5話 よく主人公に絡む奴
こう言うのってなんだかんだ主人公に絡む奴いるよね。それは友達だったり、なんか惚れられてる奴だったり、あるいはいじめっ子だったり。
いやあ、まさか俺もコスプレイヤーに絡まれるとは思ってもなかったよ。俺主人公じゃないと思うんだけども。この人、キーパーソンかな。
「それにしてもすごいですよね?」
「?」
「こんな施設に入れることですよ!普通、ここまでの場所なんて入れませんから!」
コスプレイヤーは興奮している。
まあ、分からなくもないけどね。シャンデリアとか、窓の装飾とか、赤の絨毯とか、大理石の床だとか。そのどれをとっても高級、豪奢な建造と理解できる。
「あの、教皇はどこにいたので?」
教皇がこの王城にずっといるとか、それは幽閉されているとしか思えないけど、違うだろう。多分、王城の外にでもいたと思うんだけど。
「ああ、教皇様なら」
彼は窓の外を指差した。
ん、どう言うことだろう?
「玄関の横で体育座りしてましたよ。チラシみたいなのを横に置いて」
それ悪質な宗教勧誘じゃねぇか!
そう言う宗教なの?古くから存在する宗教とかじゃないの?
そりゃインターフォンもないから分からんだろうな。
それにしても、あの王様、出なかったのか。
「ずっと『何で出ないのだ。準備してたのに……』って虚な目で繰り返してました」
それ、明らかに無視されてるよね。憲兵は声かけなかったの?
「兵士たちはずっと見てるだけでしたよ?」
それ無視しろって言われてたんじゃないのかな?
「私が話しかけたら、入る理由が見つかったようでブレイクダンス決めてましたよ」
ごめん、何て?
いや、小躍りはわかるよ。何、ブレイクダンスしてんの?
「そのあと盛り上がった兵士たちと一緒にマイムマイムが続いて……」
ここ異世界ですよね?
何でちらほら時代無視したり世界観無視するのかな?
「そして極め付けにガッチガッチなポップダンスで締めてましたね」
そいつら何なの?
何か、練習でもしてたの?絶対、最初にできない奴だよね。
「あまりの完成度の高さに私もブラボーと叫んでいました」
どんだけすごかったのだろう。
「私も彼らと一緒にハイタッチをした後に教皇様を連れてきました。その時、そこに入れずに突っ立っていたのが、神官でした」
うん……。
苦労してるんだな、神官も。でもイケメンはムカつくからそこだけ変えてほしい。