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そんな今日は 装着率記念日  作者: 多田緋月
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其の三

さて、話を装着率に戻そう。

X-BOX360とキネクトが海外でかなり売れたことは私も前からしっていた。

日本ではwiiとwiiリモコン、X-BOXとキネクトでは知名度から売り上げから普及率から比べものにならないほどの差があるが、海外、特に北米などではキネクトはwiiリモコンのマネ、パクリとはいえ立派にカウンターとしての役目を果たしたという話はずいぶん前に聞いていたし私もそのことは覚えていた。

だから、もし仮にQが「装着率」という言葉を使わずに普及率がすごいと述べたならば私はそもそも驚くことすらなかったであろうし、話はそのままロートルゲーマーのありふれた世間話、ダベりで終わっただろう。

世界は平和なままに過ぎ去り、その世界はその世界として完成していて、ほとんど昨日と見分けのつかない今日が終わり、またほとんど今日と見分けのつかない明日がくる…

世界は平和であり、世界運行システムは完璧に作動しており終わりのない日常が繰り返される。

いつまでも、いつまでも。

だが、現実は違ったのだ。

Qが「装着率」という言葉を使い、世界は綻びを見せ始める。

世界運行システムは完璧などではない。

そもそも我々が認識する世界運行システム本来の姿は完璧どころか綻びだらけであり、今日が終わったからといってちゃんと明日が訪れるかどうかさえわからない不安定で、便宜的で、暫定的で、場当たり的なものでしかないのだ。

つまり視点を変えるならばQが世界の綻びもたらしたのではない。

Qの尋常ならざる異常性が、装着率という言葉をして私が普段すっかり忘れている世界の不確かさを再認識させたに過ぎないのだ。

ドアはいつか開かれる。

ドアノブに手はかけられている。

後はいつドアノブを回すかの問題だけだ。

Qはいった。

装着率がすごいと。

Qも私も、そして誰もが装着している。

ただ余りに装着率がすごいから、誰もが装着していること自体を忘れているに過ぎない。

そしてなにかのひょうしに人は思い出す。

自分が装着しているものを。

それは外すことは出来ない。

誰もが装着しているし、誰もがみな装着することで世界は不安定ながらもかろうじてその均衡を保っているからだ。

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