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第57話 店の暴徒を鎮圧

「ネロ!」

「うん! 水魔法・水ノ鞭!」


 エクレアが立ち上がり声を上げた。その意志は僕にも理解できた。店内のお客さんに襲いかかってる暴徒を水の鞭で縛めていく。


「何これ一体どうなってるの?」

「スピィ!?」


 フィアとスイムも突然なだれ込んできた暴徒に驚きを隠せない様子だ。


店員も悲鳴を上げている。これは早く何とかしないと。


「とにかく止めよう!」

「そうね。なら私の魔法で――」

「待って待って待って! フィアはギリギリ、ギリギリまで待とう!」


 フィアの魔法は店の中で扱うには危険過ぎるからね――とにかく水飛沫の魔法で暴徒に水を掛けて回った。


 その間にフィアは戦いではなく店内のお客さんや店員が逃げられるよう誘導をお願いした。


「よしエクレア!」

「任せて武芸・雷撃槌(らいげきつい)!」


 エクレアが床を鉄槌で叩くと電撃が周囲に伸びて暴徒たちを感電させていった。意識が消失し店内の暴徒が一斉に倒れていく。


「ふぅ。これでなんとか鎮圧出来たね」

「凄い――これどうなってるの?」

  

 一安心してるとフィアが不思議そうに聞いてきた。そうかフィアは当然雷が水を伝わるって知らないもんね。


「雷と水って相性ばっちりなんだよ。だから水に乗せると効果が高いの」

「へ、へぇそうなんだ……うぅ、火だとこうはいかないよね……」


 何だろう? エクレアの説明を聞いてフィアが肩を落としてるけど――


「フィアもありがとう。フィアのおかげで店のお客さんや店員も逃げ出す事が出来たんだし」

「え? あ、そ、そう。ま、大したことないわよ」

 

 僕がお礼を言うと腕を組んで強気なセリフを口にするフィア。うん、やっぱりフィアはこうでないとね。


「これってフィアもしかして……」

「スピィ~?」


 あれ? エクレアがスイムを撫でながら何か呟いてるけど何かな?


 いや、それよりこの状況を先ず把握しないと。


「店員さんも気になるし一度店から出よう」

「うん」

「そうね」

「スピッ!」


 スイムを肩に乗せて店から出た。すぐそこに心配そうにしてる店員や神妙な顔の男性がいた。男性はもしかしたら店長なのかもしれない。


「お前たちのおかげで助かった。店長としてお礼を言わせてもらうよ」


 あ、やっぱり店長だったんだね。


「いえ、僕たちは冒険者ですからこれぐらい当然です」

「それより、店の鍵を外から掛けてもらえる? 暴徒が中で気絶してるから出れないようにね」

「確かにそうだな」


 店長が扉の鍵を閉めた。シャッターもおろしてしまえば内側から出ることは不可能らしい。


「あの、実は外も大変みたいで沢山暴れまわってる人がいるんです。もうどうしていいか……」

「え! 外にも!?」


 店員の女の子が状況を説明してくれた。まさかそんなことになってるなんて思わず驚いた。


「言われてみれば叫ぶ声が聞こえてきてるわね」

「見て! 向こうには火の手が!」

「スピィ!」


 エクレアとフィアが緊迫した声を上げる。確かに相当な騒ぎになってるようだ。


「とにかく店長さんと安全な場所に避難を! 僕たちは他の様子を見てきます」

「は、はい。どうか気をつけて――」


 店員の女性に注意を促し、僕たちは声のする方向けて駆け出した。


「何これ――」

「さっきまで平和だったのに……」

「ス、スピィ……」


 目を疑うような光景だ。沢山の人が倒れている――暴徒化した人が暴れているのが見えた。ただ、彼らを押さえつけようとしている人もいる。格好からして冒険者だろう。衛兵の姿もあった。


「僕たちも手伝わないと――」

「あぁ! いたいた!」


 他の冒険者達に合流しようかと考えていると、道の向こうから声を上げて駆け寄ってくる人がいた。


「あ、あの人は確か?」

「うん。戻ってきた時にすれ違った人だね」


 そう、ローブを羽織った細目の人だ。だけど確かもう一人いたはずだよね――

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >店長が扉の鍵を閉めた。  シャッターもおろしてしまえば内側から出ることは不可能らしい。 これで安全って言いたいのでしょうが 改めて確認させて下さい。 ……この作品の文化は近代社会並…
2022/03/31 20:19 フンバルト
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