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天上天下唯我独尊  作者: ひかりみ しあゆ
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57話 種目について

「えーと。じゃあ六限目を始めるんだけど……今日は体育祭の種目について話すから」

教卓の前でクラス内を見渡しながらそんな事を言う義元(よしもと)は、山三にアイコンタクトを送ると、それを合図に山三は教卓の前へ移動する。

「よし。じゃあこっからは俺が説明するから」

クラス委員長の山三が、一枚の紙を持ちながら黒板に白文字で書いていく。

「まず、一年生が出れる種目はこれ。クラス対抗リレー。棒倒し。台風の目。あと、騎馬戦。棒倒しは男子で、台風の目が女子。騎馬戦は一年生から四年生の代表が出場になるから」

軽く説明を終えると、山三はいきなり教卓をバンッ!!と叩いて、皆の視線を集めた。

「みんな!俺はここで一位を取りたい!だから協力してくれ!」

瞳に宿る炎が見える気がした。

そのやる気っぷりに皆も賛同する。だが、一人の生徒が疑問を口にする。

「なぁ山三。なんで山三ってそんなに勝ちにこだわるんだ?」

大会の時も、惜しくも準決勝で終わったが、その時の落ち込みようは尋常じゃなかった。恐らく彼女である阿国の励みや(なぐさ)めなどがなかったらもう心は折れまくっているだろう。

「俺は認めて欲しいんだ。父さんに。俺は出来る奴だって。そして知らしめたいんだ。俺が将軍になるための力を持っているって」

山三の力強い演説的なものに皆は釘を刺される。そして、生徒Aが突然に席を立ち上がり、突然に喋りだした。

「やってやろうじゃないの!お前等!全力で優勝取るぞぉ!」

生徒Aの気合いたっぷりのかけ声に、クラス内は腕を突き上げて声を張る。

「おーい。気合いがあるのは良い事だし嬉しいが、少しうるさいぞ」

薄ら笑みを浮かべながら椅子に背を預けて注意する義元。

「すいませーん」と皆は声を揃えて落ち着くと、山三は嬉しそうに笑顔を満点に、熱く語り始める。

「一年生の競技で一番得点が高いのはクラス対抗リレーだ」

「ただ、全部の競技をガチる。そう言う事だろ?」

席を立って移動する世楽は、生徒Aの肩に腕を回して不適な笑みを零す。

「そう!全部をガチる!だから順番決めも大切なんだ」

そして、皆は机の感覚を無くして教卓へ近寄ると、山三が仕切る会議を行い始めた。

――――二十分後。

「アンカーをどうするかだよなぁ」

全員が悩ましげに頭を抱えて残った人達の名札を並べる。

「取り敢えずアンカーは山三だろ?」

そう切り出したのは世楽だ。

「は?アンカーは世楽だろ?お前の方が速―――」

「山三。四組(俺ら)はお前をリーダーに頑張るんだぞ?リーダーが一位の花を取らなきゃダメだろ」

山三の意見を遮って、世楽は熱く語る。それに皆も頷くばかり。

「でも……」

不安に眉を下げる山三は、皆の賛成案に気圧される。

「それに、山三は陸上部だろ?行け!」

世楽は格好付けるようにニヤリと笑みを浮かべて山三の背中をバシリと叩く。これでイケメンなのがウザすぎる。

「……分かった。俺が最後を走る。だから、皆も全力で俺に一位を預けて欲しい」

感動するものを胸に握りながら、山三はクラスの輪の中心になって語る。

「よし!じゃあ山三!順番も決まった事だしいっちょ走りますかぁ?」

机に尻を乗せていた生徒Aが調子に乗った様子で言う。

――――グラウンドへ移動。

「よし!じゃあ始めるよ。よーい、ドン!」

山三が白線の横で合図を出すと、四組の一番手がスタートを切る。

それを遠目から見ていた世楽は、千代女と肩を並べていた。

「ねぇ世楽」

「ん?」

「あのさ。昨日の話なんだけど……」

よこで走者を眺める世楽を見上げて、千代女は恥ずかしそうに頬を染める。

「あぁ。四人で出かけるやつか」

「そう。それでね?今週の日曜日にしようかなって思うんだけど」

世楽を伺うように、もじもじとしながら続ける千代女に、世楽の答えは一択しかない。

「日曜?分かった。楽しみにしてるよ」

世楽はニッと笑って千代女を見る。その答えに、千代女も笑顔になる。

「本当!?良かった。でもまだ決まったわけじゃないから」

「おーけー」

世楽は嬉しそうにする千代女の表情を見ながら返事をする。そこで。

「よッ!世楽」

名を呼ばれ、突然後ろから御前が肩に腕を回した。

「ん?おぉ、御前」

振り返れば、ニヤリと笑みを浮かべる御前が居る。

ただ、千代女は御前とは反対に、むぅっと頬を膨らませる。

どうやら、世楽と話しているところ取られて、少しばかり嫉妬しているようだ。しかし、それは一人だけではなかった。

「なぁ累。世楽の体操服姿って初めてじゃね?」

肩に手を回したまま後ろを振り返る御前は、一緒にいた累に話し掛けるが、首を傾げる。

「累、どうした?そんなに頬膨らませて」

可愛くムスッと頬を膨らましジト目を向ける累。

「何でもない!でもいい加減離れて!」

累は拗ねた様子で口を開き、高身長の御前の体操服の襟を引っ張って無理矢理に距離を空ける。

「うおッ。なに累、怒ってんの?」

思いのほか力が強く、引き剥がされた御前は声を上げる。

「累と御前も練習してんのか?」

そこで、可愛い先輩達に会えて嬉しそうに微笑む世楽が問う。

「そうよ。世楽も?」

世楽から話し掛けられて嬉しくする累。もうめっちゃ世楽のこと好きってことが分かるわ。

「うん」

世楽は返事をするが、その隣で拗ねたようにそっぽを向く千代女。そしてそこへまた。

「あら?世楽君?久しぶりね?」

艶々の金髪がそよ風にサラサラ揺れるクララが、天使の笑顔で訪れる。

今、状況は凄いことになっている。

三大美女の累とクララ。そして今生徒達の間で候補に入っている千代女。その三人が集まるという伝説的な状況だ。

ただ、世楽は特別といった感じでもなく、ただただ可愛い先輩三人に、可愛い同級生一人と一緒にいて嬉しさだけが勝るだけ。そして世楽は疑問に思い、口にする。

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