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【第二回】SSコン 〜段ボール〜

【SSコン:段ボール】 新生活

作者: 五月女 司

「あー、懐かしいなぁ」

私はスマホを弄りながら笑った。

私は段ボール工作が好きで、よく作ってはSNSに写真を載っけているのだけど、これがびっくりするほど伸びない。いいねが最大で10、最低で3。別に有名になりたいわけでもプロになりたいわけでもないから別にこの程度でいいのだけど......承認欲求のせいかいいねの数を確認しては凹む日々が沢山あった。

「ぶきっちょだからダメだったのかな」

棚に置いてある今までの作品達を見ると「なるほど、確かにこれは誰も見てくれないわ」と苦笑いした。きっと『小学生が作りました^^』と呟き載せたらそこそこのいいねは来るだろうが、残念ながら私はもう成人済みだ。詐欺のようなことはしたくないし、そうしてまでいいねを貰いたいわけでもない。......それに、私はもうSNSに作品を載せることは辞める。だからいいねの数で悩むことはもうなくなるだろう。

そもそも私が段ボール工作を作り始めたきっかけはなんだったっけ。

確か幼稚園だったか。その時行事で段ボール工作をしたんだ。テーマは自由で、剣やロボット、入れ物を作ったりしてる子達がいる中で私は段ボールで顔を作った。両親の顔を、だ。......まぁ、と言っても髪の毛以外はマーカーペンで描いたのだが、先生や両親がめちゃくちゃ褒めてくれたので、そこから調子に乗って色んなものを作り始めた。そして中学生のころからSNSに作品を載せるようになり、現在に至るというわけだ。

「うわ単純すぎでしょあのころの自分......なんか恥ずかしいわ......」

思わず頭を抱える。単純なのはいいことなのか悪いことなのか。私はふと、棚の方へ向かった。高校以前の作品は実家に置いていったか処分したが、それでも棚に並んでる作品は多かった。これは全部一人暮らしを初めてから作ったものだ。ざっと40個はある。

どんだけ暇だったんだよ。

まぁ正直、課題はちゃんと計算してやっていたし、ちゃんと休むときは休んでた。その時に沢山作ったのだろう。小学生レベルの作品を。

私はスマホのカメラを起動すると、棚にある作品の写真を撮る。そのままSNSを開くと先程撮った写真を載せた。

『#段ボール工作 #今までの作品たち #今までありがとうございました

夢が叶ったので、それに伴い工作を止めます。今まで見てくださった方、ありがとうございました。』

「よし」

送信を押し、私はスマホを閉じる。

私は今日から有名な出版社で働くことになっている。長年の夢であった編集者に漸くなれたのだ。

最後に作品たちを見てから、私は外に出る準備をする。スーツに着替え化粧をし、外に出る。

「行ってきます」

____さぁ、ここからが本番だ。

新生活に心を踊らせながら、私は鍵を閉めた。

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