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天上天下唯我独尊  作者: ひかりみ しあゆ
26/58

26話 鶴姫のからみ

同時刻。

武道場で一人竹刀を振るう累。

部活は先程終わりを告げたが、累は一人で練習をしている。

真剣さが目の鋭さと汗の滴り、そして纏う空気が表していた。

「はッ、はッ、はッ」

素振りを何度も重ねる累は、あまりの練習の量に手に潰れたまめが浮かんでいた。

「はぁ、はぁ、はぁ」

一度竹刀の鋒を床へ下ろして、肩で息をする累は、一時してまた竹刀を握り締めて、先程のように構える。

すると。

(る~い)ちゃん!」

鶴姫が朗々な声を発して後ろから累を抱き締めた。

「うわッ!?ちょ、鶴姫先輩!?」

グッと後ろからかかる体重に耐えて驚いた表情を出す。

「累ちゃん。偉いねぇ、一人で練習なんて」

「……何しに来たんですか?」

元気な明るい声とは裏腹に、累の不機嫌そうな低声が武道場を走る。

「もう、どうしてそんなにツンなの?」

ぷくぅっと頬を丸くする鶴姫は、嫌そうにする累の横顔をニマニマした笑顔で伺う。

「用がないなら出て行ってください。練習の邪魔です」

「まぁまぁそんな事言わずに。ちゃんと用はあるから」

耳元の声に、累は派手にため息を吐き出すと、竹刀を下ろす。

「で、何ですか?用って」

「んふふー。それはねぇ」

鶴姫は悪戯っぽく笑うと、あえて累の耳に口を近づけた。

「累ちゃん。世楽君の事好き?」

「ッ!?」

小さく肩を震わせる累。

「ど、どうしてここで世楽の名前が出るんですか?」

「どうしてもなにも、昨日の累ちゃん見ててそうかなぁって思って」

「私は別に、ぜ、世楽の事なんて好きなんて………」

鶴姫から顔を背けてボソリと呟くと、鶴姫は当然の如く二マァっとした笑みを浮かべる。

「そうなんだぁ。なら良かった。私少し世楽君の事気になってるんだよね。格好いいし」

ピクリと累の片眉がつり上がる。そして態とらしい口調が武道場に響く。

「へ、へぇ。そ、そうなんですね。そう、なんですねぇ」

次第に声が消え入り、累は胸にズキッと物理的ではない、なにか苦しくなるような違和感のある痛みを覚えた。

「いっそのこと付き合っちゃおっかな」

鶴姫はふざけてからかうように言うと、その瞬間。

「だッ!……だめ、です」

累は声を張り上げた。肩で大きく息を繰り返し、取り乱しているようだった。

「あら、どうして?累ちゃんは別に世楽君のこと好きじゃないんでしょ?」

「……そ、それは……」

視線は自然と下へ落ちていき、胸に響く痛みも次第に強く鮮明なものになっていく。

「……じゃ、邪魔です。は、速く行ってください」

うるっとした涙声になりかけの声で累は小さく呟く。

「でも、累ちゃん可愛いからなぁ。世楽君を好きにさせることくらい出来そうだなぁ」

「……わ、私は別に世楽の事なんて好きじゃッ」

慌てた様子を隠せずに諸に出す累。

「でも世楽君は男の子だからなぁ。やっぱり……ねぇ?」

そして、後ろから抱きついていた鶴姫は、累の前えりに両手を忍ばせると、さらしに覆われた二つの胸の位置までするする侵入させる。

「……あ、ちょッ!?」

突然の行動にひ弱な悲鳴を上げる。

「さらしを巻いても意味ないんじゃない?」

そう言うと、慣れた手つきでさらしをするする解いていく鶴姫。やがて、白皙の小さな膨らみが現れると、鶴姫はそれをそっと下から持ち上げるように揉む。

「ほらぁ。ちょっとあるだけで、世楽君はこれは好きなのかなぁ?」

「んッ、はぁあッ!?……んはッ、あん!?んや、あぁ」

恥ずかしそうに瞳をキュッと結んで必死に下唇を噛んで声を我慢しようとする累。

一応言っておこう。一応な。今、累は鶴姫が前えりに手を入れたせいで、上半身が………晒されている。

つまり、今誰か来たら上半身裸を見られるという事になる。

そんな事など頭の片隅にもない鶴姫は自分の大きめに育った胸を押し付けて、更に強めに揉みしだく。

「んんッ!?あんッ、や、あぁ。はぁ、………嫌味でも、言ってるん、んは、ですかぁ……?」

目尻に涙を浮かべて頬を染める累は、ショックを受けていた。

自分でも気にしていたからだ。己の胸の育ち(よう)に。

「んー?べっつにぃー」

ふにふにと柔らかい感触を手の平の中で楽しむ鶴姫。やがて。

「ん、くはぁ、あんッ。も、もういい加減にしてくださいッ!!」

竹刀を放り投げて暴れ出す累に、思わず身を引く鶴姫。

解放された累は、羞恥で死に至りそうなほどの赤面した顔で鶴姫を睨み、脱げた藍色の剣道着を拾い上げて胸を隠す。

「ご、ごめんね累ちゃん。ちょっとやり過ぎちゃったみたい」

焦った表情で謝罪しだす鶴姫に、累はこめかみに青筋を立てた。

「速く出てってくださいッ!!」

この後、すぐに鶴姫は出てったのだが、累はしばらくペタンと女の子座りをして、自分の胸に目線を下ろすのだった。

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