第46話 ボスカエルを退治しよう
王様カエルが電撃で倒れる、と思ったんだけどカエルはギリギリで踏ん張った。
「ごめんネロ。ちょっと弱かったかも!」
エクレアが謝ってきたけど仕方ないよね。
「気にしないで。相手はボスなんだから簡単ではないよ」
「ごめんね。本当は雷神槌を使えればいいんだけど、あれは生命力の消費が激しくて一日二回が限度なの……」
エクレアがしょんぼりした顔を見せた。武芸には生命力を消費するのもあると聞いたけど、やっぱり威力の高い武芸はリスクも高いのか……。
「それならなおさらだよ。大丈夫ボスは僕たちで――」
「ゲロロロロロロオオォオオォオォオオ!」
落ち込むエクレアを励ますように言葉を返すと、カエルが荒ぶったように鳴き出した。
かと思えば頬が膨らみパンパンになったところで湯気が漏れ出し、カエルの体色が赤く変化していった。
「このカエル、まだ何かある?」
「スピッスピィ!」
スイムもどこか慌てた様子だ。するとカエルが口を開けてなんと炎を吐き出してきた。
「うわわっ!」
僕は思いっきり飛び退いて何とか炎の範囲から逃れた。
「エクレア!」
「大丈夫! 私も逃げたから」
エクレアが心配で声を掛けたけど平気そうだ。何もなくてよかった。
とは言え、まさかこんな攻撃をしてくるなんてね。
王様カエルが再び大口を開く。火炎攻撃をしてくるつもりか。
「でも僕には水魔法がある! 水魔法・放水!」
王様カエルの吐き出した火炎に向けて杖から水を放出した。炎と水のぶつかりあい。
水の方が有利かと思ったけど、相手の炎の勢いも凄い。そして炎と水がぶつかりあい弾けあって双方がかき消えた。
すると突然周囲に霧が発生した。これはまさかあのカエルの能力?
「ゲロゲロッ!?」
いや、突然の霧に王様カエルも戸惑ってるようだ。
てことはこれって炎と水がぶつかって出来たって事?
霧は知ってたけど、それだと霧の発生源は水に関係してるってことに――ということは。
「驚いたよ突然霧が発生するんだもん」
「スピィ!」
霧が薄れてきてエクレアとスイムが声を上げた。王様カエルも冷静になってきたのかこっちを見て様子を窺ってる。
これはこっちをかなり警戒しているようでもある。でも、これなら!
「閃いた! 水魔法・水濃霧!」
僕が新しく閃いた魔法を唱えると王様カエルの周囲に霧が発生した。
「ゲロゲロゲロゲロォォオォォオ!」
王様カエルが慌てている。視界が塞がれたからだろうね。
「今だエクレア。あの霧に向かって雷で攻撃してみて。ただしエクレアは霧に巻き込まれないようにね」
「え? う、うんわかったやってみる!」
そしてエクレアが鉄槌を構えて飛び込み霧の手前で武芸を放った。
「武芸・雷撃槌!」
「ゲロオォォォオォォオッォオオォオオォオオオ!」
エクレアの鉄槌から迸った電撃が霧に吸い込まれていき、霧の中でバチバチバチと激しく電撃が駆け巡った。
王様ガエルの断末魔の叫びが耳に届く。
「え? これってどういうこと?」
「うん。実はさっきの炎と僕の水がぶつかりあったことで霧が発生したんだ。それをヒントに閃いたのが今の魔法。つまり霧は元を辿れば水なんだ」
「水――あ、そうか! だから電撃が霧を伝ってあのカエルをやっつけたんだね」
「スピィ!」
エクレアは流石理解が早いね。スイムもわかってくれたのかピョンピョン跳ねて嬉しそうだよ。
さて、霧が晴れた後にはもうボスの姿はなかった。代わりに宝箱が一つ出現していたよ。ボスを倒した後の戦利品って奴だね。
よし、これでエクレアとパーティー結成して初のボス退治だね。さて宝箱には何が入ってるかな~?