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第178話 説明される中断の理由

「素材を奪われたね……どうやら頭の切れる子がいたようね」


 ノーダンから話を聞いたビスクが感心していた。この口ぶり、もしかしてまともに勝負しても勝てないのはわかっていた?


 つまり猛獣狩人から素材を得るためには戦闘以外のアプローチが必要だったということかもしれない。きっとそれにセレナが気がついたんだ。


「――素材を奪われたのは事実だが、それよりも何かただ事じゃない雰囲気を感じる。試験を中断したのもトラブルが発生したからなのか?」


 すると猛獣狩人の一人ゲッタソイが目を光らせた。

 ……ゲッタソイであってるよね? 何かよく名前間違えられているから自信がなくなってしまったよ。


「……流石ねゲッタソイ」

「――あ、あぁそうだ。俺はゲッタソイなんだ!」

「ヒック、あいつ何で泣いてるんだ?」

「大体あんたのせいでしょうが」


 ビスクが名前を呼んだことが嬉しかったのがたしかに泣いてるね――その様子にノーダンが指をさしながらババロアに聞いていたよ。彼女は呆れ顔だったけどね。


 そういえば、さっきから見てるとノーダンは顔もほんのり赤いし酔っ払っている? 森の中でお酒を呑んでいたってことなのかな。


「いい加減本題に入れよ。で、何で俺等はいきなり呼ばれたんだ?」


 途中、ガイが不機嫌そうに口を挟んだ。これまでの話でいけばガイたちは猛獣狩人の素材を手に入れたってことだよね。


 つまりSランクの素材なわけで、この課題ではかなり有利に働いているといえるよね。なのに試験が中断となればガイの機嫌が悪いのも頷けるかもしれない。


 そう考えたら何だか申し訳ないよ。


「ごめんねガイ」

「はぁ? 何でお前が謝ってんだよ!」


 なんとなくガイに向けて謝罪したら怒鳴られたよ。まぁガイからしたらいきなり謝られても意味がわからないよね……。


「ま、そうだな。わざわざ集めておいてグダグダ言っててもしかたねぇし。うんじゃ本題。今回の試験参加者のロイドが殺された。それで試験は一旦中断。今後どうなるかは管理局次第――以上だ」

「「「「「「「「……は?」」」」」」」」


シルバの一方的な説明を聞き、集まってきていた冒険者たちが一様に眼を丸くさせていた。いきなりのことに頭が追いついていない人も多いと思う。


「シルバ! いくらなんても説明を端折りすぎですよ」

「はいはい。じゃあ細かいことはお前が説明してやれよ」

「はぁ、全くもう――仕方ないわね。では改めて私から説明致します」


 そしてビスクが現状を噛み砕いて説明してくれた。とはいってもシルバの説明よりはわかりやすかった。そして当然話の中で僕と戦っていた最中だったことも伝えられることになる。


「そんなことになっていたなんて……ネロ大丈夫?」

「う、うん。ショックはあるけどね」

「スピィ……」

 

 エクレアとスイムが心配そうに僕を見ていた。ロイドについてはエクレアにもちょっかいを掛けていたから決していい感情は抱いていなかったと思うけど、それでも殺されたとなると思うところはあると思う。


「ふざけるな! 弟がころされただと? あいつがそう簡単に死んでたまるか! さては貴様が卑怯な真似で弟を殺害したんだろう!」

「え?」


 叫び声がして見るとすぐ近くまでレイルが迫ってきていた。その手には斧。完全に虚を突かれた僕に向けてその凶刃が振り下ろされた。


「ぼさっとしてんじゃねぇぞ馬鹿が!」

  

 途端に脇腹に衝撃が走り僕は地面を転がっていた。見るとガイが立っていて剣を振り上げていた。


 僕を突き飛ばして位置を入れ替えたんだ。そしてガイの真上にはレイルの戦斧。だけど、その動きは止まっていた。銀色の鎖が絡まっていたからだ。


「おい。これ以上面倒事ふやすんじゃねぇぞ」

「ぐっ!」


 シルバの冷たい声が響き渡る。レイルはうめき声をあげてわなわなと震えていた――

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 冒険者同士の戦いも命のやり取りに発展することも想定してたなら これまでの試験でも類似例となる出来事あったんだろ? その時も勝手に途中中断で処理した挙句、何の改善もしなかったの? それ…
2023/08/13 01:29 通りすがり
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