第24話 ランクアップ
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「何度も往復させて悪いな」
「いえ。問題ないです」
部屋に通されてサンダースが謝ってくれた。僕としてはギルドマスターに会えただけでもいい経験だし問題ないけどね。
「そうか。ま、お前の実力はわかったからな。そう言えば今はランク幾つだった?」
マスターが僕のランクを確認してきた。エクレアが見てる中まだ低ランクなのはちょっと恥ずかしいけど素直に答える。
「Eランクです」
「じゃあ今日からDな」
「え!」
いきなり昇格を告げられて驚いた。こんなあっさり決まる物なの?
「やったねスイム! これで私と一緒だよ♪」
「スピィ~」
エクレアが僕の昇格を喜んでくれた。この口調彼女はとっくにDランクだったみたいだね。何か僕の昇格でスイムも嬉しそうにしてくれてるよ。
「でも本当にいいのかな?」
「いいに決まってんだろう。魔獣を撃退した上に、この俺に勝ったんだからな」
そう言えば魔獣退治もあったか~。でも勝ったと言っても。
「あの勝負マスターが本気だったとは思えません」
「馬鹿言え。あの場では俺もまじでやったさ。勿論本気の殺し合いと試合形式じゃまた違うがな」
ニヤリとサンダースが獰猛な笑みを浮かべた。背中に悪寒を感じたよ。
「それよりもだ。水のことだが、さっきも言ったが口外するなよ。エクレアお前もだ」
「わかったわパパ。でも水が重たいなんて信じられないわね」
あぁやっぱりみんな大体そんな認識なんだね。
「確かにな――ネロ。お前は軽く考えているかもしれないが、水には重さがない。これまでそれが常識だった」
「そのことなんですが、今思えば川に入れば抵抗を感じたりしますよね。僕も当時は特に疑問に思ってませんでしたが水が重いってわかるとその意味も理解出来ました」
「川には水の精霊がいる。だから水に入ると悪戯でそうなる。それがこれまでの全てだ。教会でもそう伝わっている」
確かにそうだね。思えば神父も水の精霊の悪戯だって言っていたし。
「あ、もしかしてネロの魔法って実は水の精霊が協力してくれているとか?」
「いや、水の紋章だけだとそれはないだろう。精霊使いはまた別だしな」
エクレアが僕の魔法について憶測を述べるけど、サンダースに否定されていた。
精霊については僕も違うんじゃないかと思っている。賢者の紋章のこともあってなおさらね。
「とにかく、俺がお前に外で話すなと言ったのは余計なトラブルに繋がり兼ねないからだ。常識を覆すというのはそれぐらいリスクが高いことなんだよ。だからわかったな?」
「は、はい」
サンダースが念を押す様に言ってきた。僕としても厄介事はゴメンだしね。だからそこは納得することにした。
「わかればいいんだが、それにしたってお前の水魔法は異質だ。一応聞くが授かったのは水の紋章なんだよな?」
「あ、え~と――」
そこを問われてしまい答えあぐねてしまった。サンダースの目がキラリと光る。
「――違うのか?」
す、すごい圧を感じる。とても誤魔化せる雰囲気じゃない。でもいい機会かも。どうしようか迷っていたし。
「実はそうなんです。自分でもよくわかりませんが、右手に別の紋章が浮かび上がって」
「別の?」
「え? でも何もないよね?」
サンダースのこめかみがピクリとうごめく。隣ではエクレアが僕の手を取って不思議そうにしていた。エクレアの手がや、柔らかい。いや、そうじゃない!
「その、どうやら僕の紋章は他の人からは視えないみたいなんだ」
エクレアに触られて若干固まりそうにながらも答えた。途端に空気がひりつく。
「視えないだと? おい! その紋章ってまさか黒い紋章か!」
するとサンダースが勢いよく立ち上がり、凄まじい形相でこっちを見下ろし聞いてきた。
えっと、黒い紋章?
「いや、黒くはないです。青白い紋章で……」
そう僕が答えるとサンダースが目を丸くさせる。
「黒く、ないのか?」
「はい。えっと一応名前があって賢者の紋章というらしいです」
サンダースに紋章の事を伝えると、首を傾げ再び席に着く。
「なんだそりゃ? 聞いたこともないぞそんな紋章」
「マスターでもご存知ない紋章なんですね」
もしかしたらギルドマスターなら何かわかるかもと思ったけどそんなに珍しい紋章なのかな。
「私も知らないわ」
「キュ~♪」
スイムを撫でながらエクレアが言った。スイムも彼女に大分懐いているね。
「その賢者の紋章にはどんな効果があるんだ?」
「それがいまいちわかってなくて。どうやら水の理を知ったから浮かび上がったらしいのですが」
「水の理か……なるほどな」
「ねぇねぇその紋章で何か変わったことは?」
サンダースが考える仕草を見せ、エクレアからは紋章について聞かれた。変わったことか……
「水の威力は上がってる気も……それと何か魔法が閃きやすい気がするんだ」
エクレアの質問に答える。サンダースが目を眇めて追加で聞いてくる。
「そういえばさっきも色んな魔法を見せてくれたな。あの他にもあるのか?」
「はい。この紋章が浮かぶまでは使える魔法は二つだけでしたが、これが浮かび上がってから追加で十個ほど閃いて」
「十個だと!? おい、それはどれぐらいの期間の話だ?」
「えっとここ数日の間です」
「はぁああぁああぁあああ!?」
サンダースにかなり驚かれた。やっぱり多いかな? 自分でも賢者の紋章を授かってから妙に閃くなと思ったけど。
「凄すぎよ! 私も早い方だって言われたけど、それでも最初の閃きに一ヶ月掛かったしそこからも三ヶ月かかったのよ!」
「俺だってこの年で最近やっとあの雷虎猛襲撃を閃いて六個目だ。しかもそれだってかなりレアなんだぞ? 一つか二つで終わるやつも多いし四つも閃いたら上等だ」
サンダースが呆れたように言った。そ、そう聞くと確かに規格外なのかもね――
現在日間ハイファタジーランキングにて2位。再び順位を上げることが出来ました。
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このままいけば1位も、もしかしたら総合の表紙入りも狙えるかも知れない……もし水魔法頑張れ!ネロがランクUPしたみたいに順位UPに協力したい!今後も水魔法の活躍を見守りたい!と少しでも思って頂けたならこの下の★を増やして評価頂けると励みになりますしよりやる気も漲ります!ブックマークがまだだったな~という方がいましたらこの機会に是非!感想やいいねもお待ちしてます!そして評価やブックマークをしたよ~という皆様に感謝!今後も更新頑張ります!