15話 ドS
「ふぁぁぁ」
大口で欠伸を大胆にかます世楽は、部屋から出ると、ホームへと足を進めた。
天華羽高校の学生寮には、ホームと呼ばれる空間があり、各部屋にはトイレ・風呂はあるが、キッチンがない。そのため、ホームと呼ばれる所に設けられ、食材も全て学校から用意されている。他にも、男女別れる温泉付きという豪華なものまで設けられている。
と言っても、実際学生寮に住む生徒は極めて少数であるため、ホームもキッチンも温泉も空きまくっている。
ぐぅぅぅ~。と腹を鳴らす世楽は、結局カ○リーメ○トしか摂取もしていないため、当然空腹のはずで、冷蔵庫をガバッと開けて、その景色を眺める。
「うん。何が何だか全然分からん」
料理が全く出来ない世楽は吹っ切れたように諦めて、冷蔵庫の中に身体を入れて涼感を楽しみ始めた。
「なぁ」
そこで、背後から声が掛かった。
「んあ?」
顔だけを向けて返事をする世楽に、その人はニヤッと笑みを浮かべると、大きく広げた手を振り上げて。
パシンッ!!
世楽の尻を叩いた。
「ッてぇ!!」
悲鳴を上げる世楽は素早く振り返って、叩いた本人を睨み付けようと…………する。
「何が『ッてぇ!!』だよ。電気代が勿体ないだろ?」
腰に手を当ててニカッと笑うその人に、世楽は目を大きくして声を上げる。
「あぁ!お前累のおっぱい揉みまくってた奴!」
「おいおい先輩に向かってタメ口とはいい度胸だな」
「あぁ?お前の尻叩いて揉んでやろうか?」
高身長の御前を見上げる世楽に、御前はニヤリと口角を上げた。
「はッ!揉めるもんなら揉んでみな!」
「言ったな!」
御前と同じようにニヤッと笑みを浮かべた世楽は、何かの自信と余裕を纏わせる御前に対して、思い切り手を伸ばす。
スカッ。
手は空気を掴んだ。
「へッ!そんなんじゃ揉めねぇよ」
「おい待て!動くな!大人しく揉ませろ!」
ホームを動き回る御前に牙を向ける世楽は、楽しそうな表情を作る。
それは五分間続き。
「やるな一年」
御前も楽しそうに追いかけっこを満足していた。
「いい加減揉ませろッ!」
「いやなこっ――――」
飛び退こうと横へ体重を傾け床を蹴ろうとした刹那、御前の足首がクキッと曲がる。
「えッ……?」
視界が斜めに傾向して驚いた声を漏らす御前に、世楽は瞬時に身体の姿勢を変化させた。
「んしょ」
傾いた御前の身体が床にぶつかる前に、腕を差し入れ高身長の身体を支える。
「大丈夫か?御前」
「あ、あぁ……すまない」
反射的に世楽の肩に手を置いた御前は、目を見開いて感謝を述べると、体勢を元に戻す。そこで―――。
モミッ。
世楽が御前の張りのあるぷるんとしたお尻に手を伸ばし、優しく揉み始めた。
「んやッ!?」
ビクリと腰を震えさせた御前は、弓のように背を反らせ、綺麗な緑色の瞳を大きく見せる。
「さっきのお返しと今助けた分だ」
ニヤリと口角を上げて悪戯っぽい笑みを浮かべると、両手でお尻を掴み、回すように揉みしだく。
「んあッ、ちょっと、おい!一年、んはぁ、あんッ」
先程までの勢いは何処へ。御前は揉まれる変な感覚に甘い嬌声を漏らして、世楽の肩をキュッと握ると、背を反らせる反動で大きな二つの胸が世楽の顔に押し付けられる。
「さっきまでの威勢はどうした御前?」
楽しそうに不適な弧を口で描く世楽は、御前の先程までのペースを崩せて嬉しそうに嗜虐的な心を持つ。
「んはッ、ちょっ……そこ。……あんッ、いやぁ、ホント、に……もう」
「なに?ちゃんと言わないと分かんない」
ドS心を擽られる世楽は、御前の可愛く艶のある色っぽい反応に、少しだけ激しさを増す。
「ひゃッ!?あんッ、ちょッ、いやんッ!?も、もう、はぁあ……ゆ、許してぇ」
お尻を激しく揉まれ、押し付ける胸に掛かる熱い吐息と擦れる感覚に、通常だと威勢のいい御前も、耳先を真っ赤にして目尻に玉の涙を浮かべていた。
「ようやく勘弁した」
世楽は楽しげに満足した顔でそう呟くと、ビクビク反応する御前のお尻から手を放す。すると、御前はスイッチが切れたように力がふわぁっと抜けて、ぺたんと女の子座りで甘い吐息を繰り返した。
「はぁ、はぁ、はぁ、っはぁあ、はぁ」
涙を浮かべて恥ずかしそうに目を伏せる御前を見下ろして、世楽はしゃがみ込むと、顎をクイッと持ち上げる。
「御前。可愛いな」
威勢を崩した乱れた黒髪ロングのガツガツ系お姉さんを羞恥心に染め上げた世楽は、目を細めて嬉しそうにそう言った。
「うぅぅ~////」
目尻に浮かべる玉の涙を頬に流して、極めて恥ずかしそうに唸り声を上げる御前は、人生初めて頬を真っ赤に染めただろう。




