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狭間のバー

 ジャンヌと光喜は、住宅地を歩いていた。

 狭間のバーと言っていたが、一体どういう事なのか、そもそもバーに未成年が入って大丈夫なのかとか色々光喜が不安になっていた。

 たまにジャンヌが日向と連絡を取り合い、場所を何度も確認していた。

 ふと、普通の民家と民家の間に入ると、壁沿いにありえないOpen看板が置かれていた。

 何かの間違いかと思い、ジャンヌに聞いた。

「あの、先輩? これは?」

「おぉ! ここだココ。ほら、扉があるだろ」

 看板の隣の壁に扉があった。

「裏口?」

「違うぞ、ここは様々な世界が折り重なり、その間に層が生まれ、その間と層の中に存在する空間に気付ける者しか入れない場所、狭間のバーだ」

 ジャンヌは言いながら、その扉を開けると、木材をメインとした西部劇にも西洋にも似た酒場の内部があった。

 しかし、酒場には人ならざるものや獣人にエルフの様な姿に、普通のサラリーマンが一緒になって酒盛りをしていた。

 他に目をやると、異端者同士で腕相撲をしているらしく、かなり白熱している。

 明らかに場違いな格好をした人間や囚人見たいな化け物も食事をしつつ最近の近況等を話していた。

「ここって学生が来ちゃ不味かったんじゃ」

「普通に理美も来るぞ? 坂本達が連れて来てから、割と遊びに行く感覚で、この前は冬美也とフィンと3人で行ったと冬美也から聞いた」

「冬美也達も来てるの⁉︎」

 一日で何回驚いたのだろうか、そう思っている矢先に誰かにぶつかった。

 しまったと思った。

 こういうのは大概怖い人にぶつかっていると相場で決まっている。

「ごめんなさい! わざとじゃないんです!」

 急いで謝罪した。

「あらぁ、こちらもごめんねさいねぇ! 1人で切り盛りしてるから、普段は力使ってやるんだけど、今日は久々に動いてるのよぉ!」

 背が高く色黒で肩までのウェーブ金髪のおかまのお姉さんがビールジョッキを持っていた。

 戸惑っている光喜にジャンヌは説明した。

「この人がここのバーのマスター、山田吾郎さんだ」

 山田吾郎が男前で言った。

「ジャンヌちゃん、俺はキャサリンだぜ」

 あまりに男前の山田吾郎改めてキャサリンに驚く光喜は声を出さずに心の中で感想を述べた。

『お、男前になってる』

 そんな中、女性の声がジャンヌを呼ぶ。

「おーい、こっちこっちジャンヌちゃん!」

 髪の長い女性が立って呼んでいるのが分かるや否やジャンヌは光喜を引っ張ってそっちへ行くと同時にキャサリンにジュースを頼んだ。

「山田吾郎さん、ボクと彼には採れたて果物ジュースで」

「あいよ! だから、キャサリンだってばぁ!」

 毎度声のトーンが変わるキャサリンを見ている客達は、少々驚く人も居たがまたかと言う客も居たので、日常茶飯事なのだろう。

 光喜はジャンヌと共に呼ばれた席に来た。

「お待たせ、光喜を連れて来たぞ」

 女性が2人と日向の計3人がいた。

 黒髪の長い女性と黒髪の短い女性が既にビールジョッキで何杯か揉み干していて、日向はウィスキーをロックで飲んでいたが、酔っ払ってる程でも無かった。

 髪の長い女性から自己紹介が始まった。

「新しい忘れん坊の管理者君が君ね、私は坂本辰美。よろしく、んでこっちが同期の――」

「鶴野蝶子よ。ほら、ツルノホテルグループの取締役社長してるの」

 日向と鶴野を見ると、仕事帰りなのかスーツ姿だ。

 坂本も見れば、と思ったが彼女の方は私服だった。

 日向は光喜に言った。

「彼女達は我々よりも大分先輩だが、もっと古参も多いが彼女達に連絡を入れたらすぐに来てくれた。君に説明をと紹介を兼ねてね」

「すいません、なんか、後凄いですねココ」

「分かる奴には分かる気紛れだが最高の隠れ家の酒場さ」

 光喜と日向が話している間に、ジャンヌは坂本と鶴野の近くに座って、鶴野を心配した。

「坂本さんはともかく、よく鶴野さんも来てくれたな、絶対仕事忙しいでしょう?」

「大丈夫よ、漸く目処ついて、落ち着いて来たから、それより彼が管理者なの?」

「うん、日向と一緒に再確認したらちゃんと話せたし、アースも触れたからやっぱり管理者ではあってる。でも出てこないのは出会った記憶がどうも忘れているのか、覚えていないのが原因らしい」

「あらま、初めて見るパターンね。で、どうするの? 今回は管理者とは何かの説明するって、もう不死鳥みたいな生き返り方も日向とジャンヌちゃんなら教えてるっぽいけど」

 ジャンヌと鶴野も話に夢中になっている最中、坂本はビールを頼んでいた。

「キャサリーン! ビールおかわり! 後あの子達用のご飯も!」

「はーい、どうぞ!」

 キャサリンは急に指を鳴らした。

 いきなりサラダと異国料理と先程頼んでいたジュースにビールが出現した。

「うぉお!」

 光喜の驚く顔に満足し笑う坂本は聞いた。

「管理者の説明とそれともバーの説明どっちからする?」

「やめろ、まずは管理者の説明させろ」

 即座に日向が止めに入った。


 改めて、今回の目的の説明に入った。

「我々は先程言った通り、不死鳥の様に何度も歳を取り再度会った姿で生き返る。坂本と鶴野は平安時代辺りからになり、坂本に至っては鶴野と違って色々やってたな。会ったのはわたしが死にかけの時に助けられたから何とも言えんが」

「そうそう、私、忍者してたんだぁ」

 坂本が大分出来上がって来ていたのか、日向に絡んで来た。

 ジャンヌと鶴野は黙ったままその光景を見ていた。

『もう酔ってる』

『絡み酒始めた』

 光喜はどうすれば良いのか慌て始める。

「日向さん! 大丈夫です?」

「良いの良いの、あの後殺すか殺されるかの間柄だったし、流石に織田と徳川に嫌がらせするつもりがマジであぁなるのは笑った」

「やっぱりお前があの事件の犯人か」

「だってぇ、まさか字を見れば分かるのにキレたのアイツだしぃ」

 余計に光喜を困らせに入った。

 ジャンヌは楽しそうだなと思いながら心で言った。

『信康切腹事件』

「日向君も坂本につられて話ズレてるわよ」

 鶴野が間に入って漸く話を戻した。

 日向も咳払いをして改めて説明に入った。

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