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天上天下唯我独尊  作者: ひかりみ しあゆ
29/58

29話 甘い朝

月曜日。大半の生徒は憂鬱な気分間違いなしな日だろう。

だが、そんな理由で学校を休んではいけない。だから、生徒達は学校への支度をする。

それは寮の生徒達も変わりない。

午前七時三十分。御前は大体いつもこの時間帯に昼食の弁当を作り終え、学校へ行く。(と言っても学校内に寮があるのだが)

ただ、世楽だけは違う。

部屋の真ん中に布団を敷いて、四肢がはみ出すほどに寝相を悪くして爆睡していた。

枕と掛け布団は遙か端の方へ。

カーテンの隙間から差し込む朝日もそろそろ本格的な日差しへと成り変わろうとしているのにも関わらず、世楽は呑気なものだ。

「ぐ~~、ぐ~~」

大きく寝息をたてていると、横へ寝返りを打ったと同時に、世楽の耳にくすぐったい感覚が襲う。

「世楽様ぁ。朝ですよぉ」

吐息混じりの小さな透き通る声に、目を薄らと開く。

朧気な視界には人の形しか捉える事が出来ず、大きな欠伸(あくび)をする世楽は当然の如くまた寝入る。

「……え、ちょっ!?」

それもその人に抱きつきやがったッ!

正座して見下ろすその人のふにふにな太ももに頭を乗せ、黄色の帯で締められた細い横腹へ腕が回される。

「ちょ、ちょっと世楽様!?流石にちょっとまだこれは………早いのでは!?]

突然の事に緊張を募らせ、背筋の伸ばしてしまうその人は、頬を真っ赤に染めながらも、満更でもなく嬉しそうな表情をしていた。

「ん~~~~」

寝ぼけている世楽は、現状何が起こっているのかを知るよしもない。クソッ!とでも言いたかったが、寝ぼけているならしょうがない。……うん、しょうがない。クソッ!

「ぜ、世楽様?その、起きなければ遅刻してしまいますよ?」

一度ピンピン寝癖が目立つ頭を撫でようとしたが、恥ずかしさが圧勝し、肩に手がいってしまった。

「ん、ん~~。ふわぁぁ。ん、おはよう」

やはり憂鬱な気分でのっそり起き上がる世楽は、目を擦りながらもう一度欠伸を零す。

「ん?…………てか誰?」

まだ視界がぼわぼわしているのか、ギュルルと鳴く腹を押さた。

「誰ってひどいですよ世楽様。昨日助けてくださったじゃないですか」

床に脱ぎ散らかされた制服を拾って、丁寧に畳んで世楽に手渡すその人は、頬を膨らませながら不服そうに呟く。

「昨日、ってお市か!」

一瞬にして細い目が大きくなる世楽は、思い出してくれた事により嬉しそうにふにゃりと顔を弛緩させるお市を見上げた。

「そうです!お市です!昨日はありがとうございました」

頭を下げるお市は、机に湯気を昇らせる白いご飯と、焼きたてらしい卵焼きとウィンナーがのった皿を置いた。

「世楽様は卵焼きとウィンナーは好きですか?」

お盆を胸に抱き、首を傾けて問う。

「うん?好きだけど、それ俺の朝ご飯?」

「はい!世楽様のです!もし良かったら食べてください!」

ぱぁっと輝く笑顔が美しいこと。花を咲かせたお市は、世楽が制服に着替える間、少し顔に赤色を滲ませながら背を向け、学校指定の世楽のカバンに今日の荷物を入れていく。

「お市。これ食べていいの?」

「はい!是非食べてください!」

箸を握り、間髪入れず次々に食べ進める世楽。

「ん!おーひぃ。じょうふだな」

「本当ですか!良かったです」

嬉しさ満点の笑顔が可愛らしいお市は、鼻歌でも歌いそうな気分でカバンに荷物を入れる作業を開始する。

十分後。

「ごちそうさま」

とても美味しそうにして食べた世楽は満足そうにそう言った。だがお市は、眉を寄せていた。

「……そ、その、やっぱり美味しくなかったですか?」

皿に残った卵焼きとウィンナーに目を向け、世楽を上目に問うお市。なんとも子犬らしく可愛いことか。

「あぁこれ?違う違う。めっちゃ美味しかったよ。これはお市の分」

「え?」

「だってお市のないだろ?」

「……あ、え、えっと。それはそうですけど」

「なら食べないと。美味しかったからまた作ってくれるか?」

ニッと笑顔を向ける世楽の偽りないその表情に、お市は釘付けにされる。

ドキッ!

いや、お市?今ドキッてする瞬間か?いやまぁ確かにする人はいるかもしれないけどさぁ。ちょっと、ねぇ。…………もういいや。

第三者で語る者がそうツッコミを入れたが、当然二人は知る事もない。

(世楽様優しい。嬉しい。やっぱり好きぃ////)

内心爆上がりのお市は、高揚する気分を表情にもろに出した。

「荷物も用意出来ました。もう行っても良いですよ?」内心(あぁ。世楽様格好いい。もう好きぃ)

「ありがとな。何でもかんでもしてくれて」

「いえいえ。私は自分からしてますので」

「じゃあな」

「はい!」

まるで今までこういう生活をしていたかのうようなスムーズで流れる時間。

世楽が居なくなると、ふにゃりと足を崩して女の子座りになるお市は、ほんのり赤い顔に両手を頬へ持って行く。

(ちゃんとお嫁さんらしい事出来たかな。世楽様、迷惑じゃなかったかな?格好よかったなぁ、世楽様)

瞳がハートになりそうな勢いで世楽の顔を想像して表情を蕩けさせるお市は、いったいどこで世楽を好きになったのか。いや、昨日が初対面だから昨日ってことは分かるのだが、そこまで世楽を好きになるところあったか?てか嫁?お嫁さんって言ったよな?

第三者、混乱。

一方世楽は、廊下を歩いているうちに、一つの疑問が浮かんだ。

(あれ?そういえば何で俺の部屋に居たんだ?)











名前:お(いち)

年齢:15歳(高校一年生)

好きな物・事:絶咲世楽 甘い物 世楽の寝顔鑑賞

嫌いな物・事:お化け屋敷 タピオカ 戦争

ちょこっと:好きな人にとことん尽くすタイプです

風格:目=桃色 髪=淡い桃色、腰まであるロング

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