39話 準決勝進出
椅子に腰を落ち着かせた累は、防具を一旦外して汗を拭き取る。
「……ふぅ~」
お団子に結んだ髪を解いて水を喉へ流し込む累は、つい先程準決勝を勝ち進んだ。
他ではまだまだ試合が行われている中、累の試合では一瞬の出来事のように呆気なく終わっていた。それほど累も腕はあるのだ。
だが、もう一人、試合を終わらせていた選手が居た。
「よう累」
突然隣へ腰を下ろすその人は、挑発的な笑みを浮かべてそう言う。
「……なに?入鹿」
ひどく冷たい冷淡な口調。
「今年も決勝戦は俺達かな?」
「……知らないわ」
嫌がる仕草で顔を背ける累。
「それとも去年みたく選手として認められないか?」
その挑発する言い方に、累はギロリと睨み返す。
「ふっ。その怖い顔も後で泣き顔にしてやるよ」
鼻で笑って手を振る入鹿は、そう宣言して自分のベンチへ帰っていった。
去年みたく選手として認められない。入鹿が言ったこれは、去年、まだ累が一年生の時だ。
剣道の大会は女子の参加が認められない。だが、累はどうしてもと元就に頼み込んで、男装して参加させてもらった。だが、控え室で試合の順番を待っている時、間違えて入ってきた入鹿に女子だとバレてしまい、できる限りの口止めを要求した。そして試合が始まると同時に、入鹿は累が男装しているとバラして、選手として扱われなくなってしまった。だが、その時は元就が剣道の担当及び責任者であった為に、元就の無理難題で試合だけは続行となった。そして、それが原因である会議が行われ、女子の参加が今年から認められた。だが、女子の参加は累一人だけ。結局去年の優勝は入鹿だったが、累が負けた理由は単なるミスだ。床に躓いた事。それがなければほぼ互角に戦えていた。
去って行く入鹿の背中を睨み続ける累は、ゆっくりと深呼吸をして高ぶる色んな感情を落ち着かせると、胸の中で宣言する。
(今年は優勝する。絶対に優勝する)
本気の形相を浮かべて、累はもう一度口に水を流し込んだ。
名前:蘇我入鹿
年齢:16歳(茶之橋高校二年生)茶之橋高校=京都
好きな物・事:剣道 悪戯 抹茶
嫌いな物・事:常識のない外国人 読書
ちょこっと:悪戯好きです
風格:目=黄色 髪=金髪、四方八方ツンツン跳ねたショートカット




