切った者よ」

「だそうだ光喜、肝に銘じておけ」

 何故か自分に言うので聞き返す。

「なんで俺に言うの?」

 そんな時、マシンガンを持った狩人がこちらに向けて乱射した。

 冬美也が再度盾を作って皆を呼ぶ。

「ちっ、皆後ろに!」

 琴も勘付き、手を翳すと殆どが静止するも、他が流れて行ってしまった。

 ジャンヌは風で流れを変えるも、マシンガンが止まず、飛ぶ弾丸は範囲が広過ぎる。

「首を落とすか」

 琴は一気に飛び上がりマシンガンを持つ狩人に薙刀を振り落とすも、他の狩人が邪魔をする。

 無論、邪魔しただけでは琴は倒せず、逆に真っ二つにされた。

 冬美也の盾のお陰でとりあえず無事だが、勢いのある狩人に圧倒されている。

 どうしても光喜は皆の手助けに入りたいがニュートンは慎重だった。

「ニュートン、今なら!」

「仲間まで巻き込むってさっき言っただろう! 琴をよく見ろ、相手が金属類を持っている相手かどうか良く見ている。日向は体でちゃんと感じ取れるし、ジャンヌは同じような癖があるタイプだが風の流れを良く読み操っている相当経験を積んでなんぼだ。お前は? あの時使ったっきりだ、何度も失敗して使えなくなったら意味が無いだろう。本当なら、経験積ませる為無闇矢鱈と使わせたいのが本音だよ。だが、減り具合が良く分からん、練習するにもまがい物無しでなんか出来ない。力加減を最小限にしてどの位かもな」

 漸くニュートンから本音が出た。

 やはり経験者と初心者の差以前にそもそも機能に問題を来した状態で何処まで行けるかも分からない。

 しかも、仲間がいる以上下手な鉄砲数うち当たる様なバカな真似も出来ないのだ。

 するとその会話を聞いていたカーミルが言った。

「彼なりの優しさデス、ですがもし、出来る相手がサポートしてくれれば行けますよね?」

「そりゃな、出来る奴がここに居ればの話だ」

 ニュートンの言葉に偽りは無い。

 出来る人が1人居る、でも今は一と一緒に別行動していて不可能だ。

 理美はここで何かを感じ取り言った。

「来る! 頭下げて」

 頭を下げさせようとして、返って皆を押し倒してしまった。

 だが同時に別空間が開き弾丸が吸い込まれ、次の瞬間マシンガンを使っていた狩人に全弾命中した。

 その空間から誰かが出て来た。

「すいませーん! お待たせしました! これより特別異能課、武中津(たけなかつ)(まもる)が皆さんの護衛を承りま〜す!」

 衛の後から一も出て来て、他の狩人を叩き斬った。

「おぉ相変わらず凄いなぁコレ」

 更に後から拳銃が勢いよくぶん投げられ、狩人の1人に直撃した。

「畜生、もっと早く来い衛! 弾が全切れだ!」

 透馬だが、相当不機嫌だ。

 ギリギリに合流したようで、弾の補給も出来なかったのだろう。

 衛はブチギレにはブチギレ返した。

「先輩、無茶言わないでくださいよ! 漸く結界を一通り直して開通させて、更に狩人の出てくる所全て閉鎖したんだから寧ろ褒めて欲しいですよ」

 透馬はそのまま立ち上がった光喜を見つけ、徐にやって来ていきなり肩に手を置いた。

 驚いた光喜が言った。

「何ですか⁉︎」

「坊主、初心者だろ? なら、今回限りだ。弾切れに感謝しろ、力を貸してやる。言っただろ? 私が触っていれば必ず命中させるって、まずはイメージ、誰をまず押さえたい?」

 透馬の言葉に緊張するが、絶対外さないと言う自負もある透馬を信じて、ニュートンも光喜に力を注ぐ。

 光喜はまずこちらに近付いて来る複数の狩人を見て、重力を少し強めにと念じながら力を使った。

 すると不思議な位にその狩人達に命中し、重力の強さに動けなくさせた。

 琴がマシンガンを持っていた狩人が撃たれ世界に食われた後に残っていた弾丸等を広いあげ投げたと同時に手をひらりと動かすと、弾丸は凄い速さに変わり、動けなくなった狩人達に貫き、同時に世界に食べられた。

「君ね、甘いよ? 迷い込んだ哀れなイビトじゃない限り、コイツら全員有害で異能者や頭の良い奴を異世界に連れ去って金に換えたり、依頼主に送り届ける罪人中の罪人、だから狩人って言うの。昔ならそのまま乗り込んで襲撃出来たのに今って面倒」

 琴の言葉に萎縮してしまう光喜に対して、ずっと聞き耳を立てていた一が狩人を斬りながら代わりに言い返した。

「いやいや、幕末だった頃の話しても分からないでしょ、現代の子にもペースってあるでしょう? 琴さん」

 一の言い分も分かるのか、琴は不貞腐れながら手を握ると一部の狩人が金属系のアクセサリーを身につけていたのだろう、首に腕や耳等を絞めつけ体の内部に入り込み倒れ込んだ。

「そうですけど、どうしてどの時代の男どもはこうも軟弱なんですか?」

 琴が可愛げたっぷりに言い返すも、一はドン引きしながら言った。

「あなたが強すぎなんですよ!」

 確かに琴の言う通りだが、やはり殺す事に気が引ける。

 それでも自分で皆の助けになる方法を考え、とにかく回りを封じ込めに専念することにした。

 最初の時より範囲も少し広く、ニュートンも安心して力を貸してくれている感じだ。

 重力により動けなくなった所を上からジャンヌが鎌鼬を撃ち放つ。

 少しずつだが、狩人の人数が減っているのに気が付いた。

 衛が言っていた閉鎖してくれたお陰で回りも勢いが付いている。

 ふと、目に入ったのは、一部だけ怯えて逃げるもないし、一通り見て撤退を判断した狩人が1人の仲間に擬似空間に穴を開けるよう指示している様に見えた。

「衛さん! 向こうに逃げようとしている狩人が擬似空間に穴開けてます!」

「はぁ⁉︎ 許さん! だが、撤退判断と見れば、コイツら生捕り出来ませんか?」

 そう、判断が出来る連中は恐らくリーダーか依頼主との繋がりが強い狩人に違いない。

 生捕りにして尋問を掛けたいと考えた。

 光喜はさっきのように重力圧で抑えればと考えるも、アイツらを良く見ると、術式を描いて、1人を守る為に異能を掛けている様にも見えた。

『そういえば、重力に愛されし者なのだから、逆に無重力出来ないかな?』

 そう思ってつい軽めに無重力が出来るかやってみた。

 慌ててニュートンが声を荒げた。

「バカ! 本当に無重力にする奴あるか!」

「はっ?」

 その声に気が付いた冬美也は透馬に慌てて触って言った。

「透馬さん、離れて、このままじゃ狩人達が死んじまう!」

「無理だ、他者が使っている最中に離れられないんだ! 坊主、一旦力を止めろ!」

 光喜は一体何を言われているか分からず、とりあえず解こうとしたが、解除の仕方がいまいち分からない。

 それもその筈、全く逆の事をしたのだ。

 撤退しようとした狩人達が一気に浮いた。

 普通、アニメや漫画等は宙に浮く話は山程ある。

 浮いたらそのまま動かない或いは自由に動くことが出来るそイメージしかなかった。

 ところがだ、急に狩人達が一斉にある方向へもの凄い速さで動き壁に激突した。

 それを見た光喜は血の気が引いた。

「どう? あえ?」

 冬美也は光喜に無重力に付いて説明を始めた。

「いや、無理は無い、お前が悪いわけじゃない。擬似空間にも重力がある現実と一緒だな。1番分かってないから説明するぞ? 遠心力と万有引力が重力になる。だけど、地球は回っているんだ。自転してるんだよ。一緒に回るのは何%か重力を残しているんだ。残さずに無重力を時間かけてやったら宙に浮くが0%にすれば、自転に負けるに決まってるだろ」

 ほとほと呆れるニュートンも言うが、ある方向へ指差す。

「寧ろ、無重力に近い状態にするのは1番の上級だ。アイツのお陰で死ななかっただけマシだ」

 丁度上の使えなかった渡り廊下から浅黒い肌に白髪の女の子が腕を力込めながら何かをし、同時に睨みつけるようにこちらを見ていた。

 ずっとカウンター後ろに隠れていたカーミルが出てきた。

「おぉ! ワタシの娘ですザフラって言います。彼女は異能者でキサラギ君と同じ重力使いなんですよ」

 その言葉通りで、ザフラはわざと壁を重力で凹ませ、更には無重力の状態を重力でゆっくり相殺させ、狩人は失神しただけで済んだ。

 ザフラは大声で言った。

「使えない癖に、使ってんじゃない!」

 相当怒っているのは分かっているが、光喜は同時にこうも感じ口にした。

「ご、ごめん! でも、ありがとう!」

「なっ! 父様の仇なす者を生捕りする為で軟弱者の手助けしたわけじゃない!」

 戦っていた管理者達はザフラが急にツンデレたと言う気持ちになったがあえて伏せて、そのまま後の残党を片付けた。


 何時間経ったのだろうか、一部の狩人を除き退治し、皆は擬似空間から脱出した。

 出て来たのはホテルの外裏側の従業員ですらあまり通らない場所だった。

 他にも特殊異能課達も居て、光喜と冬美也の服装が戦いで少し痛んでいたのか新しいウェーターの制服を渡してきた。

 日向や琴達にもスーツを渡し、鶴野がやって来た。

「ごめん、皆大変だったみたいだけど誰も欠けてない?」

 凄い心配して今にも泣きそうだ。

 だが、一は笑いながら余計な事を言った。

「それは管理者として見れば大丈夫なんだけど、異能者側の一部が何者かに殺害されていた。幸いと言うべきか擬似空間で亡くなっているからホテル内は大丈夫だ」

 鶴野は泣いてしまった。

「大丈夫じゃない‼︎」

 仕方がないだろう、例え何事も無くパーティーは滞り無く無事に終わるだろうが、海外からも派遣されている異能者も沢山居たはずだ。

 それが死んでいたと気が付けば、表立っては無いだろうが口うるさくなるのは目に見えていた。

 しかも鶴野のホテルで起きたとなれば、暫く使ってもくれなくなる。

 鶴野は絶望に打ちひしがれた。

 その奥から坂本がやって来て、鶴野に落ち着いてと慰めつつ、指示をした。

「しょうがない、子供らはボディーガードと保護者はそのままパーティーに出席、私と衛と透馬に異能者はこっち、後申し訳ないけどジルはこっちな」

 光喜は既に冬美也に連れて行かれもうここにはおらず、まだ残っていた琴と日向にドレスがダメになって同じのを探して貰っているジャンヌと途中参戦してしまった為、こちらもドレス探しになっている理美をドレスが見つかり次第すぐに連れて行く事にした。

 しかし、ただ巻き込まれただけのジルは怒るしかなかった。

「バイトー!」

 坂本はジルの肩を叩きながら、手当てや服装等を提供して貰っているカーミル達に近付き言った。

「狩人達を恨むんだなぁ、それとカーミル国王陛下とザフラ様はとりあえずパーティーへ、側近の代表者だけこちらへ、あなた方の身内が死んでいるので」

 カーミルもその事は透馬に聞いているので同意しつつも、情報提供を求めた。

「……ふぅ、分かっている。そうですね、こちらに全ての情報を提供してくださいね」

 ただ今のいままで振り回された坂本達はかなりご立腹な様子だ。

「そなこと分かってます。一ちゃんや、カーミル国王陛下絶対逃すな」

「分かってまーす」

「逃げませんよ!」

 その後ろからザフラと側近の人達が口にはしていないが、非常に迷惑がっていた。

『勝手に消えるくせに』

『本当に早く国に帰りたい……』

『このまま平和に終われるのだろうか……』


 パーティーは滞りなく平和に終わり、あの時酷い人酔いしていた理美もなんだかんだこの後酔わずに終わる事が出来、光喜達はと言えば、最後の後片付けを行っていた。

「新人達、次はこっちの片付けお願い」

「はーい」

「ただいま」

 先程の戦いでパーティーも終わっているものだと思っていたのに、会場に戻ってみたら、まだ数分しか経っていなかった。

 勿論、あの後人酔いした人大変だったでしょうとリーダーがさらっと言い、早く場に戻ってねと指示され今に至る。

 一通り後は掃除だけとなってから、鶴野に呼ばれた。

「はい、お疲れ様後はこっちの社員が掃除するだけだから、もう終わっていいわよ。着替えたら控え室で待っててお給料払うから」

 着替えを終え、控え室で待っていると鶴野から封筒を渡された。

 大体五千円入っていればいい方と思っていたが、色々トラブルに巻き込まれたからと高校生からしたら結構良い額を貰った。

 リーダーと鶴野からはまたちょっとしたパーティーとかあったら声掛けるからと見送ってもらい、光喜と冬美也は帰った。

 

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