58話 各学年の競技
「そういえばだけどさ。全学年同じ競技なのか?」
突然頭に浮かんだ疑問を口にする世楽。
「違うわよ。ちゃんと別々よ」
累は相変わらずのツンデレのツンを見せて呟き、それに続いてスタイル抜群の御前が腰に手を当てて説明する。
「二年生はクラス対抗リレー。綱引き。借り物競走。騎馬戦だ」
言い終えた御前は、二ヒッと口角を上げると、拳を手の平にシュパッとおさめた。
「今年も騎馬戦は楽しみだな」
「ん?騎馬戦には女子も出れんのか?」
「当たり前だろ?一年から四年の代表ってだけで男女は関係ない」
腕を組んでピシッと言い張った御前に世楽は「へぇ~」と頷く。
と、そこで累が補足的に言葉を付け足す。
「ちなみに綱引きは男子。借り物競走が女子だから」
世楽から隠れるように御前の後ろに身を隠す累に、ハテナを浮かべる御前。どうやら累は胸を気にしているらしい。体操服だからかな?
「三年生は、クラス対抗リレーと、模擬戦、障害物競走、そして騎馬戦かな」
天使の笑顔を浮かべるクララは指を折って説明する。
「男子が模擬戦で女子が障害物競走よ?」
「へぇ~。結構な種類あるんだな。てか模擬戦?ってなに?」
普通高校と違って学年が一つ多いため、競技も多くなる。その多さに感心する世楽は、聞いた事のない競技に首を傾げる。
「他の高校にはないものね。模擬戦っていうのは簡単に言うと各チームで大将を決めて、大将が一番最後に残ったチームが勝ちっていう競技なの。大将を守るために皆必死に戦って、逆に敵の大将を討つために攻撃したりするの。結構人気なのよ?」
模擬戦は三年生男子しか参加出来ないためクララは聞いた話を簡略化する。
「それは面白そうだな」
想像はしにくいがやってみたいらしい世楽はそんな事を言い、それに微笑むクララ。
「んふふ。あと二年ね」
「あと二年かぁ。なげぇな」
頭を掻きながら空を仰いだ世楽の隣には、いつの間にか千代女の姿が消えていた。どうやらリレーの順番が来たらしい。
真ん中くらいの走順の千代女はまぁ足は速い。少なくとも女子の中ではトップ10(天華羽高校)には入るだろう。
「いやぁ、体育祭楽しみだなぁ」
腰に手を当てて千代女を見る世楽は、楽しそうにボソリと呟く。
クララ、御前、累はそんな世楽を微笑んで見て、しばらく談笑を交わす。やがて。
「おい世楽ぁ!そろそろ回ってくるぞー!」
四組の生徒の声が談笑を中断するように四人の輪の中に飛び込んできて、皆の視線を振り向かせる。
「おい急げ世楽!生徒Aがもう来る!」
カーブを通り過ぎ、次の走者へバトンを渡す一直線を駆け抜ける。そのスピードは四組の皆をあっと驚かせるほどのスピードで、以外という言葉が飛び交う。
「じゃあまたな」
手を振ってコースへ入る世楽へ聖母の笑みを浮かべるクララ。そして「おう!」と元気よく見送るように言う御前。「頑張れ」と言葉を残す累。
「おい世楽ッ!居てくれないと困るだろッ!?」
走りながら血相を赤くして注意する生徒Aは結構まだ余裕そうだ。
「ごめんて。まぁ任せろよ。俺が山三まで届けるから」
無邪気に笑って手を大きく振る世楽はそんなちょっと格好いいことを言うが。
「それは体育祭当日に言うようなセリフだろうがッ!?」
バトンを世楽の手の平にパチン!と叩きつけながら言葉を吐き捨てた生徒Aに引き継いで、世楽はトラックを駆け抜ける。
生徒Aも凄かったが、世楽も尋常じゃなくはやい。圧巻される皆は感嘆の声を漏らす。
「なぁ累。世楽のやつ笑ってね?」
とんでもない身体能力を持つ世楽の余裕っぷりに驚きつつ累へ尋ねる。
「ほ、ホントね」
苦笑を浮かべて走る世楽を見る累も驚いた声を出す。
(そ、そうよね。地上から三階まで跳ぶんだもの。足も当然早いわよね)
クララも同様。世楽を見ていた。




