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【WEB版】水魔法なんて使えないと追放されたけど、水が万能だと気がつき水の賢者と呼ばれるまでに成長しました~今更水不足と泣きついても簡単には譲れません~   作者: 空地 大乃
第六章 Cランク昇格試験に向けて

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第85話 変わるネロ?

「本当ネロくんってばこんなに大活躍出来る冒険者になっちゃうんだもん。何か少し遠くに感じちゃうな」


 受付ではフルールが僕たちの対応をしてくれた。いつものことすぎてまるで専属になった気分だよ。気心がしれてるから助かるけどね。


 でも、そんな風に思われていたんだ。僕としてはあまり変わった気がしないんだけど。

 

 あ、でもマスターからはもっと自信をもてと言われたよね。ガイっぽくう~ん。


「そ、そうだぜ。俺はもう昔の僕、いや、お、俺とはち、違うんだぜぇ」


 僕なりにガイを意識して応じてみた。これで自信あるように見えるかな? と思ってフルールを見たらすごく冷ややかな、いやどこか可哀想な人を見るような目を向けられてる!


「何か、それは変よネロくん」

「ごめんねフルール。多分ネロはパパに言われたことを意識して迷走してるんだと思うの」

「スピィ~……」


 あっさり変と言われた上にエクレアに擁護されちゃった! スイムもどこか残念そうな鳴き声だし。


「うぅ、頑張ってガイを意識したのに」

「俺がいつそんな頭おかしい真似した! 殺すぞ!」


 血相を変えてドタドタとやってきたのはガイだった。どうやらガイも近くにいたらしい。胸ぐら掴まれて飢えた狂犬みたいな顔で睨んできてるよ!


「ネロもなれないことするものじゃないわよ。ガイは元から粗雑だからこそ成り立つんだから」

「そうですね。ネロがガイのマネをしたら頭のおかしいところだけが強調されてしまいます」

「誰が頭おかしいだこらぁ!」


 フィアとセレナも一緒だった。それにしてもセレナキツイね。


「クソが! おいネロ!」


 手を放し、ガイが改めて僕を呼んできて。


「えっと、なに?」

「前も言ったけどな、あの時は仕方なくお前と組んでやっただけだ! 今は別のパーティーだから敵同士!」


 問い返した僕にガイがそんな事を言ってきた。敵同士って、う~ん……。


「えぇ? 同じ冒険者なんだし協力できるところは協力した方がいいと思うけど?」

「だから甘いっつってんだよ! 大体テメェも昇格試験控えてんだろうが! 腑抜けたこと抜かしてんじゃねぇぞ! こっちはテメェと決着つける気まんまんなんだからな!」


 えっと何か試験が勝負の場みたいな話をしてるけど試験ってそういうのと違うような?


「大体――」

「ガイ様ちょっと宜しいですか?」

「……何だよ」


 受付嬢が恐る恐るとガイに問いかけた。相手がガイに戦いているのに気づいたからか声のトーンが大分落ちたね。


「その、魔報でガイ様の父親から言伝があったようで――」


 魔報――魔法の力で遠く離れた場所にちょっとしたメッセージなんかが送れる技術のことだ。


 大きな街には魔報所という施設があってそこでメッセージのやり取りが行われる。冒険者ギルドは危険がつきまとうからわりと使う機会が多い。


 だから業務提携を結んでいて登録している冒険者あてならギルドまでメッセージを届けてくれるようになっている。


「……親父が」

「はい。これがその文章です。あ、勿論封は開いてませんので」


 魔報所の封蝋がされてる便箋をガイに手渡しペコリと頭を下げてもとの仕事に戻っていった。


 ガイはそれを懐にしまった後――


「チッ、面倒クセェ」


 そう言い残して出ていった。


「何あれ? 父親からのメッセージなんでしょ? しかも魔報でなんてよっぽどのことなんじゃないの?」

「スピィ……」


 出ていったガイにエクレアが怪訝な声を上げた。スイムもちょっと寂しそうな鳴き声を上げている。


「そういえばガイの家族について話が出たのはこれが初めてだね」

「え? そうなの?」


 エクレアが目を丸くさせた。まぁもっと言えばフィアやセレナの家族についても知らないんだけどね。


「ごめんね。ガイもあれで中々複雑なのよ」

「…………」


 フィアが苦笑気味にエクレアに説明していた。セレナは沈黙したままガイの出ていった方を見ていた。


 複雑か、僕も正直人のこと言えないけど大丈夫かな?


「ま、そんなに気にしなくても大丈夫よ」

「そうです。それより仕事の話の途中だったのでは?」


 フィアが苦笑気味に返してきた。一方でセレナは僕たちのことを気にかけてくれてるみたい。


「一応報酬の件は二人に示したとおりね。既に報酬もギルドカードに記録しているわよ」


 流石フルールは仕事が早いね。


「そういえば――あの黒い紋章を持った連中、確かスキルジュエルも持っていたんだよね? それの権利ってどうなるの?」


 エクレアがフルールに確認していた。そうか、盗賊とか退治した場合持っていた装備などは倒した冒険者が希望すれば貰えたりする。


 だからスキルジュエルの事が気になったのかも。


「あ~それがあったわね。結論で言うと残念ながら渡すことは出来ないわ」

「それはどうして?」

「キュピ~?」


 フィアも怪訝そうに聞いていた。スイムも?のように体を動かしている。


「証拠品として騎士団が全て回収していったというのが一点。それと、もし回収されていなかったとしても黒い紋章使いは私達の知る紋章とは異なる能力を使うことが多い。だからスキルジュエル一つとってもどんな細工がされているかわからないからどちらにしても渡せないというのがあるわ」


 そうフルールが教えてくれたことでエクレアとフィアも納得したようだ。


「そういう事情なら仕方ないね」

「そうね。ただマスターの考えとしてあまり早い段階からスキルジュエルに頼って欲しくないというのもあるみたいよ。ほらあれって無条件で強力なスキルを使えるようになったりするじゃない? それで過信するのを危惧しているのよ」


 あぁ……それは何となくわかる気もする。便利だけどスキルジュエルありきな戦い方になると努力を怠る可能性もあるし、無くしてしまうと出来ていた事が急に出来なくなってしまうリスクもある。


「そういうことだから皆も今のうちはあまりあぁいった物に頼らない戦い方でやっていった方がいいと思うわよ。勿論ムチャも厳禁、て、これはもう今更だけどね」


 フルールが遠くを見るような目を向けて言った。

 わりと心配掛けちゃってるもんね僕。


 さて、話も一旦落ち着いたところで僕たちはギルドを出ることにした。フィアとセレナはガイを追っかけて見るみたい。


 そして僕とエクレアはサンダースの言っていたように装備品を見てみようという話になり一緒に店を見て回ることにしたんだ――

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