第3章 その8 その宿の快適さと物足りなさと面倒くささと
ちょっとお風呂に戻ってみました(笑)
ルナマリアと一緒に風呂に入る。
既に何度かエミーに変現した裸を何度か見ているが、ドウシテモ不思議だった。耳は本当に頭の上だけにあり、顔の横には無いのだ。そして背中、丁度背骨に沿って銀の毛がうっすらと生えている。
そしてありそうな尻尾が無い。思わず戦闘民族の生き残りが尻尾を千切った姿が浮かんだが、忘れよう。
しかし耳や背骨に沿った毛以外は、エミーにそっくり、いや若く見える。私以外に娘子を産んでいたなら、こんな感じだったのかもしれない。身体を洗い、届かない背中を互いに洗い合い、湯で流す。
一緒に湯船に浸かると、思わずはぁーと二人して息を吐いた。あー癒される。久々の湯船はやはり良いものだ。是非ともお風呂はこれから先も必要だなぁ。
何処かからボンキュッボンな女の子と一緒に入って邪な気持ちにはならないのかと聞こえた気もするが、精神年齢五十を超えて六十になろうかとするような私が、そういった行為をすると決めていたのなら多少は機微もあり得るが、見てる位では何も響かぬ。こんなのは只の日常。前世でも家族親族以外の異性でも一緒に風呂に入る事など何度も経験しているし、背中の洗いっこもした事もある。
並列思考で色々と考えていたら、逆上せそうになって来たので、お風呂から上がる。互いに背中はしっかり拭いて、後は自分で拭いて、今はルナマリアの髪を乾かしている。勿論、風魔法のブリーゼだ。
実は家を出る前の晩にルナマリアの髪をバッサリ切った。それはもうバッサリとベリーショートカットにしたのだ。エミーと被らない様に、というよりも、毛質と傷んだ髪が問題だった。約3年もの間、お風呂、水浴びすらしていなかったらしく…銀狼…いや仮にも乙女に失礼か。これから入れる時は一緒に入ってしっかりとヘアケアしてあげよう。
リビングに戻ると、好奇な眼をしたイレースさんが。指をワキワキと近付いて来る。ああ、そういやこの人謀略系変態だったなぁ。諦めの溜め息を吐くと同時に絡め捕られてソファーへダイブ。私を膝の上に乗せて頭を撫でたり、身体を撫でたり。
取り敢えず某変態エルフの様に、ならないと良いなと願う。あ、でもイレースの鱗肌も綺麗だし触り心地良いと思っている私も充分に変態だわ。
翌日。朝の目覚めは気持ちが良いなと思ったら、いつのまにかルナマリアが私のベッドに潜り込んで寝ていた。まぁ、エミーの姿じゃなく月狼に戻ってだから良しとするか。顔を洗いに洗面所へ。
「あ、おはよう」
「おはようございます」
どうやらイレースさんとヴァレルさんは先に起きていた様だ。顔を洗うと手拭いを渡して来るイレースさん。
「ありがとう」
お礼を言って受け取り、顔を拭く。本当は二枚、ランドセルの中に入っているのだが無碍にする訳にはいかないし。うーん、やっぱり通常使いのタオル数枚は欲しいよなぁ。今治タオルとまでは言わないが、柔らかいものがいい。自分で手縫いする…面倒なんだよなぁ。時間があったら街で探してみるか。
寝室に戻り、ルナマリアを起こして変現させる。寝惚け眼な姿に活を入れる為、背中を叩くと「イッターい」と恨みがましい態度に「直ぐに朝飯だから」と告げると嬉々として顔を洗いに行った。
テーブルの上に置いてある鈴を振るが音は鳴らない。だが、しばらくするとノックの音がしてお伺いの声が立てられる。「どうぞ」と返事をすると少女がお茶を持って入って来た。昨夜持って来たお茶のセットと入れ替えて、新しくお茶を淹れてくれる。
「昨夜はゆっくりおやすみになられましたか?」
「此処は本当に快適ね。グッスリ寝られたわ」
「リリィさんのお陰でバッチリだよ」
「それは良かったです。この後、朝食をお持ちしますので、もう暫くお待ち下さい」
リリィさんはニッコリと笑顔で返して下がっていった。五ミネル(5分)掛からずに食事を持ってくる。朝食は少し大きめの柔らかい白パンにコーンスープ、ローストビーフの様な薄切り肉に葉野菜。この世界では一日に二食が主流の様で、朝からしっかりと食べる。三食、食べるって事も一部あるが、まだ広まっていない。
四人揃ったところで、
「「いただきます」」
「「いただます?」」
言えてないが、イレースさんとヴァレルさんも合わせてくれた様で何よりだ。
先ずは白パンを上下に半分にちぎり、間に肉と野菜を挟んでパクつく。うん、肉の旨味と野菜が新鮮でシャキシャキとした歯応え、白パンの仄かな甘味と芳ばしい焼き立ての香りが絶妙にマッチしている。コーンスープも、サラッとしていて朝には良い塩梅だ。出来得るならもう少しとろみが有る方が好みだが、贅沢はいってられない。
朝食を終えて荷物を纏め、装備を整えて部屋を出る。受付に行くと女将、ミランダさんが熱い抱擁で出迎えてくれる。
「おはよう、アルフちゃん。今日も可愛いねぇ〜。今夜も泊まってくれるのよね?」
「多分、そうなると思います。もうちょい人数増えるかもですが」
「分かったわ。一番の離れを用意しておくわね」
親愛の為せる技なのか、キスをしてくるミランダさん。といっても、口の端にだけどね。顔は笑顔で、心は仕方なく…同じ様に返すと、ミランダさんはまた抱き締めてきて「ホント、ウチの子だったら良いのに〜」なんてぼやいてくる。
多分、家族だったら間違いなく看板娘ならぬ看板息子にするよね?それはちょっと嫌だよ。
読んで頂いた方々に感謝を。
サブタイが曲っぽい(笑)




