お札がいぱーーーーい
高校を卒業して、就職のために上京
会社の寮(会社でアパートを借り上げて、社員3人で3DK1室)に入寮して間もなくの頃の話し
私たちが入った部屋は、先輩が1人新人2人で1室の部屋で、6畳和室部屋2つと4畳半洋室1つにDK、風呂トイレ別の標準的?な部屋でした
新人同士でじゃんけんして部屋決めをしました。
私がじゃんけんで勝ったので4畳半の洋室をえらびました(6畳部屋は、襖で仕切られてるだけだったので、さすがに先輩の隣は・・・)
そもそもの間違いがここから始まりました。
新人いじめじゃないですけれど、初日に先輩から「ここなんかいるから!」とか、思ってても言わないでください!って感じだったのですが・・・
初日から、嫌ぁーな雰囲気のある部屋だとは思ったのですよ
でもまぁ、洋室だけじゃなく全体的にへんな雰囲気は醸し出していたのですが、「まぁ、アパート古いし、こんなものか?」って思っていたのです
昼間は見えない壁や天井のシミが、夜になるとハッキリ見えるとかはもう
なれですよね・・・なれ
小さい頃から不思議体験が多いとあまり気になる事もなく、1年は何事もなく過ごしていました
先輩が1年後に、転勤で部屋を出て行ってから、同じアパートの同期が「私も同じ部屋に移りたい」って転室してきてから・・・
1年経ったとはいえ、まだまだ新人3人組はお給料だけでは心もとなく、お金を出し合って朝と夜は炊事当番を決めて、3人で一緒にご飯を食べていました。
そして、夏・・・
ある夏の夜でしたか、3人でご飯を食べていたときです
今でも覚えています。
私が炊事当番で、リクエストのあったナスの揚げ物っぽいのと生姜焼きでしたね
それを食べていたら
チリーーン♪
って、音が聞こえました。
いやいや、ないわーって思いましたよ
どう考えても壁の中か奥のほうから、聞こえたのですから・・・
これはもう聞こえていないふりを貫こうと決めました
意外と小さい音だったので、ほかの二人には聞こえていないだろうと・・・
そう、思っていたら
チリーーン♪
また、ですか・・・さっきより大きい音ですね
ふっ!私には聞こえませんよ!って思っていたのに・・・
「ねぇ、いま聞こえた?」って、言わないで!それ言っちゃったら・・・
「私も聞こえた!」って始まっちゃったじゃん
二人の視線が、私にぶつかってますネ
こうゆうときは、先手必勝です
「気のせいじゃ(チリーーーン♪)な・・・」
ごまかせませんでした
更に大きな音ですよ、どうするんですか、この後の展開は知ってます
「ちょっと、調べてみよ!」
ですよね、二人にとっては気になる音ですよね、とってもとーーっても気になるのでしょう
でも私にとっては、とってもとーーーっても怖いのですよ
なぜかって?だって私の部屋の方の壁から音が聞こえてるのですよ?
今ならまだ、「気のせい気のせいだよー」って言えるところだったのに、調べてどうするのですか・・・
何かでてきたら、どうするのでしょうか?
何も出てこなくても、音が聞こえたって現実があるじゃないですか
私はこのまま、気のせい気のせいって思いながら寝ようと思っていたのに、かくなる上はなるようになれ!の精神で逝くしかありませんか・・・
そのあと、聞こえてきた方向をお互いに確認しあって調べてみたのだけれど、何も出てきませんでした。
メデタシメデタシ
って、わけありません。
何も出てこなくても怖いですから、今日は3人一緒に寝ることにしました。
その後は、音も聞こえることもなく「今日なんか、怖かったねー」談義をしながら仲良く御就寝しました。
次の日は日曜日で、みんなでまったりーしよう!って話し合って、午後から二人は夜ご飯のための買い出しに行くというので、私はお風呂とトイレの掃除をはじめました。
普段から綺麗にしているので、それほど時間もかからず掃除が終わっちゃって暇だったんです。
夜もあんな事あったし・・・つかれていたんでしょうね、ついつい自分の部屋で寝てしまったのです。
寝てしまったんです。
あの、音が聞こえたであろう部屋で・・・
ドンドンドン
誰かが、何かをたたいてる音で目が覚めました・・・
お買い物終わって帰ってきたと思ったんです
ドンドンドンドン!
更に強くたたいてる音が聞こえてきます。
とりあえず、ベッドから起き上がりました。
おかしいですね?
二人が帰ってきた様子がありません。
ドンドンドンドンドン!!!
ん~、この音、私の部屋の押し入れの中から聞こえてきます。
気が付いちゃいましたね、昨日の今日ですよ。
二人が私を驚かせるために、押し入れにはいって叩いているのだと・・・
はぁー、子供か!なんて思いながら
「早く出ておいでー!ばれてるよ!」って言ったんですよ。
ごまかせると思ったのでしょうか更に
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンッ!!!
もうね、押し入れの扉が壊れるんじゃないかってくらい叩き出したのです。
そして止まりません
「いい加減にしろーーー!」
って、怒っても出てきません。
まだ、扉を叩き続けています。しょうがないので、扉を開けてやることにしました。
ガラッっとね、「しつこい!」って言いながら開けました
?????
おかしいですよ
誰もいません・・・・
「さぁーーーーーーーっ!」って音が聞こえた気がします
多分ですけど、今の私は真っ青な顔なんじゃないでしょうか?
あきらかに、扉震えてましたし・・・何なの?って感じですよね
怖いのです
怖いのですけど・・・ちょっと確認しないともう・・・この部屋には居れませんよね・・・
これが「決心」って言葉の意味なのでしょうか、解った気がします。
二人が帰って来てからとも思ったのですが、無理ですね・・・待ってる余裕もなさそうです。
家に帰りたいです。
えぇえぇ、泣きながら仕事を辞めて、今すぐ家に帰りたくなりました。
私に残された手段は2つ
一つ、まったく気にも留めないで無かったことにする(もう無理です、扉が震えているの確認しちゃいました)
一つ、押し入れの中を隅々まで見て確認すること(きっと穴が開いていて、どこからか空気でも入ってきているのでしょう)
これしかないです
THE 確認
これです、これしかないのです。
今まで気にならなかった押し入れが、ここまで怖いのか・・・と、人生初の押し入れ恐怖症です。
嫌な汗が背中を転がりますが、〇〇〇は度胸です。
まず上の段を見ます。隅々まで見渡します・・・何もないです
ここで、ホッと一息です。次は下の段ですね
膝をついて、中を見てみます・・・
やっぱり何もないです・・・なんだったのでしょうか・・・怖いけど何もないと、やっぱり安心はするものです。
変なシミも見当たりませんし・・・
気のせいではもう済まないのだけれど、とりあえず大丈夫そうでした。
ベッドに腰を掛けて考えます。
この部屋で何かあったのかと・・・
ドンドンドン!
!?
やめてほしいです。今、落ち着いたところです。何か見落としましたか?
ドンドンドン!
私の心の声に反応されていらっしゃいますね
もう一度確認してみようと思います。
再び、確認します。今度は少し落ち着いてます。さっきは何もなかったですからね。
余裕ですよ
まずは上の段・・・何もないですね(当然です)
次は下の段・・・何もないですね(当然ですよね・・・)
ん?やばいです、気が付いちゃいました。呼ばれた気がします。
仕切りの板(上下を分けてる途中の板)が呼んでいます。
恐る恐る、下の段にかがみながら上をみあげます・・・
ここまでです
ここで、私は気を失いました。
その後、帰宅した二人が私を起こしてくれるまで倒れていました。
そして二人に事の経緯を説明いたしました。
「寝ぼけてたんだよーー」って言っていた二人も、最後まで話をきいてから顔色が変わりました。
そしてもう一度、今度は3人で押し入れの仕切り板の確認をしました。
今度は、大丈夫です。3人いますし、私は2回目です。二人は話を聞いていたので、心の準備も出来ています。
押し入れの中には入らずに、ちょっと外から覗きました。
仕切り板にビッシリです
10枚20枚じゃきかないです、仕切り板みっちりのオフダが貼ってありました。
その後、会社の人に連絡をとって3人で部屋を変えてくれるように頼みました。
なんとか、部屋を変えてもらえた私達は何とかなりましたが、会社側はその部屋をつかいつづけました。
翌年の新入社員が3人その部屋で暮らしだしましたが、2人は早々に会社を辞めてしまいました。
残った一人は、2年目の冬に・・・
鬱っていうより、ノイローゼ状態に陥り交通事故を起こしました。
あえて自分から人を撥ねました。
警察が来た時も、訳の分からないことを叫び続けていたそうです。
ストレスが溜まっていたのか、あの部屋が原因なのか分からないけど、そうゆう事なのだと思います。