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第147話 これをセットで!

 僕はスイム、エクレアと一緒にレストラン『エルヒント』にやってきた。


 店の前までくるとエクレアが目を丸くさせて建物をみている。


「えっとお昼を食べに来たの? でも今はそれどころじゃないような……」

「スピィ?」


 目をパチクリさせるエクレア。スイムもお腹すいたの~? という顔を見せている。


 今日の薬草採取は午前中に終わったし確かに昼時といえばそうなんだけどね。


「お昼を食べたいってわけじゃないんだ。とにかく入ろう」

「う、うん!」

「スピィ~」


 レストランに入るときちっとした身なりの店員が僕たちを出迎えてくれた。


「三名様ですね。本日はキャンペーン中でございますがおふた方は冒険者ですか?」

「はい。僕も彼女も冒険者です」

「承知いたしました。ではどうぞこちらへ」


 店員に案内され奥のテーブル席についた。そこで現在は冒険者限定のキャンペーン中であることを知らされる。


「そっかキャンペーンだから来たんだね」

「スピッ♪」


 エクレアが両手を合わせて嬉しそうに言った。スイムの機嫌もいいね。


「それだけじゃないんだ。ここのメニューは僕が選んでもいいかな?」

「え? うん。それなら任せるね」

「スピッ!」


 エクレアの許可も出たから僕はメニューに目を通した。この中で条件に合うのは――


「ご注文はお決まりでしたでしょうか?」


 店員が注文を聞きに来た。だから僕はメニューを指さして注文する。


「えっと、それではこの魚料理のレッドフィッシュのフリットと肉料理のキングバッファローのブレゼ。デザートにストロベリーアイスロック――これのセットで」

「え? そんなセットある?」

「スピィ~?」


 僕が注文するとメニューを見ながらエクレアが首をかしげた。だけど注文を聞いた店員の目がキラリと光るのを見逃さなかった。


「確かに――それでは急いでお持ち致します」

「ありがとう。あ、あとこっちのフルーツセットも」

「かしこまりました」


 そして店員が奥に引っ込んでいった。ちなみにフルーツはスイム用だ。


「凄いねネロ。もしかして隠れメニューでも知っていたの?」


 エクレアが不思議そうにしていた。僕が頼んだ三品はセットメニューの中には入ってなかった。


 それを受け付けてもらったから不思議に思ったのかもね。


「えっとね。これが多分試験のヒントに繋がるんだよ」

「え? 今のが!?」

「スピィ!」


 エクレアとスイムが驚いていた。どうしてわかったのという顔をしていたし説明する。


「このタイミングで冒険者限定のキャンペーンというのが気になってね。そうやって改めて見たらギルドでもらったこの紙の内容、もしかして料理のことかなと思ったんだよ」


 僕は改めてフルールから貰った紙を広げてエクレアと一緒に見ながら答えた。エクレアも話を聞いて、あッ、と声を漏らす。


「そうか確かにフリットは炎の上で油で揚げる……泳いでるとも言えるね。プレゼは竈を使った料理だから蒸し暑いトンネル。朱色に染まる氷山はまさにストロベリーアイスロック。うん凄いよネロ!」

「スピィ~♪」


 エクレアとスイムに褒められて何だか照れくさい。すると店員が料理を運んできた。


「しっかりご完食を――」


 テーブルの上に三品全ての料理が並べられた。しかも結構な量だ。


「こ、これで何かあるの?」

「完食してといっていたから食べた後にわかるかもだけど、エクレアいける?」

「う、うん! お腹すいてるし丁度いいよ!」


 そして僕たちは頑張って三品全てを食べ終えた。スイムは美味しそうにフルーツを完食したけどね。


「うぅお腹いっぱい。だけどほら食べ終えたお皿に何かあるよ!」

「うん。これを組み合わせると――」


 三方を岩山に囲まれた森――丁度中心位置にある大木、そこが目的地なようだね。


「これで次の目的地がわかったね!」

「うんそうだね!」

「スピィ~!」


 そうこのヒントが示している場所はなんとなくわかる。西の森の大木は冒険者の間でも有名だからだ。


 三方を岩山に囲まれているという条件にもぴったりハマるしね。


「よし行こう! と言いたいところだけど……」

「あは、ちょ、ちょっと休憩しようか」

「スピィ~――」


 そうちょっと食べ過ぎちゃったからね……もう少し消化してから行こうと二人で決めたんだ――

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