19話 旅の支度 -前編
最近カメラを手に入れたので、近所の公園に桜を撮りに行きました。
もうね、すごい綺麗に撮れる。
撮影たのしぃー。
さて、では本編です。
長くなったので2回に分けます。
ギンカガミがお送りします!
朝、ギルドに行くと、コウさんがいた。
「おっ、来たか。」
「あれ、おはようございます。どうしたんです?」
コウさんは忙しい人で、用事があるときくらいしかギルドに来ない。
だけど、今日はロビーでゆったりコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる。
……絵になるな…。
優雅で様になっている。
そんなことを考えていると、コウさんはコーヒーと新聞をテーブルに置いて、
口を開いた。
「この前、王都パレードの招待状を受け取っただろ?
参加するためには王都に行かなければならないんだ。」
当然だ。
わざわざこんなことを言うためにここに…?
いや、それはないだろう。
「ははっ、わけが分からない、といったような顔をするなよ。
まだまだ本題は話してないぞ?」
「コウさんの話し方が悪いんですよ。」
僕らの後ろから声が飛んできた。
振り向くと、やれやれといった顔でセーラさんがため息をついている。
「あっ、セーラさん!おはよう!」
来夢が挨拶をする。
セーラさんは笑顔で、「おはようございます」と返す。
「そんなに分かりづらかったかなぁ,俺の話し方?」
「「「「はい」」」」
満場一致の声が飛ぶ。
「そうかなぁ…?」
コウさんが間の抜けた声で言う。
「まあ、いい。話の続きだ。王都に行くためには、船を使わなくてはいけない。ここと王都がある大陸はの間には、海があるからな。」
たしかにそうだ。
「しかし、君たちは船を持っていないだろう?」
そりゃそうだ。
船を持っている人なんてそうそういない。
ましてや、何日も航海ができる船なんて。
「そこで、だ。俺が船を用意しておいた。船だけじゃないぞ。
航海士も機関士も、水夫も火夫もだ。
それに…海軍士官もな。」
コウさんはぱちりとウインクをする。
なんと話が早い。すでに王都に行くための船だけでなく、水夫や海軍士官まで用意しておいてくれただなんて。
…ん?
「海軍士官?」
「そう、海軍士官。君たちが乗るのは、軍艦。
オージン帝国第3艦隊の艦だ。」
「「「えぇぇぇぇぇぇ!!!!」」」
僕ら3人はそろって声を上げる。
軍艦に乗ってパレードに行く。
そんなこと、普通に生きていたらまず体験しない、いや、体験できないことだ。
「え…いいんですか?僕たちが軍艦に乗っても?」
「ああ。もう話はつけてある。ただ、一つ頼みがあってな…。」
ごくりと唾をのむ。
どんな難題が来るのだろうと、思わず身構えてしまう。
「手紙を届けてほしい。」
「…へ?」
「艦隊司令官のセア・セイド少将に、手紙を渡してほしい。
内容は…まあ、言えんが。」
そういうと、コウさんは少しだけ頬を赤らめた。
…おやおや?
僕らは顔を見合わせて、ニヤッと笑い、コウさんに答えた。
「任せてください。絶対に届けますよ。
……二人の将来のためにも、ね。」
「なっ、ちょっ、それはっ、その、えーと…」
コウさんの顔は湯気が出そうなくらいに赤くなってしまった。
「ま、まあ、頼む。出航は1週間後だ。」
1週間後か。
時間はあまりない。
準備を急がなければ。
「了解しました!ありがとうございます!それじゃあ、僕らはその準備をするためにお先に失礼しまーす。」
そう言って、僕ら3人はギルドを出た。
***
コウ・ウミウノは、狩寛たちが出て行った後も、ギルドのドアを見つめていた。
しばらくすると、「ふぅ」と座っていた椅子の背もたれに身を預けた。
「ばれたかなぁ…」
別に、分かりやすいことを言ったわけでもないし、行動も普通だったはず。
なのになぜ、あの人、セア・セイドとの、その……言うのも恥ずかしくなってくる。
…彼らは、確かに「二人の将来のため」といった。
ということは、やはりばれている。
完全に。
彼らのことだから、街で言いふらすようなことはないだろうが、しかし、ギルドにいる他の人が聞いていた可能性もある。
もし聞かれていたら……
いや、考えるのはやめよう。
今日の自分は、なんだか変だ。
そのとき、後ろでコトッと音がした。
慌てて振り向くと、なにやら意味ありげな笑みを浮かべた顔がそこにある。
このギルドの受付嬢、セーラだ。
整った顔立ちに、しなやかで小柄な身体を持つ彼女は、この街にいる冒険者、商人、旅人に至るまでの注目の的だ。
まあ、そんなことは今はどうでもいい。
その街の人気者、セーラが、今、自分の前で意味ありげに笑っている。
「…聴いてたか?」
「はて、何のことでしょう?」
セーラは人差し指を頬に軽く添え、コテンと首をかしげる。
「海軍士官の方のことなんて、私は知りませんよ?」
セーラは、いたずらっ子のような笑みを浮かべて、言う。
……聴かれていたな。
顔がみるみる赤く染まっていくのが、自分でもわかる。
するとセーラが、コウに小声でささやいた。
「街の人には内緒にしておいてあげます。」
「ーーーっ!!」
そういうと彼女は、鼻歌を歌いながら、カウンターへと戻っていった。
コウは、その姿をまだ赤い顔で見届けると、「はぁ…」とまた息を吐き、
髪をくしゃくしゃと搔き乱した。
「今日の俺は、やっぱり変だ。」
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後編は4/5(火)に投稿します。
次回もぜひお読みください!




