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【WEB版】水魔法なんて使えないと追放されたけど、水が万能だと気がつき水の賢者と呼ばれるまでに成長しました~今更水不足と泣きついても簡単には譲れません~   作者: 空地 大乃
第八章 救いたい仲間たち

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第301話 水浴びしよう

いつも感想や誤字脱字報告を頂きありがとうございます!

 スカムワームとの戦闘の結果、とんでもない置き土産を受け取ることになった。


 服は例の“アレっぽい”粘液でぐちゃぐちゃ。

 臭いも完全に染みついていて、鼻が慣れかけたと思った瞬間にまたぶり返す。


「念のため、簡単な衣類も買っておいて正解だったわね」


 ライトニングさんがそう言って、スイムから取り出した荷袋から更に貫頭衣を取り出した。

 戦闘での破損や、こういう不測の事態に備えて何着か用意していたらしい。


 確かに、服を洗うとしても乾くまで裸で待つわけにはいかない。

 その備えは本当にありがたい。


 問題は――どこで洗うか、だ。


 幸い、少し進んだ先に小さな泉があるらしい。


「なら、そこで水浴びね」


 水場が近づくと、スイムが嬉しそうに肩の上で跳ね始めた。


「スピィ~♪」


 水の気配を察知したのだろう。


「わぁ~、綺麗なお水さ~ん!」


 泉を目にした瞬間、ネイトのテンションが一段跳ね上がる。


 透き通った水面。

 周囲を囲む木々の緑が映り込んでいて、確かに綺麗だ。


「これだけ綺麗だと……ちょっと申し訳ない気もするわね」


 エクレアが少し気まずそうに言う。


 その気持ちはわかる。

 こんな透明な水に、あの臭い粘液を流すのは……うん、複雑だ。


 その時。


 スイムがぴょんと肩から降り、水辺へ近づいた。


 どうやら泉の水を吸い上げているらしい。


 次の瞬間――


 ぴゅっ。


 勢いよく水を噴射し、エクレアの汚れた服へ命中。


「わっ! すごい、汚れが落ちていく!」

「これは助かるわね。入る前にある程度落とせるわ」

「うむ、スイムの本領発揮だな」


 女性陣に撫でられ、スイムは誇らしげにぷるぷる震える。


 よし、準備は万端だ。


「なら、女から先に入れよ。俺らは見張りだ」


 ガイが当然のように言う。


「えぇ~? みんな一緒じゃダメなの~?」

「いやいや! それはさすがに無理だよ!」

「申し訳ありませんネイト様。某も一応“男”でございますゆえ」


 ネイトが不満そうに頬を膨らませるが、そこは譲れない。


「私だけなら一緒でもいいのだがな。汚れも落としてやるのに」

「だから自分で出来るってば!」


 さりげなく服を脱がせようとするのはやめて、ウィン姉!


「――ザックス。覗いたら凍す!」

「私も本気でやるわよ」


 アイスとマキアの冷たい視線がザックスに突き刺さる。


「ぶ、物騒なこと言うなよ……」


 というわけで。


 僕、ガイ、ザックス、ケトルの四人は少し離れた場所で見張りをすることになった。

 スイムは女性陣と一緒だ。汚れ落としで大活躍中だろう。


「……それにしても、くせぇな」

「水浴びで落ちるのか、これ?」

「あはは……落ちると信じたいね」

「ネイト様を汚れから守れなかったことは、不覚でございます」


 ケトルが少し肩を落とす。


「まぁ、怪我はなかったんだし――」


 そう言いかけた時だった。


 泉の方から、楽しそうな声が聞こえてくる。


『エクレアのママ、すごいスタイルいいわね。子どもがいるなんて思えないわ』

『本当よ。どうやって体型維持してるの?』

『うふふ、ありがとう。エクレアだってしっかり成長してるわよ』

『プロポーションなら師匠も負けてない。美しい』

『フッ、愛弟に恥ずかしくない姉でいたいからな』

『みんなすご~い……私もみんなみたいになれるかな』

『ネイトちゃんはまだまだこれからよ。成長期なんだから』


「…………」


 し、自然に聞こえてくるんだけど。


「ネロ、てめぇ何赤くなってやがる」

「ガイこそ顔赤いよ!?」

「赤くなんてなってねぇ!」


「……ザックス殿、どちらへ?」

「ちょ、ちょっとトイレ」

「待て。そっちは泉の方だろうが!」

「まさかザックス……」

「お前らだって本当は見たいだろ!? チラッとだぞチラッと!」

「チラッともダメに決まってるよ!」


 三人がかりでザックスを羽交い締めにする。


 その瞬間。


――ぬるり。


「……ん?」


 足元に冷たい感触。


 視線を落とすと、緑色のヘドロ状のスライムが絡みついていた。


「魔物だ!」

「いつの間に!?」

「くっ……斬れぬ! ぬめりが!」


 剣を振っても刃が滑る。


「うわ、ベタベタする!」

「しかも増えてないか!?」

「ちょ、ちょっと待ってこれ服に――うわあああ!」


 次々と足元から湧き出し、僕たちにまとわりつく。


 気が付けば全員、緑色のスライムまみれだ。


――その騒ぎを聞きつけて。


「むぅ! なんてことだ、愛弟がスライム塗れに!」

「ネロだけじゃねぇよ!」


 水浴びを終えた女性陣が戻ってきた。


……着替えてはいたけど、それでもちょっとだけ、目のやり場に困る。


「あら、これは良かったかもしれないわね」


 ライトニングさんがあっさり言う。


「良かったって、大丈夫なの?」

「えぇ。あれはバキュームスライム。無害なタイプよ」


 ぬめりに包まれながら説明を聞く。


「汚れや腐敗物を餌にする性質があるの。臭気や粘液を吸い取ってくれるわ」

「……だから、まとわりついてきたのか」


 よく見ると、さっきまで染みついていた悪臭が、少しずつ薄れている。


「結果オーライ、か?」

「ザックスの悪巧みも阻止できたしな」

「お、俺は何もしてねぇ!」

「結果論でござろう」


 結局。


 水浴びを終えた女性陣はさっぱり。


 僕たちはスライムに磨かれて半分さっぱり。


――まぁ、悪くない……のかな?

本作のコミカライズ版単行本第2巻が今月2月25日に発売されます!

どうぞ宜しくお願い致します!

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