お互いの道。
「人身事故の影響により、本日の××線の運行は全て終了しております。──線の最終電車は・・・」
9月30日、23時0分に起きた人身事故の影響により、普段であればまばらに人が居るはずの駅のホームは閑散としていた。
そんな中、たった1人。電車を待つわけでもなく、ただただ啜り泣くだけの青年が居た。
「あのぅ、お客様・・・?大丈夫ですか?」
ホームの見回りに来た駅員はその青年を見つけると
恐る恐る、腫れ物にでも触るように声を掛けた。
「・・・大丈夫です。」
青年は駅員に気づくと、赤く腫れ上がった目元を乱雑に拭き、消え入るような声で返事をしながら立ち上がった。
フラフラとおぼつかない足で青年は歩き始める。
駅員はただその青年の生気のない後ろ姿を見送る他なかった。
23時46分、事故発生から46分後、
ようやく青年はその駅を後にした。
胸を引き裂くような後悔と、
償いの為に生きていく覚悟を背負って。
生きていたとて、もう何も残ってはいないけど、
生きていたとて、もう何も楽しくはないけれど、
生きていたとて、もう彼女に会うことも、謝ることも、
何一つとして叶うことはないけれど、
それでも、最期まで愛してくれた、彼女の為に。




