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第2章 その23 その追跡者への対応

元々考えてた筋書きから、少しずつ広がって進む物語。私が考えている以上にキャラが自己主張してきているって事でしょうか(苦笑)



真っ直ぐトナンの森の中にある、家に帰るとばかり思っていた。だが、来たはずの西門からではなく北門から街を出る様だ。


「父様、母様、何処か行くの?」

「あぁ。調味料が足りないからな」

「そうなのよ。だからザッカーの街へ行くのよ」


ザッカーって…雑貨の街ってオチじゃなく、ホロダント・ザッカー伯爵が領主を務める街なのだそうで。トナンの森だと、黒胡椒の石(詳細解析ではキノコの一種らしい)くらいしかなく、ザッカーの街は『赤玉』とか『白玉』、『黒薄水』とかあるらしい。


って、もしかして味噌と醤油じゃないの?それ。この世界に来て、元世界の…慣れ親しんだあの味を堪能出来るかもしれない。トナンの森だと黒胡椒くらいしかないので、オズが街へ行った際に多少の調味料、ソルトルや唐辛子(名前そのまま笑)などを買って来てくれるが、量が少ないので森で取れたキノコ類がある意味調味料の様に味わいを作っていたくらいだ。美味しいけど、物足りなさがちょっとね。


「色々とあった方が、料理の幅が広がるだろ?」

「ザッカーの街には美味しい食べ物や飲み物が多いのよ」


何だろう?美味しいものがあるってのも分からないではないが。妙な違和感を感じる。まぁ、食が広がるのは嬉しい限りだ。ザッカーの街が楽しみになって来た。


トナンの森を囲む、聳える山脈を左手(西側)に大きな大森林の脇を走る様に北上していく。途中でフォレストウルフや野良ゴブリンなどを排除しながらも長閑な旅だ。この大陸は春の大陸と呼ばれていて、一年中春めいた過ごし易い風と気温だ。季節替わりがないのに春の草花が常に咲き誇っており、何時枯れているのか休憩時に調べていたらオズ曰く「枯れると二日も経たずに土に還る」そうだ。この世界は自然のサイクルが早い。だからこそ綺麗に見える。その綺麗さが、逆に怖いものとも思える。


◇◇◇◇◇


道程も四日目の夕刻に差し掛かる頃、眼下にザッカーの街が見えて来た。ちょっと止めて貰い、ザッカーの街を眺める。べナールの街と同じく堅牢な城壁が弧の字(アルファベットでU)の様に聳え立っており、開けた北側の港には小さな小船が帰って来ているのが遠目でも分かる。西日が水面に薄白く光を返して漣めいていて、絵画の一枚を観ているかの様だ。


さて…ずっとこの四日間、背後に付いて来ていた光点がある。距離としては二キロル程離れている。此方が休憩や夜営をしても、近付いて抜かすこともなく離れる事もなく。オズもエミーも気付いていた…いやべナールの街中で既に気付いていた様子だった。眼に映る地図には、光点が二つ。移動時はずっとくっついているので追跡しているのは多分一人で、もう一つの光点はロドルと同じドゥバード等の移動用動物なのだろう。

オズやエミーに、目線と指差しで問うと悩んでいる様だった。ハッキリ言って距離が離れ過ぎている為、撃退しようにも逃げられる可能性が高い。それにこの距離で追跡をずっと続けている事が、相手の実力がかなりある事の証明でもある。

ザッカーの街で買い物して周ったら、紛れて追っ手を撒く方向か、あんまり使いたく…知られるのも…うん、でもそれが一番危険が少ないかもしれない。そう決めれば…。


『父様、母様、今日はザッカーの街で泊まるんでしょ。早く美味しい物食べたいなぁ』


ちょっと大きな声でそう告げると、二人とも眼を見張って私を見ていたが納得したのか「そうだな」「たくさん食べて良いからね」とか返して、ロドル達を促して馬車をザッカーの街へと走らせた。


城門で衛兵の検査を受けた際、おじさんは

「んなっ!ボウズなのかよ。えらい別嬪さんなボウズだな。此処は海の幸と酒がうめぇから、楽しんでくれ。あぁ、ボウズに酒は早かったな。がははは」

と笑い飛ばして通してくれた。海の幸とお酒…もしかして、味噌があるっぽいからお米もあるかも。いい加減、パンよりもお米が…ご飯が食べたくて仕方ない。というかあってくれ。お金が心許ないから、ギルドに行って道中の魔物の素材も売って資金にしようか。まぁ、オズやエミーに言えば、買ってくれるとは思うけれどね(笑)


陽が暮れてきた為、冒険者ギルドや買い物は明日行く事にして宿を探す事にした。オズやエミーはこの街にも何度も来ているので、泊まる宿も決まっている様で迷い無く進んでいく。ザッカーの街も規模としてはべナールの街と変わらない。ただ、白亜の建物が夕陽に染まり…前世で言えば、フィレンツェの街並みを見るかの様だ。今夜の宿は『月並み亭』と呼ばれる宿。宿名としてはちょっとどうかと思うが、ここの宿から見える海の夜景が月を反射して移動する様を意味しているらしい。一階は軽い酒場と食堂を兼ねているので、宿に泊まる客だけでなく仕事帰りの町の人も食べに来る程の人気店でもある。


「三名様だね、夕飯に朝食が付いて銀貨六枚だよ。帳簿に記入しておくれ。しっかし可愛い子エルフだねぇ」


大きな…かなり恰幅がある熊獣人の女将さんが傍らまで寄ってきて、片手で私の腰辺りを掴んで抱え上げてくる。この世界の女性は子供を抱き締めたり、抱えたりするのが好きなのだろうか。


「お世話になります」

「まぁ。こんな小さな子なのに、しっかり挨拶出来るなんてえらいねぇ」


あぁ、そうか。私を十歳の子だと思ってないのか。名前を書いたエミーに微笑まれながら、帳簿とペンを差し出してきたので受け取って名前を記入する。その様子に驚き、帳簿を見て更に驚く女将さん。


「名前まで書けるのかい!?それにとても綺麗な字じゃないか。お貴族様…って訳でもなさそうだし…」

「十歳になったので、登録して冒険者になりました」


カードを手から出して、見せると更に驚いていました。驚いた目が真ん丸として可愛い女将さんですね。







誤字脱字等ありましたら、ご報告頂けると幸いです。読んで頂いた方々に感謝を。


気付いたら10万字超えてました。一年でコレは…乾いた笑いしか出てこない(苦笑)


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