2話 街へ行こう!
閲覧いただきありがとうございます!
異世界転移1日目です。
今回はギンカガミがお送りします!
追伸:誤字の指摘をして下さった方、ありがとうございました。
無事修正できました。
転生先の島に着いた。というか落とされた。
あの神様かなり雑だと思う。
「いたたぁ…」
周りを見ると森の中の道に来夢と建治がいる。というか、落ちている。
見た感じ傷もない。制服がちょっと汚れたくらい。
建治は
「あの神様はどんな精神してんだよ」
とか言いながら口をとがらせている。
「俺だったからよかったものの」
いや、お前だけが落ちたのではない。
「うわぉ」
と来夢の声が聞こえてきた。何か見つけたみたい。
「おぉぉ…」
思わず声が出てしまう。目の前にログハウスがある。まあまあ大きい。そして何より…おしゃれだ。
これが神様がくれた家か。
「おお、なんかすげぇ」
口がタコのようになっていた建治も、その存在に気づき、目を輝かせている。
「早速入ってみようか」
僕の言葉に2人もこくりと頷いた。
中に入ると暖かい木の香りがする、立派な4LDK。かなりいい感じだ。
2階に個室があると真っ先に家に飛び込んだ建治が言っている。
僕の部屋を決めようっと。…と思ったら、来夢がすでに角部屋を陣取り、ベッドに寝っ転がって満更でもない顔をしている。
僕も角部屋がよかったけど、まあいいだろう。こういうのは早い者勝ちだ。
代わりに、階段を上がってすぐの1室を僕の部屋に決めた。
建治はまだ1階を見て回っている。
個室はもう一番奥しか残ってないけど、早い者勝ちなので建治には我慢してもらおう。
部屋にあるベッドのふかふかさにちょっと感動していると、1階から声が聞こえた。
「ここなにー?」
来夢が何かを見つけたみたいだ。
「どこー?」
「ここー。」
声を目指して階段を降りると、小さめの部屋に来夢と建治がいる。
中には古びた時計が置いてあった。
なんだこれ?
時計を回したり師ながら観察していると、突然僕の頭に閃光が走る(気がした)。
時計の針を12時ピッタリに合わせる。すると、床には大人が1人は入れるくらいの魔法陣が出現した。
どうだ!神様にインプットしてもらったことを思い出しただけだけど。
よく考えるとインプットするだけっていうのも結構雑だな。
2人は目を輝かせている。
「これで街に行けるらしいよ。」
僕がいうと、来夢が
「早速行ってみよう。」
と急に真顔になって飛び込んだ。
何を考えているのかいまいちわからない。
それに続くように建治も飛び込みのポーズをとっている。そして、大きくジャンプしようとして…
置いてあった本につまずいてこけた。盛大にこけた。こけたまま魔法陣に乗ってどこかに行ってしまった。
しばらく呆然としていたが、はっと気が付いた。
まずい、置いてかれた。
僕もあわてて魔法陣へ飛び込んだ。
魔法陣に飛び込むと、すぐに別の場所へと飛ばされた。なんて便利。歩かずに済むとは実に楽だなぁ。
雨が降った後のようで、地面はドロドロしている。
「すごい…」
とほかの2人が言っている。
何がすごいんだろう?
2人が見ている方向に視線を向けると、目の前の茂みの先にはきれいにレンガで整えられた道。そしてそのさらに先には高くそびえ立つ城壁が見えた。
結構な大きさだ。
たしかにすごい。
「あれが例の町だな!」
建治はすぐにでも飛んでいきたそうに足踏みしていた。
制服はドロドロに汚れていて、顔にも泥がついている。多分、こけた体勢のままここへ飛ばされて、こけた体勢のまま着地したのだろう。
このまま行ったら絶対目立つけど、洗う方法もない。どうしようかな。
などと考えていたら、突然建治の頭上から大量の水が降ってきた。
びっくりした。
後ろでけたけたと来夢が笑っている。
「え、何が起きたの?」
「私が魔法使った。」
え、魔法ってそんな簡単に使えるものなの?もっとなんかこう、唱えたりするもんじゃないの?
「ぶえっくしょい!」
と建治がくしゃみをした。来夢は大爆笑。
建治は目をぱちくりとさせていたが、すっくと立ち上がると、
「まあ、汚れがとれたからいいか。」
などといいながら歩き出した。あ、いいんだ。結局目立つと思うけど…。
歩き始めても来夢はまだ笑っている。
そうこうしているうちに、街の門についた。
門には検問があり、何人かの兵士がいた。みんな優しそうな人たちだ。
「おう、見ない服装だな。旅人か?」
などと話しかけてくる。
「まあ、そんなところです。」
間違ってはいないはず。「別の世界からの」がつくけど。
「後ろのお嬢ちゃんはずっと笑っているけど大丈夫かい?」
来夢はまだけたけたと笑っている。
「まあ、通常運転です。」
いつもよくわからないことしてるし。
「…そっちのムキムキな兄ちゃんは?びしょ濡れだけど。」
門の外にある看板を読んでいる建治が、こちらを見る。
そういえば、看板の文字は見たことない文字だけどなぜか読めるな。
「あぁ、大丈夫です。なんかいろいろ事故が重なって~。」
建治はにこにこしながらフレンドリーおっちゃん兵士に言う。
「お、おう…」
うん、まあ事故といえば事故だな。間違ってはいない。
「さて、ところで兄ちゃんたちは通行証を持っているか?」
「え、持ってないです」
そんなのが必要なのか。知らなかった。どうしよう。
「じゃあ、持ち物を見せてくれ。そしたら一時通行証を発行するからな。」
あ、持ってなくても通れるのね。
「了解です。」
そういえば持ち物確認してないな。下校中持ってたものはどっか行っちゃったし。
いつの間にかついていたポーチを開ける。建治もポーチを開けて中の荷物を出している。
中には、前の世界で使っていた筆記用具と、白紙のメモ帳一冊。
それに神様がくれた金貨10枚と水筒が入っている。
水筒の中にはスポーツドリンク。学校に持っていったものではなさそうだ。
「はい、お願いします。」
おっちゃんに荷物を渡すと、後ろで建治が叫んだ。どうやら筆箱の中身をぶちまけたらしい。そんな彼をしり目に、来夢もポーチをあさり始めた。すでに笑うのをやめている。あんなに爆笑してたのに。
やっと拾い終わった建治も、おっちゃん兵士に持ち物を見せた。
「はい、じゃあこれ。有効期限は今日までだから気をつけろよ。」
と言ってワンダさんに紙を3枚手渡された。例の見たことがない文字で、「一時通過」と書かれている。
「もしこの辺で生活するんだったら、ギルドに行って、冒険者登録をしておくといいぞ。
とりあえず仕事が手に入るし、通行証にもなる身分証明書ももらえるからな。」
「はい!いろいろとありがとうございました。」
冒険者か。気ままにお金を稼げるのはいいかもしれないな。
僕らは門をくぐって街に入った。すぐにギルドに行きたいところだけど、制服だとさすがに不自然だし動きずらいから、まずは服屋に行ってこっちの世界の服を1人2着ずつ買った。
一着当たり銀貨2枚。高いのか安いのかよくわからない。
それでは、ギルドにGo!
お読みいただきありがとうございました!
次回もぜひご覧ください!