06 寝耳に
長かった一夜が明けました。
何事も無かったという事が信じられない程、
何やらいろいろあったのに、
無事に朝を迎えられた奇跡に、心底感謝。
まさに、明けましておめでとうございます、ですね。
朝食を用意してくれているイヴさんの、
昨日のものとはまた違う刺激感をまとった新作メイド服姿をチラ見しながら、
今日はどうやって煩悩退散させようかなどと思いを巡らす、俺。
「今日のご予定は?」
にこにこ顔のイヴさんの問い。
あまり甲斐甲斐しくお給仕され過ぎると、せっかくの美味しい朝食のお味が分からなくなっちゃうんですよ、
などと少々拗ねながら、今日の予定を思い出そうとすると……
うん、何もねえや。
一家の主人どころか成人男性としても、どうよコレ。
「ではご一緒に、ヴェルネッサさんをお迎えしましょうね」
……今、何て。
「そろそろご到着かしら」
ふぁっ!
馬車ですかっ、『転送』ですかっ。
「いいえ」
指先で天井を指差したイヴさん、にこり。
わけ分からん。
とりあえず、大慌てで表に飛び出すと、
とすん
おっと、びっくり。
空から何か落ちてきましたよ。
これは……ほうき?
はて、なぜ空からほうきがと、上を見上げてみたら、
ふわりふわりと、何かが落ちてきますね。
あれは……ヴェルネッサさん!




