22話 三大美女
「入学して早々この学校の三大美女の内二人と仲良くなるとはねぇ」
足を組んでお見事と言いたげな表情を浮かべる義元は、片腕で頬杖を突きながら世楽を見た。
「三大美女?なんだそれ?」
この学校で生活を送ることまだ数日の世楽は、まだ無知のようだ。
「え?三大美女、知らない?」
「知らん」
きっぱり即答断言する世楽に目を見開いて驚く義元は、「いが~い」と言い放って言葉を紡ぐ。
「天華羽高校にはね。三人美女が居るんだよ。まぁ、これ全て生徒が決めたことなんだけど」
淡い笑みを零して頬杖を崩すと、腕を組んで背もたれに寝ん掛かる。
「一人目が二年次佐々木累。二人目が三年次クララ・バートン。そして三人目が四年次の大祝鶴姫。以上三名がこの学校の三大美女」
「へぇ、御前は?」
累とクララの可愛いご尊顔を脳内で想像する世楽は、もう一人の御前の名を口にした。
「あぁ、御前ね。御前は……まぁ。入ってないね」
一度考えるような仕草で視線を下げ、遠回しにするように言い告げる。
「ふ~ん。めちゃくちゃ可愛いのになぁ、御前」
御前の可愛いご尊顔も脳内で想像し、恥じる表情にニヘラっと気持ちの悪い笑みを浮かべた。
「ん?千代女は?千代女もめちゃくちゃ可愛いじゃん」
「あぁ、それはねぇ」
そう呟いて流すようにスッと視線を千代女へ移すと、世楽と義元から顔を背けるように首を捻る。
気付いてないかもしれませんが真っ赤な耳はバレてますよぉ千代女さ~ん。
「千代女も入るんだよ。そん中に。だけどそれだと三大美女じゃなく四大美女になっちゃうからどうしようかって生徒達の間で今軽い戦争が起きててね」
頭を掻いて苦笑いを作った義元は、困ったと言うように眉を八の字にした。
「別にどうでも良くね?四大美女にすればいいじゃん。皆可愛いんだし一番なんて決めなくて良くね?」
「くだらな」と軽い戦争をする生徒達を想像して卑下するような顔を作った世楽に、義元は笑う。
「ハハハ。面白いね世楽。じゃあもしも千代女、累、御前、クララが世楽のことを好きだとしたらどうするの?」
「ちょッ!?先生!?」
バッと振り向いて顔を赤くする千代女。
「もしもの話だよ千代女。もしも」
むぅっとふて腐れてそっぽを向く千代女。それをよそに世楽はニッと誇った笑みを大胆に塗ると、宣言的な感じで言った。
「全員娶る!千代女も累も御前もクララも全員!俺の嫁にする!」
爆弾発言をした世楽。これに義元は予想外といった表情でフリーズし、そして爆笑。
「ハッハッ八ッハ!面白いな世楽。だってよ千代女。もしもだったら嫁にするんだって」
話をふった義元にビクッと反応した千代女はすかさず世楽から顔を背けて、自分の机へと踵を返した。
「バカじゃないの!?全く、変態は」
ズカズカと一歩一歩を重く踏みつける千代女の顔を一瞬だけ、義元は見てしまった。
この上なく真っ赤っかに染まった恥ずかしそうで、少しだけ、ほんの少しだけ嬉しそうな顔を…………。
(こりゃあ、もしもじゃない感じ?)




