表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/11

いつもの山登りだったのに・・・

生まれ育ったのは、小さな漁村の田舎町です。


小高い山に囲まれた湾に沿って家々が並んでいます。


私の家はその湾から直線で50mも離れておらず、家の後ろは小さい山がありました。


山の入り口には1本の梨の木があり、雑木林の間に獣道のような、人が一人歩けるくらいの道が山に向かって伸びている、小さい小さい山でした。


小学生低学年の子供が一人で遊べる様な所なので、大した山でもないのだけれど


山に登って降りてくるまでに、2時間は時間がつぶせるので、ちょうどいい遊び場所だったのは間違いありません。


ある日曜日の午後、いつもの様に山に登って適当に遊んで、そろそろ帰ろうと山を降りだした時です。


急にあたりが霧で包まれました。


まぁそれでも、いつも遊んでる場所です。


道は1本道なので迷うことなく帰れます。


家も見えていましたし、テクテク山を降りていました。


そろそろ、到着してもいい頃なのに、まだまだ道が続いていました。


おかしいとは思いながらも、まだ低学年です。


早く家に着かないかなって思いながら歩いていました。


それでも、家にはたどり着けません。


悲しくなってきます。


2時間は歩いてる気がします。


いつもなら、とっくに家にたどり着いてお菓子でも食べている頃です。


とりあえず走れば早く着くと思い、走り出しました。


ようやく下り坂が終わった思ったら、見慣れない草原にたどり着きました。


??


振り向いたら、いま歩いてきた道に更に濃い霧が立ち込めてきました。


なんかまずい!


と思ったので、来た道を戻ろうとしたのですが霧が深くなり、道がわからなくなりました。


さっきの草原に戻るか、このまま山を登るか悩みました。


ここで間違った選択をしたのかも知れません。


疲れてたので、草原に戻る事にしました。


今来た道を引き返し、草原まで来ると膝より上はもう霧で何も見えません。


進むことも出来ず、そこで膝を抱えて座ってしまいました。


そのうち誰かが探しに来てくれると・・・


こんな草原は私の住む街には無いのですから・・・


気が付くと、泣いていました。


泣いたところで誰も来てくれませんが、声が聞こえるかもしれないので、大声で泣いていました。


しばらくして、泣くのも疲れた頃に少しだけ霧が晴れてきました。


まっすぐ歩いてきて座っただけなので、振り向けば山道があるはずです。


誰も来てくれないなら、自分で帰るしかないので、立ち上がって振り向きました。


おかしいです、見渡す限りの草原にかわっています。


頭の中が???って、なってしまいます。


「・・・」


どこかで声が聞こえた気がします。


耳をすまして、声の方向を探ります。


「・・・」


あっちだ!私は迷わず声が聞こえたほうに走り出しました。


走り出しちゃったのです・・・


少しすると、話し声とゆうよりは、笑い声が2つ聞こえます。


誰かいると思って嬉しくなったのですが、間違いでした。


霧のなかに顔が2つ見えてきました。


「すいませ・・・」


声を掛けようと話しかけたときに、幾分か晴れてきてる霧の中に顔が2つ見えました。


顔だけ2つ見えました・・・


身体がありません。


いわゆる生首ってものが、私の声に反のしてこちらに振り向きました。


私と目が合うと


「「アハハハハハハハハハ」」


笑い出しました・・・


私は走りました。


ものすごく怖いです。


生首なんて初めて見ました。


走ります。


きっと、泣きわめいていた事でしょう。


後ろから笑い声が近付いてきます。


もうとにかく走って逃げる事しかできません。


『一心不乱』『我武者羅』きっとこんな感じです。


皆様、笑いながら生首に追いかけられる経験ってありますか?


多分、ないでしょう・・・


私はあります。


もう涙なんか出ないけど、声もカラカラだけど、逃げるのです。


もう走れないと思ったときに、笑い声が聞こえなくなっていました。


ようやく逃げ切れて、立ち止まり膝に手をついて、息を整えました。


そうして振り向いたら



生首が5つくらいに増えていて、振り向いた瞬間に


「「「「「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハアハハハハハアッハハハ」」」」」


笑い出しました


もう嫌だ!!!と思いながら、走り出します。


少しすると子供が一人、入れるくらいの穴が地面に開いていました。


迷わず飛び込みます。


頭を低くして、隠れたつもりです。


「見つかりませんように! 見つかりませんように! 見つかりませんように!」


しばらくして声が聞こえなくなっていたので、そーと顔を上げてみます。


「「「「「あはははははははあはははははははははははははははあははあははははははあはははは」」」」」


穴の周りを生首がグルグル回りながら、回っていました・・・




私はここで人生初の死を経験しました。


この後は何があったかはわかりません。


死んだ(多分気を失った)あと、息を吹き返した時は自宅の庭の真ん中で蹲っていました。


ちょうど買い物から帰ってきた母親に「何してるの?」って笑われました。



顔はもう酷かったんです。


涙の跡が真っ白になっていました。


顔も疲労困憊って感じだったはずです。


そんな顔で庭に蹲ってる私に


「何してるの?」って笑った母の顔が




一番怖かったです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ