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狩人

 ホテル内の裏廊下、普段は社員通路として使われ、基本外の人間はある事は無い。

 その中に5、6人の武装した男達が音を立てずに走った。

 1人が壁を背に曲がり角を覗く。

 誰も居ないのを確認後、曲がるよう促し、皆曲がった。

 だが、その通路に1人立っていた。

 問答無用でマシンガンを撃ち鳴らす。

「全く、多くの客人が居るのにそう撃ち鳴らされては困るのだよ」

 ジャンヌが風を使って、弾丸の起動をズラし全て弱まり落下した。

 マシンガンが使えないとなると、今度は力を使ってマシンガン自体を投げたかと思えば、凄いスピードでジャンヌにぶつけようとした。

「なるほど、念力と言うやつか。悪いな、金属が使われている物はもれなく、琴の許容範囲だ」

 マシンガンは何かの衝撃で粉々に割れ、崩れ落ちてしまった。

 スーツを着こなす黒髪で背の高くもスラリとした綺麗な女性が薙刀を持ってやって来た。

「困りますわ、今理美様達の元へと急いでいるのに、邪魔されては」

 それなりに広い通路と言うわけでは無いが、薙刀を振り回す。

 壁やら床に刺さりそうだが一切それが無く、そのままの勢いで男達を蹴散らし、殺していく。

 やられっぱなしではなく男達も応戦するも、琴が片手で指を立てた時、落とされた弾丸が勝手に動き出し男達の体にめり込み悲鳴を上げ、もがき苦しみ、そのまま貫くと共にピクリとも動かなくなった。

 男達はイビトだったのだろう、皆世界に食べれた。

「とりあえず、助かった琴」

「いいえ、これも仕事ですから、そういえば理美様はどこへ行ったか知りませんか? 人酔いしたので会場から出たのは知っているのですが」

 どうやら何処で休んでいるのか分からずに、探しに来ただけのようで、困っていた。

 ジャンヌも理美を探していたが、アースがイビトの中でたちの悪い狩人の気配を察知しこちらに回った。

「残念だが、ボクらも探している。恐らくこの連中は狩人だ。今人酔いして動けない理美は危ないからな」

 琴もなるほど助かりますと軽く述べた時、知人についでと頼まれた事を思い出す。

「それと、カーミル国王知りません? 今外交の(はじめ)が探しているのですが、途中で逃げられたらしくて、カーミル国王側近達と探しているらしいです」

 この言葉に、お互い頭を抱えた。

 どうやら、カーミルは目を盗んで逃げる達人のようで、昔から側近どころか管理者達を困らせる要注意人物だった。

 だが、ジャンヌは今回はもっと危険を感じ取っていた。

「……やばいな、最近B国とS国、仲が悪いの知っているだろう?」

「元からな筈ですが? あの崩落事件にB国の重役の何人かも巻き込まれたらしく、それに対しての対応が日本より酷い扱いらしいとは聞いてましたが?」

 万が一B国が狩人に依頼をしていれば、今回の狩人の行動に意味が合致してしまう。

 そしてカーミルは国の象徴の国王が運良く拉致悪くて殺害されれば、外交問題がもっと深刻になってしまうのは間違いない。

 ジャンヌは琴に言った。

「それだ、多分もしこの狩人の中にそう言った関係を知っているのが居てカーミル国王に何かあれば、日本の印象も悪くなる。特にS国は親日が多いから亀裂を入れられたらたまったもんじゃない」

 琴は逆に坂本がそんな事が起きないよう腕の立つ人間を1人付けているので大丈夫と踏んでいた。

「確かに、とりあえず坂本さんの部下の皆様も居ますし、毎回こう言った外交絡みのパーティーには必ず1人後付けさせてるって言ってましたし、大丈夫じゃないですか? 寧ろ理美様は人酔いしてダウンしてるから心配なんですが……何処で休ませてるんですかね、あの銀髪くんは?」

「冬美也はなぁ……頭は良いしある程度対処出来るが、体力が無いやつだからなぁ」

「私と居れば多少使い道はあるのですが、誰か管理者かこちら側の協力者が到着していればなのですが」

「一達を信じるしかない、きっとカーミルも理美の所だろう、アイツ勧誘するの好きだから」

「なら良いのですが……」


 簡易ラウンジ――。

 しきりのガラスが一気に飛び散った。

「なんだ?」

 いきなりの事に冬美也が急に起き、振り向くと拳銃を持った男達に道を塞がれ、逃げ場がない。

「動くな、お前、人工異能者だが、脳みそもとても素晴らしいし、そこの娘もだろう? 下手に防御や攻撃してもこの人数の異能者と戦えばお前も今横になっている娘もただじゃ済まないのは頭のいいお前なら分かるな?」

 男達の中に威嚇行動で能力を見せびらかしていた。

 辺りを見渡し必死に考えた末、ある言葉を発した。

「――……分かった」

「ふん、分かったなら――」

 男が言い掛けた時、冬美也は言った。

「仕事だ(はじめ)!」

「了解だ」

 眠っていた理美が飛びあがり、いつの間にか刀を抜刀した状態で、何人かを斬り刻む。

「なっ! 貴様!」

 男が電気系の異能者で辺りを電気で飛び散らせ壊しまくり、冬美也に触れようした。

「残念だ、こちらも雷に愛されし者、貴様は相性の考えを持ち合わせていないのか?」

 眼鏡を掛け、片手で力を押さえつけ近づくにつれ、ゆっくり姿が変わり、いつの間にか日向になっていた。

 他の異能者に体を変形させるタイプに理美は器用に避け続け、懐に入り刀を突き刺す。

「やっぱり、予知と言うか未来視は便利だけど、酔う!」

 そう言って、頬をから何か引っ張り出すと、髪の毛が取り除かれ、しっかりした筋肉質の男性の姿へと変わる。

 日向はいつの間にか上着を羽織り、一に言った。

「一応、遺伝子に組み込まれてるんだなそれ」

 流石に一は気持ち悪さで片手で口を押さえるも、刀を構えた。

「そのようで、ただ、まだまだいるな!」

「これはこれは、お盛んなガキどもだ」

 日向は懐から短刀を取り出し、男達の異能を軽やかに避け、致命傷を瞬時に見分け刺し殺して行く。

 一も綺麗に避けては流派を使い斬り殺して行く中、相手側の1人に蛇のような視野を持っており、冬美也達が物陰に隠れているのに気付き、2人よりもしなやかに素早い動きで冬美也達の元へと走った。

 理美を抱き抱え隠れていた冬美也も近付いている男に気付く。

 日向も一も応戦しようも男はトカゲのように蛇のように逃げきり、冬美也達を見て捕まえようとした。

「冬美也!」

 慌てて日向が近付くと、鋭い金属性が男を突き刺している。

 良く見れば、突き刺さっていると言うより、男の体に細い金属性が入り込んで男はどうなっているのか分からず動けなくなり、何か神経をやられたのか、金属が離れたと同時に倒れてしまう。

 だが、目は開いたまま動けないで男は苦しそうだった。

 冬美也は緊張したまま体が震えたまま言う。

「び、ビビった……!」

 一が襲ってくる狩人達を斬り付けながら突っ込んだ。

「寧ろこっちがビビるわ!」

「そのまま動くな、こっちが対処が終わるまで!」

 日向の言う通り、冬美也は理美を抱きしめたまま大人しくした。

 そうして、一通り全て斬り付け、殆どの狩人はイビトの為消えてしまった。

 一は動けなくなった1人を殺さずに懐から結束バンドを取り出し縛った。

「しっかし、運のないトカゲ様だなぁ。後で坂本に渡すから、縛っておくか」

 冬美也も安全になってから理美を抱え出て来た。

「神経を少し触ったから、暫くは動かないけど?」

 日向も万が一の為と言い、自分達の本来の目的を話した。

「それでもトカゲなのか蛇なのか分からん奴だ。念に越したことはないだろう? ところで、お前達、カーミルは見てないか? 一達が探してるからてっきりまた勧誘で理美の元へ来てたと思ってたんだが?」

「いや? 寧ろ、光喜に琴さんかジャンヌ先輩を呼んできて貰う為頼んだけど、日向さん達が来て早々に狩人に襲撃受けたんだけど?」

 結束バンドで縛り終え、一も話に参加した。

「如月君にか? 自分らも会場から君と一緒に理美を連れ出したのが最後だな?」

 ここでようやく光喜が会場に居ない事に気付く3人は1番考えたくない最悪な状態を考えてしまう。

「……」

「……」

「……」

 口にしたくない3人だったが、冬美也はもう口にするしか無かった。

「光喜まさか、カーミルと一緒?」

 3人は一気に顔が青くなる。

 一も絶対に無いと信じて拒否をした。

「いやいやいやいやいやいや!? そんなの絶対無いでしょ!」

 それでも万が一本当に一緒に居るとしたら、光喜自身、この状況が不慣れな分かなり危険だ。

 日向はもしかしたらと一に言った。

「……カーミル国王は崩落事件の運良く行かなかった人達に対する誹謗中傷による第2次被害の人達のケアを考えていて、対象者に如月君も入っているのなら、一お前知ってるんじゃ」

「それでも、ただでさえ負担額が多いから結局直接の被害者またはその家族のみに絞られたから、無くなったんだし、てかさ、如月君はどこでアースと出会ったか聞いた? 思い出したんだったら、その辺聞いてるでしょ?」

 一はその案の拒否を知っていた。

 しかし、カーミルの特性を知っており、もしかしたらアースに関わる何かで、会う為に近づいた可能性が出た。

 冬美也も光喜にアースに対してS国で出会った事を直接聞いていない為知らないが、否定も出来ない。

「聞いてない、でも、カーミルが光喜に会う理由として考えれば、S国にあった可能性があるだろう」

 だんだん危険性が増してきて、一はまず光喜がどんな愛されし者か知っておくことが必要と判断した。

「とにかく急がないと危ないな、彼、どんな愛されし者? 俺は知らないぞ?」

「重力に愛されし者だ、かなり癖の強いウェポン型だ」

「ますますダメなヤーツ」

 冬美也の一言で頭を抱える羽目となった。

 日向はこのまま話ていても仕方ないと歩き出す。

「まずは、如月君との合流だ。冬美也は何処行ったか分からないか?」

「さっきも言ったけど、リーダーとかが人酔いしたお客様をここのラウンジや外庭、中庭に案内して連絡って言ったけど、全然繋がらないんだ」

 冬美也の話を聞いて、日向と一はスマホやイヤホントランシーバーで確認する。

 圏外に、トランシーバーはノイズだけだ。

 日向は言った。

「……結界破壊は勿論だが、電波障害も視野に入れた方が良いな」

「冬美也と理美はこのまま俺らと行動良いね?」

「はい」

 一の指示で冬美也は大人しく従い、共にこの場から離れた。


 その頃、カーミルの側近の一部はニカブを纏った数名が敵側の狩人達と応戦していた。

 S国の母国語で話す。

「全くキリがない! 国王陛下は何処にいるの!」

「そりゃ、母国にいたアースの契約主とでしょ? バカ陛下が考えそうなこと」

「あぁぁぁありえる」

 拳銃や武器を所持し、稀に異能を使って狩人を殺しながら少しずつ圧制していた。

 しかし圧制はするも、中々進まない状況に苛立ちを見せた1人が立ち上がり言った。

「お前ら、私は父を探してくるから足止めを頼む」

 ニカブを被った側近は深々と頭を下げた。

「はっ!」

「お気を付けて、姫様」

 姫と言われた1人はいきなり飛び上がり、いつの間にか狩人の真後ろに立ち、気付いた狩人が銃を向けるも、先に攻撃を受け死んだ。

 他が手を出す前に、姫は手を軽く下へと下げた時、武器が全て重く持てなくなってしまい、それを捨てて攻撃をしようにも、援助攻撃によりどんどん撃ち殺されていく。

 姫はそのまま走り去って行った。

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