第3章 その2 その輝きは魔性
ちょっと短いです。
その湖の辺りで水浴びをしていたのは女性だった。いや少女かな?
一糸纏わぬ姿で、手拭いを右手に持って身体を拭っている。その皮膚の表面はキラキラと輝いて七色に変わる。爬虫類の鱗を思わせるその肌は、けっしてゴツゴツとしたものではなくとても滑らかでしなやかそうだった。その芸術的身体をガン見していたのに気付いた…いや後に考えれば目の前まで近付いて触っているのだから誰でも気が付くだろう。
眼が何故かウルルンしている。眼も爬虫類っぽい。眼や髪は紅く、ベリーショート。少し天然パーマがかかった様な癖っ毛。顔はやんちゃそうだが、普通の人間と変わらない。首から下の身体全てに鱗状の紋様にも見える皮膚。頭に浮かんだのはリザードマンの女性か?と言う疑問だが、どうしてもその鱗状皮膚の綺麗さに他がどうでもよくなってくる。
「なんでこんな処に子供が一人でいるの?」
「なんでこんな処で水浴びしてるの?」
ほぼ同時に喋った為に二人して首を傾げる。頭の中が冷静になれたところで、この状況はちょっと不味い事に気付く。女性の真っ裸をガン見していただけではなく、脚とはいえ触っていたのだ。コレが前世ならセクハラどころの騒ぎではない。
「私の名はアルフと言います。町に行く途中で、綺麗に光るのが見えたのでつい近付いてしまって…ごめんなさい」
「私が綺麗?あ!えっと、イレースよ。貴方こそとっても可愛い森の妖精さんね」
森の妖精って…あぁ、エルフってことか。しっかし、この皮膚はどうなってんだ?鱗状に薄らと盛り上がりがあるのに、剥がれる様な雰囲気でもない。とても滑らかな肌触りで、キラキラと七色に光る。触り心地が良過ぎていつ迄でも撫でてられる。獣系のモフモフも良いが、コレもまた良いものだ。
「あ、あの、ね、とっても擽ったいからそろそろ止め、ぁ、て、欲しいんだけど」
はっ!いかん、なんて魔性の皮膚なんだ。気付かぬ内にまた触ってた。
「本当にごめんなさい。とっても魅力的(皮膚が)だったからつい触れたくなって」
「魅力的って…もう、オマセさんね」
語尾にハートが付きそうな返しだが、オマセさんってこの世界でも言うのか?まぁ、怒っているほどではないので良し(何が?)としよう。
『アルフさん!』
森の中で待機していたルナマリアから呼び掛けが。ん〜ゴブリンかな。二百メルくらいに…十四匹か。範囲広げてもそれ以上はいないから、偵察ってよりも食料調達部隊かな。一人でも問題ないけど、ルナマリアも参戦したいだろうし、二人でやるか。
『四匹頼む。先に私の光針で十匹仕留めるから』
『りょーかい』
魔法の準備をしていると、イレースさんが周りを気にしだした。
「妖精さん、森に何かいるわ。危ないから私の後ろでジッとしてて」
そう言ってそろりそろりと岸辺まで歩いて服を着始める。うーん、ゴブリンだからそこまで危険でもないんだけど。準備完了、もうちょいで射程距離だな。
「イレースさん、大丈夫だよ。ただのゴブリンだし」
「え?ただのって…いや結構いるわよ?」
「このくらいの数なら、問題ないから」
「このくらいって数わかるの?」
私にとって二十匹以内のゴブリンなら、ほぼ問題ないんだけどなぁ。距離七十メル。良し狙い撃つ!
「全部で十四匹だよ。『光針』」
答えつつ、頭上の光針十本をそれぞれ放つ。十匹倒して、完了。後は慌てた四匹をルナマリアが引き裂いて、はい終了。
「待って!今のなに?それに強いのがまだいるわ!油断…」
「ルナマリア、出ておいで」
慌てて勘違いしそうなんで、言葉を遮りルナマリアを呼んだ。てかイレースさん、そろそろ服を着てくれないだろうか。いや私も悪いのではあるけども。
『アルフさん、終わったよー。出来れば半分は残して欲しかったなぁ』
暴れ足りないのか、ちょっと不満気味に出て来たルナマリア。返り血も浴びてないのは流石だな。
読んで頂いた方々に感謝を。




