23話 新しい先輩
六限目終了後、生徒達で廊下が賑わい始める頃合い。
一日気恥ずかしく目を合わせようとしない千代女の事を全く気付かない様子だった世楽は、一目散に教室を飛び出して、四年生がいる一階へ向かった。(ちなみに二階は三年、三階が職員室や美術室など教室ではない教室、四階が二年、五階が一年)
まだ数日の学校生活しか送っていない世楽だが、その間で結構なものを刻んできた世楽は色んな方向で有名人だ。
賑わう生徒達をかき分けて、世楽はスライド式の扉に手をかける。
「ねぇ先輩方ぁ。大祝鶴姫って人ここの教室?」
四年生の視線が必然的に集中するその中で悠然と見渡す世楽に、一人が振り向いた。
「あら。もしかして世楽君ってあなたの事かしら?」
その人はカバンに荷物を入れながら、ふわっと椅子から立ち上がると、軽やかな足取りで世楽へ接近する。
「ん?もしかして鶴姫ってあんた?」
穏やかな笑みを浮かべて嬉しそうにする鶴姫を眼前に、いつもの安定のタメ口で質問に質問で返した。
「そうよ。私が鶴姫」
累よりかは育った胸に手を当てて答えてみせた鶴姫は、嬉しそうに続ける。
「世楽君って本当に強いの?」
「は?」
「だって聞いたよ?政則先生の攻撃一つも受けなかったんですってね」
感心したように朗々な声で言葉を披露すると、世楽も嬉しそうにする。
「いやぁ、こんな可愛い先輩に褒められるのは嬉しいねぇ」
口角をニヤリと上げて鶴姫を見下ろす世楽へ、鶴姫は一時黙り込み、やがて。
キーーン!!
甲高い金属音が廊下に鳴り響いた。
「わぁ!本当に強いんだぁ」
ポケットから取り出した刀を振り上げた鶴姫は驚いた表情を見せつつ口調は変えない。
(まさか私の刀を防ぐとはね。ホントに強いんだ)
扉に手をかけたまま片手で握った刀を回して遊ぶ世楽は軽く、
「まぁ、俺がこの学校で多分一番強いし」
余裕を見せて言い放たれた鶴姫は、あんぐりと口を開き、そしてふわっとした笑みを零す。
「まず私に勝手から言おうね。世楽くん!」
流れる水の如く静かに斬撃を繰り返し送り付ける鶴姫に、世楽は難無く適応してみせる。
廊下にたむろしていた四年生達は安全のためか興味で観戦するためか教室に入り込んで二人の交わりを覗いていた。
金属音が鳴る頻度が加速していく中で、鶴姫の振り上げた刀を飛び退く世楽。
「なぁ鶴姫。何が目的で俺と戦ってんの?」
「別に興味があっただけよ。私だってこれでも一応強いもの」
言葉と同時にじわじわ距離を詰めた鶴姫は、視線を鋭くして振り上げる。だが、世楽の振り下ろした刀の方が到着時間を圧倒的に上回っていた。
目を見開き刀を受けようと向きを変える。そうした時。
キーーン!
横から割り込んで入ってきたある人が鶴姫の刀を弾き飛ばし、その顔は鶴姫をガチで睨むものだった。
「累!?」
突然目の前に現れた可愛い先輩に声を上げた世楽は、「まずっ」という顔で瞬時に思考をフル回転させる。
(累が目の前に現れた。このままだと確実に斬るよな。ヤバ。累が死んじゃう。手放そ)
この間0.05秒!
するりと保持した刀を手放して、世楽は手だけを振り下ろす。
「世楽。大丈――――」
バサッ!!
「え………?」
その効果音に言葉をばっさり切って疑問形で一音を吐く累は、ゆっくりと下を見下ろす。
真っ黒のスカートが累の足を囲むようにして輪に脱ぎ置かれていた。
「………あ」
累と一緒になって下を見る世楽は、素直にそう呟く。そして、二ヘッといつもの笑みに。
「世ぇ楽ぁ!」
恥ずかしそうに顔を染め上げる累は、刀の柄をギシギシと震わせながら、そう言う。
「あぁ、えっと。累?これは分かるよな。完全完璧な不可抗力だろこれは」
「世ぇ楽ぁ!!」
キッと鋭い目尻が世楽を振り向き、恥ずかしさの余り涙の膜を張る累。
「いや、違う。累、待ってくれ。エロい。とてもエロい。だから待ってくれ」
スカートは完全に脱げても、白いシャツのおかげで見えるはずのパンツもギリギリで隠され、白く透き通った太ももが半分だけ姿を出して内股にする累のその姿が、たまらなくエロい。パンチラならぬ、ももチラだ。
その究極な姿となったに興奮する世楽の目の焼き付きようにいたたまれなくなる累はついに湯気を噴射した。
「うぅぅ~~/////」
頂へ登った羞恥に動かされ、刀をブゥンと振り回す。
勿論、言うまでもないが、教室に入っていた男子生徒全員は累のその姿に鼻の下を伸ばさない訳がなかった。
名前:大祝鶴姫
年齢:18歳(高校四年生)
好きな物・事:スイーツ 後輩いじり トランプ
嫌いな物・事:暑さ 勉強 辛いもの
ちょこっと:悪戯好きです
風格:目=紫 髪=淡い紫、ミディアム




