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18と19のまにまにカピバラの進路相談


【進化の部屋】


 何もない空間に白の部屋へと続くドアがある。

 クマ一頭とカエル一匹とカピバラ一匹がいる。




宵闇|《二人とも。ちょっと相談に乗ってほしいかな》

しらず〔どうした宵闇〕

《思考17が終わって次は順当にいけば【幻想の部屋】の番になるんだけど、今後どういう方向で進めようかと思ってね》

遠闇『今はどんな感じなんだい?』

〔ふむ。確か幻想の部屋は洞窟の探検が終わった所だったな。フィンドリザードに関する設定がまだほとんど手付かずなんじゃないか?〕

《そうだね、そこはやりたいと考えてる。あとは、フィンドリザードの生息地が洞窟の外だから、そこの生物たちを考えられればいいかな》

〔で、問題点は?〕



《周辺環境の設定が薄いせいでその他の生物を考えるきっかけに乏しいんだよ》

『幻想の部屋はオイラたちと違って環境整備は二の次なんだったよね。世代を超えた進化の様子をなぞるのが第一優先だったっけ』

《その通りだよ。それも、まだ皆での話し合いには及んでないけど応用的な魔法の設定ばっかり思いつくんだ。できれば進化前の魔法の使い方をある程度出してから進化後の生物を考えたかったんだけど……こっちのブレインズはとにかく環境に則した生物よりも魔法の設定ばっかり先行して思いつくんだ》

『あはは、宵闇君率いるブレインズらしい』

〔宵闇自身が生物的外見よりも能力設定そのものを詰めるのが好きだからな。例えばどんな魔法だ〕



・マンタのような海洋生物。水面にジャンプした際腹部に空いた大穴で精霊を活性化してなんやかんや空を飛ぶ。

・リピッシュDM1のような海洋生物。背鰭・胸鰭の突起で精霊を活性化してなんやかんや空を飛ぶ。

・鼠のような小型生物。尻尾を投げ縄のように振り回すことで精霊を活性化させる。



〔リピッシュDM1……〕

《リピッシュDM1》

『リピッシュDM1て何!?』

《リピッシュさんが設計したデルタ形翼の戦闘機だよ》

『宵闇君戦闘機にも詳しいの!?』

《ううん、全然詳しくないよ。"ドイツの変態航空機"で検索したらたまたま見つけたんだ》

『どいつのへんたいこうくうき』

〔左右非対称の航空機とかが出てきて中々興味深いから気になる人は検索してみるといいぞ〕



〔それはともかく、話を戻そう。これはもう、環境から生物を考えるよりも魔法能力から生物の設定を肉付けし、最後に適当な環境に配置していく方がいいんじゃないのか〕

《あ、そうか。そういうやり方もあるんだね。……それだと、探検みたいなことはできなくなるかな》

〔ううむ、一エリアにどれだけの生物が集まるかにもよるだろうな。現状わからない〕



『初期魔法じゃなく応用魔法の設定ばっかり増えてっちゃうってのはどうするんだい?』

〔初期と応用は同時に増やしていってもいいと思うぞ。ブレインズが応用を考える方が楽しいというのならなおさらだ。宵闇、お前の事だから魔法設定は応用より先の発展も考えているんだろう?〕

《実はそうだね。まだほとんど明確なものじゃないけど、瞬間移動や翼なしで空を飛ぶ方法とか将来的にできそうかな》

〔やはりな。光精霊や重精霊を発案した時点でそんな気はしていた〕

『えっなに? 発展魔法? 宵闇君魔法設定考える段階でそこまで見据えてたの? 策士なの?』

〔正直あの世界の魔法は設定だけならあらゆる応用が利く優秀な世界だと思っている〕

《世界観に環境整備が間に合ってないんだよね、ごめんね》



〔――よし。【幻想の部屋】の進化前と進化後の比較は初期魔法&応用魔法と、その後の発展魔法を対比する方向で考えてみよう。また途中で方針転換するかもしれないが〕


〔そして宵闇、【幻想の部屋】では時系列を無視してとにかく思いついた設定を議論してしまえ。元々順序立てて世界観を構築することが難しいからこそ【ブレインズ】が生み出されて丸投げされているんだ。【せかるよ】らしく思いついた設定を順不同で出していった方がいい。設定が畳めないなら畳めないでそれで構わん〕


《ええと、そんなことして大丈夫かな?》

〔大丈夫だ、先例でカエルも"宇宙細胞説"なんて不要にも程がある設定を生み出している。序盤からそんなものをぶっこむような奴よりまともだ〕

『んんんっ思いっきし悪く言われてるけど反論の言葉が見つからないぞ!?』




《それなら、知的生命体が生まれる条件について思い当たる節があるんだけど、考えてもいいかい? ブレインズの目標設定的に人類を生み出すにはまだまだ早すぎる話題だからと思って出さないでいたんだけど》

『そんなことも考えてたの!? 宵闇クンの脳みその中って一体どういう構造になってるの!?』

《ブレインズに脳みそはないし、キミと同じだよ遠闇君》

『そういう話ならオイラも参加したいんだけど!!』

〔そうだな。それじゃあそれは【白の部屋】で話し合うか。次話思考18はその話題に決定だ。早速移動しよう〕

『れっつらごー!』




~思考19 続・人類の誕生を設定しよう!進行中~




〔というわけで、引き続き白の部屋で知的生命体について話している訳だが、実は向こうの部屋では不確定要素が多すぎてあえて触れなかった話題がある〕

『ん? なになに?』

〔それは“脳の発達と二足歩行の関り”だ〕

《白の部屋では必ずしも二足歩行の必要はないって結論になってるけど、そうじゃないのかな》

〔正直そこがわからん〕



〔一説では動物は四足歩行のままでは首が脳の重さに耐えきれず、今の人間のように脳が肥大化することはできないと言われている〕

《人類が前傾姿勢から背筋が伸びて、喉が広がり、大きな頭を支えられるようになったって話だね》


〔ならば人間は今の大きさの脳を持たなければ賢くなかったのか?〕


『おかしいじゃないか、脳が大きい程賢い理屈なら、クジラの方がよっぽど大きい脳を持ってるんだぞ! それに四足動物だって、ゾウはどうなのさ? あんなに図体大きいのにヒトの脳よりちっちゃいの?』

《調べた範囲では、各動物の脳の重さはこうなっていたよ》



ヒト  1500g

イルカ 1600g

ゾウ  7500g

クジラ 7820g



『まあ、当然のようにゾウやクジラの方が大きいよね』

〔クジラと比べてヒトは体の大きさに比べて脳が大きい、という反論も聞いたことがあるが……〕

『そんなこと言うなら体に対する脳のサイズが大きいネズミの方がクジラやヒトよりも賢いってことになっちゃうよ』

〔そういうことになってしまうな。そもそも容量の問題を考えると小さい方が優秀というのも首を捻らざるをえない〕



《脳の大きさと賢さの関係性について調べてみたよ。どうやら単純に体重比じゃなくて、「脳の3/4乗則」と呼ばれるこういう基準があるみたい》




“脳の重さは、体重の3/4乗に比例する。このことから、脳の重さを体重の3/4乗で割れば、体の大きさの異なる動物同士で脳の大きさを比較することができる”




《調べた中だと、脳の大きさががこの基準値より大きいか小さいかで“その種族の知能が推定できる”と書いてあるものと、“この数値が知能とどれだけ関係しているかは定かではない” と書いてあるものとがあるね》

〔つまりまだ確たる立証はされていないという事だな〕

『累乗かぁ……ほとんどのブレインズは数字に弱いからなぁ……。ただ、小さい数字の二乗より大きい数字の二乗の方が和が大きくなるってのは判るよ! ネズミみたいな小さい生き物の脳が身体に比べて大きくても、誤差的には小さいってことだね』

〔体積は三乗ずつ増えるから、逆に身体が大きければ大きい程脳と身体の比率は変動しづらくなるのだろうな〕




〔脳の大きさが賢さに繋がるのかという点に疑問が残るのには、もう一つ理由がある。一部の鳥が聴いた音を高水準で記憶するように、生物の中にはヒトが持ち得ない高い記憶処理能力を小さな脳に搭載していることがある。脳の設計次第では効率よく知能の高い生物も存在しうるのではないか?〕

《気になる人は“song nucle オウム”で検索してみてね》



『それがもし可能なら知能が高い=頭が大きいって前提は崩れるね』

〔そもそもが脳に関する研究は未だ未知の領域が多く、こうだという結論を現段階で出すことは困難だ〕

『ヒトの脳が大きくなったのに二足歩行が大きく貢献していて、結果知能が高くなったんだとしても、二足歩行が知能を上げるために必須であることにはならないもんね』

《だから思考19の話題ではこの条件を入れなかった、ってことだね?》

〔その通りだ〕





『脳みそって難しいなー。オイラたちには脳みそなくて良かった!』

〔めずらしく人間らしかぬ発言が出たな。面白い〕

《僕たちの本質は肉体もない、個もない意識集合体だもんね》

『カエルやカピバラのアバターもただのお着替え感覚だしね! ふふふふ……一見人間臭かろうと、オイラたちは決して人間じゃない、命ある生命じゃあない意識集合体なのさ……』



〔まあかといって頭の出来は人並み以下なんだがな〕

『あっもう! ちょっと不気味さ演出してみようと思ったのに!』

《哀しい現実だね》



つづく

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