6話 現状確認といこうぜ
「よし、お前達の部屋はそれぞれあるが、とりあえずはここで待機してもらう」
俺は兵士が客間を出て行ったのを確認してから辺りを見渡す。まずリーダーみたいな奴。金髪のイケメン。これはもう、なんか固定のイメージでこうなってるよね。
やれやれ系、これは黒髪。いじめられっ子も黒髪。ふむ、主人公属性だな!
そして異世界転移系あるある。なんか異様に優しい女の子がいる。いるね!
「さて、全員いるかな?」
その全員が誰のことを指しているかは分からないけど、多分召喚されている人は全員いると思うよ。
ああ、でも最近の主人公は一人だけ逸れるのもいるのか。
「大丈夫だよ。さっき確かめたから」
ちゃんと全員いるんだね。よかったよかった。これで誰か欠けてても困るからね。分からない脅威ほど嫌なものはないよ。
「これって私もカウントされてますかね?」
「どうでしょう?」
これはジャンル的にクラス転移でしょう。コスプレイヤーが主人公なら巻き込まれ転移もあり得たけど、クラス転移でそれは聞いたことはないかな。主人公属性の奴ら多すぎる問題もあるし。
壁に寄りかかってる奴も、俺はこいつらとは違うって考えてる奴も、全員主人公か、咬ませ犬だからな。主人公じゃなかったら負け属性だから。
「俺たちの今後について考えよう」
つっても、ここにいる以上できることは限られているような気もするけど。俺、別に宗教改革とかしたくないし、戦争に巻き込まれるとかマジ勘弁。
はい、この時話し合いに参加しないけど物難しそうな顔して、何か探ろうとしてんのが主人公というもの。
そんな顔がちらほら……。
いや多いな。何、怪しいものあった?あったとしてもここでそんな考える?最初から怪し……。
あ、俺を見てるのか。なんか今一瞬目があって、すぐに逸らしたぞ。
悪かったよ!
俺も予想外だったの!てか、あんなの想定できるかっての!不可抗力だよ!
俺はそいつを睨みつけていると、何故かコスプレイヤーに体を抑えられる。
「ほらほら、落ち着きましょうよ」
そうだね。一旦落ち着こう。腹立つ表情してるけど一旦落ち着こう。落ち着いてぶん殴ろう。
俺がそう考えているのがコスプレイヤーにも伝わったのか、体を押さえつけられた。
「そんなことより、自己紹介しましょう!」
ここにいる奴らがコスプレイヤー以外、全員同じクラスなのに必要はあるのだろうか。でも、読者諸君はわからないだろうから教えてあげましょう。
リーダーシップがあるのは池田鼓。
やれやれしてんのは佐藤或都。
根暗なのが吉田誠治。
重要なのその三人くらいだからそれで良いかな。あとは面倒だし。
「あの声に出してくださいませんか?」
コスプレイヤーさん、ごめんね。
俺はコスプレイヤーに主要人物を紹介する。
あと、メタ発言多めなのは都合も存在するから勘弁してください。
「俺たちは元いた世界に帰ることを目標とする」
よしよし、良い心がけだ。そりゃあ、帰りたいよね。俺も帰りたい。剣だこできるような奴は剣道部とかだけで良いと思う。適材適所で行こうよ。
ただ、帰りたくない奴もいるんだろうな。この世界がどんな世界か知らんけど、人が死ぬのは俺たちのもといた世界よりもありふれているなら誰かしら殺人とかするかもしれないなー。
何てあり得ないよね。
「皆、異論は?」
俺はないぜ!
でも、クラスには問題児がいるよねって言うクラス転移。まあ、そんなの滅茶苦茶珍しい転移ってことで。
このクラスに問題児は二、三人の主人公候補と俺くらいのもの。俺は本当に危ないから注意してくれ。
「コスプレイヤーさんはどうですか?」
よく聞いた池田。
「私も異論はありません。この世界も割と面白そうではありますが、友達と会う約束をしているので」
多分コスプレ仲間だろう。
俺はその間にも二人の危険人物の顔を見る。片方はやれやれしていて、もう片方は異論はないようだ。
全くやれやれだぜ。