第26話 新パーティー結成
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「よかった~一緒にパーティーを組んでくれる仲間が見つかったのね」
新しくパーティーを組むことになったとフルールに報告したら自分のことのように喜んでくれたよ。フルールはやっぱりいい人だよね。
「しかもエクレアちゃんとは驚いたわよマスターの娘さんがね」
フルールが感慨深そうに顎を上下させる。やっぱりマスターの娘だけあって名前は知られているみたいだね。
「最近パーティーから追放されてネロくん大変だったのよ。本当宜しくねエクレアちゃん」
はは、フルールってばまるで僕のお母さんみたいだ――実際の家族とはいい思い出ないんだけどね……。
「勿論。それに凄く頼りにしてるのよ。さっきのパパとの試合も凄かったし」
「試合? え? ネロくんマスターと試合したの!?」
「は、はい。成り行きで」
「えぇえええぇええぇええええぇ!?」
フルールに凄く驚かれた。そういえば試合する時に一階を通ったけどカウンターにいなかったんだ。だから知らなかったんだね。
「マスターと戦うなんて体は平気なの?」
「大丈夫です」
「ふふん。ネロってば凄かったのよ。試合でパパに勝ったんだから」
「ええええぇええええええ!?」
フルールが仰天していた。マスターに勝つってそれぐらい驚かれることなんだね。
命の取り合いではないとは言え、普通は簡単なことでもないし、そう考えたらやっぱり本気じゃなかったんじゃないかな? って気もしないでもない。
「そういえばネロくんの昇格手続きも済ますよう通知が来ていたのよね。でもそれを聞いたら納得するほかないわね」
そうだった。今日から僕はEランクじゃなくてDランク冒険者になるんだ。エクレアはもうDランクだったみたいだけどね。
「そういえばマスターは次のCランク試験にも受けさせるみたいなこと言ってたわね。流石に早すぎな気もするんだけど……」
Cランク試験――Dランクまでと違いCランクは冒険者ギルドの管理局が主催する試験となる。試験は一年に二回あって各エリアで試験会場が分かれる。
Cランク試験は各ギルドから推薦された冒険者が集められて行われるんだ。だからDランクまでの常識は通用しない。
その試験に僕が……。
「その試験、私も推薦される予定よ! ネロが推薦されるなら一緒に試験受けられるかもね」
「え? そうなの?」
「うん♪」
「スピィ~♪」
エクレアがニコッと微笑んだ。スイムも喜んでそうだよ。試験が何かわかってるかはともかくね。
「どちらにしても次の試験、受付期間はまだ結構残ってるからね。これからの仕事次第でどうするか変わってくると思う。だから浮かれてミスしたりしないようにね」
「うん。ありがとうフルール。心配してくれて」
「ふふッ。何かネロくんって弟が出来たみたいで放っておけないのよね」
はは、弟みたいか。そうなるとフルールはお姉ちゃんってことかな――確かにこんな姉がいたらもっと良かったかもね……。
「ネロくん折角エクレアちゃんとパーティーを組めたんだからしっかりね」
「……」
「ネロくん聞いてる?」
「え? あ、ごめんなさい! ちょっとぼーっとしちゃって」
危ない危ない。つい別なこと思い出してしまったよ。
「大丈夫? もしかして疲れてる?」
「いや、大丈夫だよ。それよりエクレア。ほらダンジョンのこと」
フルールに心配されてしまって申し訳なく思う。だからなんとなく話を変えたくてエクレアにダンジョンについて振った。
「あ、そうだったね。フルール私達ダンジョン攻略に行きたいの」
「へぇ。早速ダンジョンに。それでどこの?」
「ここから北東にあるサザン山にある――」
エクレアが目的のダンジョンをフルールに説明した。
「なるほど。最近見つかったダンジョンね。まだ攻略されてないし二人なら丁度いいかもね」
「うん! そうだよね」
どうやらエクレアが選んだダンジョンは今の僕たちが攻略するのに最適な難易度なようだね。
「ネロくんもダンジョン攻略の経験はあるものね」
「うん。ガイのパーティーに所属していた時のことだし、その時はあまり役に立てなかったけどね」
「え? ガイってあの勇者の紋章持ちの?」
フルールから聞かれたことに答えるとエクレアが横から質問してきた。勇者の紋章を持つガイのパーティーは結構有名だからそれで興味を持ったのかな。
「うん。一年間パーティーを組んでたんだ。今は、その抜けてしまったけどね」
追放されたとは何だか言えなかった。フルールもそこは訂正しようとしない。気を遣ってくれてるのかも。
「そうだったんだね」
「はは。ガッカリした?」
なんとなくエクレアの気持ちを探るような質問になってしまった。我ながら小さいなと思う。
「え? どうして? 寧ろ良かったと思ってるよ。そのおかげでこうしてネロとパーティーを組めたんだし。あ、でも良かったは不謹慎かな?」
エクレアがあちゃ~と何か失敗してしまったような素振りを見せて頭を上げた。
その様子に僕はなんとなくおかしくなった。本当に小さいことを気にして馬鹿みたいだ。
「ありがとうエクレア。気が楽になったよ」
「ん? えっとよくわからないけどネロがそう言うなら良かったよ。改めて宜しくね」
エクレアが右手を差し出してきた。だから僕も握り返す。ようやくパーティーを組めたんだって実感が湧いてきた。
「う~ん、なんて初々しいのかしら! はぁ、私ももっと若ければ」
「いやフルールさんも十分若いですよね」
「そうよ確かまだにじゅ――」
「ん~ん~!」
エクレアが思い出したように口にするけど、フルールが咳きしたから最後までは聞けなかった。
「とにかくダンジョン攻略の申請は受け付けたからいつでも潜って大丈夫よ。だけど無茶はしないこと。ボスを倒した後も無理そうだったらすぐに戻ってくるのよ」
フルールに釘を差された。確かにダンジョンは危険も一杯だからね。僕だけの問題じゃないわけだししっかりしないといけないね――
いよいよダンジョンへ!Cランク試験の話も……
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