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第2章 その35 その世界の理(ことわり)

2章最後です。




『簒奪報酬』を調べてみると、


祝福ギフト 簒奪報酬


倒した相手の才能スキルを一つ、又はSP値を奪う事が出来る。



結構、アッサリとした説明文だが、これはチート過ぎないだろうか?まぁ、これがあれば才能の開花をしていないものであっても、得る事が出来るってのは非常に有難い。それに、これまでレベルを上げていて気付いたのが最大限に得られるであろうSP値数から鑑みて、一点集中位にしないと才能レベルを最大まで上げられない様なシステムだ。職業を得て若干は才能レベルを上げ易くはなるが、最大はやはり厳しい。

だが、この『簒奪報酬』があれば、オールマイティーに強い存在になれる可能性も出てくる…もっと、もっと早くこの祝福を得ていれば…母様や父様を死なせずに…

そんなタラレバを言っても仕方ない事は、解っているのだがそれでも悔しかった。雨は止んだ筈なのに、またも降ってくる。天に顔を向けて眼を瞑り、声にならない叫びを上げる。


暫く叫んでいた心が落ち着いて来た時に、私は柔らかく包まれているのに気が付いた。それはまるで母様に抱き締められているかの様に。ははっ、私はこんなにもマザコンだったのだろうか。亡くなった母に抱かれる想いを切望していたのかと。

段々と冷静になってきた。いや、これ、本当に抱き締められてる?それもどうも胸に包まれてるのは確実だ。眼を開けるが、眼の前に母の胸がある。は?いや、生き返る筈が…思わず拘束を振り解き、二、三歩後ろに下がる。其処にいたのは母様…いや全裸って…瓜二つだけど、頭に獣耳がある。思考が追いつかないせいで、思わず地の言葉が出てしまう。


「あんた、誰ね?」


母様?は、ほけっとした顔で私を見てくる。返事を待っている間に、冷静になれて眼に映る表示を確認すると私の周りにはルナマリアしか表示がない。ええと…。


「ルナマリア?」


目の前の母様?は、二度肯く。並列の思考達が、思考を一瞬止めてしまった。


「ルナマリアなん?」


再び肯く母様?。でもルナマリア?。状況を整理して、次の思考に移るまで随分と時間が掛かった様な気がする。


「ルナマリア、どうしてその…母様の姿になってるん?」

「…え?…」


どうやらルナマリア本人も気付いていなかった様で、手や身体を確かめ始める。見た目は母様だが、頭の上にある獣耳がある所為で滑稽に見えてしまい、思わず笑ってしまう。


「ぷっ…あっはっはっはは」


最初は不貞腐れながら此方を見ていた母様姿のルナマリアだったが、釣られて笑ってしまった様だ。一頻り笑い合った後、ルナマリアのステータスを確認すると、新しい祝福ギフトがありそれを確認すると、


月狼変現


自身の思った姿に変現する事が出来る。但し一度姿を変えると、他の姿になる事は出来ない。元の姿(月狼)には戻れる。



んー要は変身出来るけど、一度なっちゃうと元の姿以外になれませんよって事か。でも…。


「なぁ、ルナマリア。なんで母様の姿になったの?」

「え…ん〜、アルフさんがとっても辛そうで、どうしたらって考えてたらが、手になったから思わず抱き締めていた…みたいな?」

「…みたいなって。だったら、前世のルナマリアでも…」

「ええと、前世がどんな自分だったかなんて、憶えてないよ?一応、ニホン人なのは憶えてるけど」


ああぁ、そっか。転生する際に記憶を消されたんだよな。中途半端なのは…グランデ様がやらかした気がしないでもない。それにしても、慰めようとして母様って。いや、思い返せば、今のルナマリアで人の女性の姿は母様しか知らないから無理もない選択だった。あーでもこれはまた…色々と…orz



流石に裸のままって訳にはいかないので家に戻り、エミーの服をクローゼットから取り出して渡す。あー下着も渡さなきゃ駄目か。確かこの辺り…あったあった。純白とまではいかないが、白の下着。縫製がちょっと甘いなぁ、どうせなら何か刺繍でもすれば可愛くなるよなぁ、と下着を持ったまま眺めて思案していたらルナマリアが一言。


「エッチ!」


と言って私から下着を奪い、着けていく。純情な青少年の精神だったなら、赤くなってドギマギするのだろうが精神年齢五十歳を超える私には全く意味がない。前世では孫にも当たる様な子のオムツの替えや着替え、お風呂に入って身体や頭を洗ってやるなどしていた。今世でもほぼ、エミーと一緒にお風呂に入っていたのだ。今更、裸や下着などでどうこうと揺れる訳がない。

それよりも下着の縫製の甘さや刺繍が無い事に、考え込んでしまう。この世界ではまだ一般的ではないのかもしれない。今度、やってみよう。


ルナマリアの着替えも終わって…うん、母様そっくりだな。違いは獣耳と髪の色が銀髪な事だけだ。そういやまるでチョーカーの様に首にあるのは、首輪か。取り付けていた魔法鞄のポーチが妙なアクセントになっている。頭を下げる様に手招きをする。首から首輪を外してポーチも回収する。


「え?外しちゃうの?」


なんだか寂しげに問うてくるルナマリア。そんなに気に入ってたのかこの首輪。


「ん〜今度はもうちょっと可愛いものを作ってあげるから」


そう返すと肯きはするものの、なんだかしょんぼりとした顔。仕方ない、首輪だけもう一度付け直す。

まぁ、ポーチの魔法鞄としての設定が出来ないか試す方が重要だからなぁ。さりとて後にしておこう。


取り敢えず、家を出て今度は野盗の…ボルゾンだった死体からも、装備を外して魔法鞄に収納していく。この鎧、性能的に欲しいんだけど母様殺した奴が着てた事に忌避したいし、王国から盗んだとか言ってたから間違いなく返却だろう。これも面倒な種だ。

ボルゾンのカードを何気なく見る。いや、マジでよく殺せたと思う。ゲームの様な能力システムの世界だが、致命傷となる部分…首や心臓などは一撃必殺なのが不安感というか恐怖感というか、現実世界リアルなんだなと思わせてくれる。

眼に映る透過状の画面に『選択して下さい』と表示が。折角感慨深いものが押し寄せたのに、またもゲームっぽい感覚が。仕方なく意識を向けると、表示が変わり、ボルゾン達の名前や持っていた才能やSP値などの情報がズラリと並ぶ。

あれ?簒奪報酬は倒した後に獲得したんじゃないの?ん〜まぁ、良いか。その方がお得だしね(苦笑)。


◇◇


その後、ボルゾン達の死体と焼く為の薪を集めて火を灯す。盛大に燃えて天を焦がすかの様に立ち上がってくる時に、ルナマリアは当然のように私を胸の前に抱き抱え炎を眺める。何故かその『こうい』に安心してしまった。





選ぶ才能とか何にするんだとか聞こえそうですが、それは3章にて少しずつ小出しにします。

『チート?』って意味も添えないと(笑)


読んで頂いた方々に感謝を。

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