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そんな今日は 装着率記念日  作者: 多田緋月
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其の二

さて、ここで装着率の話をする前に、まず大前提として友人であるQについて少し話しておかねばならないだろう。

何故ならばQはごく控えめに、最大限友人であるQの面目を慮って述べたとしても「途轍もない変人」だからである。

先にも述べたが私とQとは二十年来の友人である為、私はQが如何に変人であるか、ハッキリいえば完全に異常であることについては十二分にしっていた。

まだ私たちがとし若かった頃、二十世紀の終わりにQが残した数々の伝説はQを身近でしるものにとってはまさに伝説であり、二十一世紀の今日に至ってはほとんど神話的色彩を帯びたものとなっているといっても過言ではない。

ことにQを最も身近にしる私にとってQの変人ぶり、異常性は私の人生、私の人生観、人とはなんであるのか? 人は何処からきて何処へ向かうのか? そもそも人と人ならざる者を分かつ分水嶺とはいったい何処の何であるのか? 正常とは? 異常とは?

其のような答えのでようもないない問いにほとんど致命的なまでに私が囚われるきっかけとなったのがQなのであり、さらにいえば今日の私を私足らしめた最重要のファクター、私の人生における最重要のキーパーソンこそがQなのである。

ずいぶん前置きが長くなってしまったが其のような訳で私はQと話をしていてQが少々変なことをいったり、或いは行動として起こしたとしても驚かない。

いや、正直にいえば驚きはする。

私がQという人間と付き合うことで得た実際的教訓としていえば、人は驚きに慣れることは出来ない。ただ、驚いても「まぁ、いつものことだから」とやり過ごす、見て見ぬ振りをする、問題を先送りする、どうせ世界が破滅するまで世の中から問題という問題がなくなることなどないのに問題を先送りして何が問題なのか? とほとんどやけっぱちともいえる開き直り方をすることでともかくやり過ごしながらどうにかこうにか生きていくしかないということだ。

世界が驚きに満ちているのは確かだが、かといっていちいち驚いて不思議がり、探求し、答えを求めるには人生は余りにも短すぎる。

そんな訳で私はQがなにを言おうがなにをしようが驚かない。

正確には一瞬驚くのだが、「まぁ、Qだからな。いつものことだ」と深く考えずに思考停止をする。

それでも時々、本当に時々だが、やはり心の底から驚くことがある。

そして、そんなQとはいったい何なのか? 或いはQとQならざる我々とを分かつものとは何なのか? 果たして其処に決定的な、致命的な差異があると言えるのだろうか? と遥かに遠くの暗い海に沈みゆく難破船を見つめる人にでもなったような気分になるのだ。

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