第3章 その4 その事を忘れていた為の苦悩
サブタイ気に入っていません。もしかしたら変えるかも。
「私はヴァレル。お嬢の護衛をしております。先程は大変失礼しました」
鷲獣人であるヴァレルさんは、丁寧に自己紹介と詫びを入れてくれる。まぁ、戦闘になったら勝てるかも怪しいくらい強い(自己紹介時に登録カードを出して見せてくれたレベルは67だった)し、何より【飛行能力】のスキル持ちだと勝てる要素がない。
「私はアルフ。こっちの狼はルナマリアだよ。従者だし、言葉は通じるから」
こちらも簡単に挨拶を済ませて、事情を聴いた。
「実はお嬢が冒険者になりたいと言うので、島…田舎から出てべナールの街に職授の儀を受けに行くところだったのです」
「えっと、ザッカーの街でも受けられたと思いますが?」
「ザッカーにはダンジョンが無いじゃない。べナールならあるし、一石二鳥でしょ」
ふむ、ドラグリアル島はそこまで大きくないのか登録しか出来ない、腕試し…武者修行かな?まぁその辺でダンジョンがあるべナールの街で職授を受けて冒険者になり、ダンジョンに潜りたいって事か。それなら、行く方向は同じだから一緒に行っても良いかな。
「なら、一緒にべナールまで行きますか?私も用事があって行くところだったので」
ヴァレル(ん?行くだと?戻るや帰るではなく?いや待て。この子はエルフか。トナンの森にいるって事はオズィールの子か?なら大丈夫か)
「お嬢、どうしますか?行き先が一緒ならば、同行するのも手だと思いますが」
「そうね。アルフ君、一緒に行こうか」
こうして、べナールまで四人で行く事になった。その後、魔物も出ずに街道沿いまで来ての野営場所。
「アルフ殿、ちょっとお聞きしても宜しいでしょうか?」
夜の見張りをしている際に、ヴァレルさんが改まって伺ってくるので、沸かしたお茶をカップに注ぎ手渡しながら「何でしょう?」と答える。
「アルフ殿は、オズィール殿の息子ではと推測するが?」
先に一緒に行こうかとなった時に、警戒心を直ぐに解いたのは父様の知り合いだったのか。
「そうです、オズィールは父様ですよ。…先日、野盗に襲われて亡くなりましたけどね」
「なんと!?野盗如きに後れを取るとは…」
「相手が悪過ぎました。かなり用意周到に襲撃して来た様で、父様はレベル40後半の野盗六人に囲まれ、私と母様はレベル80オーバーの輩との戦いになって。父母とも倒れた際に、この子が戻って来てくれたお陰で私は生き延びました」
そう返事をしながら、傍らで寝ているルナマリアを優しく撫でる。
「お辛い事をお聞きした。申し訳…」
「大丈夫ですよ。お気になさらず」
「…しかし剣姫殿まで殺めるとはどれほどの人物だったのか」
「どうも知り合いだったみたいで。過去の因縁みたいなもので襲われたって感じです」
ヴァレル(知り合い…過去…仲が悪かったと言えば、探堀士位しか浮かばんな。そういえば王宮で盗難事件があったが、まさか其奴が顛末か)
何やら思案しているヴァレルさん。まぁ、ヴァレルさんの役職を鑑みるに全ての状況が繋がったのだろう。本当に面倒な厄介事だよ。そういう意味では、ヴァレルさんが付き添う形なのは有り難いか。
「アルフ殿はこれから冒険者になるのかね?」
「いえ、既に冒険者ですよ。ランクもCですし」
「なんと!?未だ登録の儀を済ませるかどうかの年齢とお見受けするが…」
あ〜そうだね、解っちゃいるがどう見ても背が低過ぎるせいで年齢よりも幼く見えるからね。仕方ない、左手を差し出して登録カードを出してヴァレルさんに見せる。尤も見せてはならない奴は隠してるけれど。
「!?これは大変失礼した。既に半成人でレベルも近衛騎士並みとは。随分とお強いのですな」
「はははっ、ヴァレルさんには敵いませんよ」
「将来は宮廷魔導師にでも成れそうですな」
不思議なんだが、何故皆んな私を宮廷魔導師なんぞにさせたいのか。そんな面倒な職に就きたくもないわ。オールラウンダーを目指してるのが悪いのだろうか?
◇◇◇◇◇
明朝、野営場所を出発し、夕焼けが見える頃、べナールの街に着いた。門を潜ってから気が付いた。
転移すれば、一瞬だった。
思わず地面に膝を突き、両手を突いて項垂れる。まさかこんな体勢を実際にするとは思ってもなかった。
どうしたの?だの、大丈夫?だの、お腹痛い?だの念話でルナマリアが心配しているが、この時の私には全く耳に入らなかった。
読んで頂いた方々に感謝を。




