第2章 その22 その気障な行動
ゆっくり書く時間が無さ過ぎて、ストックが切れそう(-_-;)
セレナ様は私と手を繋ぎ、別邸の御屋敷へと皆んなで帰る事になった。
◇◇◇◇◇
別邸に戻ってから共にお昼とお茶をしても、セレナ様は名残惜しそうにして私の手を離さない。私としては登録や職授の儀は終わったので、後は街を少し散策してトナンの森に帰って小遣い稼ぎ…修行をしたいのだが。ゼパルジャンさんもセレナ様の様子に、流石に困った表情をして苦笑いといった感じだ。これは私がセレナ様を説得するしかないのだろう。セレナ様が握っている手に左手を重ねて、居住いを正し正面に相対する。
「セレナ様、私はこれから家に帰り冒険者として修行をしなければなりません。セレナ様も準備してオストーの街へ帰り、御両親に無事に儀を受け終えた事を御報告するのでしょう?大丈夫です。会おうと思えば、また会えるのです。ギルドを通して手紙のやり取りも出来るのです。私達は友達なのですから」
半泣きではあるが「そうですよね、お友達ですものね」と呟き納得してくれた。
セレナ様一同に見送られる形で屋敷を出ようとすると「絶対、手紙を書きますから」と大きく手を振りながら、ゼパルジャンさんや他の方々も深々とお辞儀をして送り出してくれた。
屋敷を少し離れたところで、エミーが「巧く誤魔化したわね。将来が怖いわ」と独り言の様に街並みを見ながら呟いた。うん、我ながら怖いと思ったよ。
◇◇◇◇◇
ロドル達がゆっくりと街中を駆けて行く。中心から離れた城壁近くの街並みに、ふと気になるお店…前世で言えば、小さな動物園の様な雰囲気を持つ場所を見つけた。凄く気になったので、オズに馬車を止めて貰う様に伝えた。
エミーと二人で、その場所を見る。サーカスで使う様な大きな天幕。その中に檻の様な…いや檻そのものがいくつもあった。檻の中から獣の様な声や、人のすすり泣く様な声、ガンガンと檻を叩いている音などが聴こえてくる。
「アルフ、此処は奴隷を売っているところよ。今の貴方には必要のな…」
「ちょっと見ておきたいんだ」
真剣な表情を返したせいか「ちょっとだけよ」と言って中を一緒に連れて歩いてくれた。中は不衛生な場所もあるのか、糞尿や血の臭いなどもしていて少し気持ち悪い。
「これは、ようこそいらっしゃいました。色んな獣人や魔物を取り扱っておりますよ。どんな奴隷を御所望ですか?」
気配は判らなかったが、視界の左上にある地図には近付いて来るのは判っていた。この人かなり強いかもしれない。不審に見ていると、自己紹介をしてきた。
「自己紹介が遅れました。私は奴隷商の、ラバンテと申します。人とエルフの子の組み合わせとは珍しいですな」
「ちょっと見させて下さい。必要な奴隷がいれば、声掛けしますから」
こう返しておけば、無碍に断る事もないだろう。
「ではごゆっくり。何かありましたら直ぐにお声掛けをして下さい」
奴隷商人のラバンテさん。物腰は柔らかく穏和なイメージだが、詳細解析で見るにレベルが40台。商人と契約士の職業持ちか。冒険者ではないのに、どこか凄味がある。
本当にたくさんの奴隷がいるものだと感心する。エルフは見掛けないが、人間やドワーフ、猫系獣人、翼を持った獣人などの人や、魔物は爬虫類系や…ガラス瓶の様な物に入った…スライムか?この世界では普通に成り立っている商売なのだろう。
気になるものが多分にあるが、それよりも眼に映る地図で見た弱い光点が気になったのだ。明滅が段々と早くなっている。思わず早足気味になってしまう。
ようやく辿り着くと…個人的な倫理観としては、こんな状態でも奴隷として売るのかと怒りというか憤りというか…を覚える。歳は、今の私と同じ十歳。男の子の方は右腕を、女の子の方は左腕と…両眼が見えないのか?目蓋を閉じたまま、座っている。火傷の痕も彼方此方にある様だ。
「お客様、余りお勧めはしませんよ。身体の欠損や火傷は火事で焼け出された為のもの。最低限の治療と食事は出しておりますが、この分ですと…」
「テメェ、何見てやがる!さっさと失せろ!」
「テオ兄さん…怒鳴るのは…止めてください」
兄妹なのか。それにしても最低限…未だこの世界の、仕組みやら何やら知らない事だらけだが、気持ちの良いものではない。それに妹の方は…。
エミーも気分が悪いと言わんばかりに、私の手を引きこの場から立ち去ろうとする。ラバンテさんも先頭を歩きながら「冒険者様ならまだ良い奴隷がおりますよ」と声掛けしながら、先導している。やるなら今しかない。
左手の平を妹の方へ向けて『中回復』を掛ける。独り善がりなのは分かっている。でも心が『生きて欲しい』と願わずにはいられなかった。
見えなくなる寸前、妹の方の顔色や血色が良くなったのが分かった。地図で見る光点も先程迄は激しく点滅していたが、普通に点灯する様になった。持ち直してくれた様だ。だが、これで彼女が幸せなのか、と訊かれたらそうでは無いと思う。
結局はウインドウショッピング…この世界では余りするべきではないとエミーに小言を言われながら、天幕を出る。オズと合流し馬車に乗り込もうとすると、ラバンテさんが見送りではなく。
「お客様、今後は勝手な事をされない様に願いますね」
「害を加えたんじゃないですし。ラバンテさんには特だったでしょ?」
「…敵わないお子様ですね。ちりょ…」
「勝手にやった事だよ」
そう返して、一枚の金貨をラバンテさんに投げる。右手で受け取った硬貨を見て、貼り付いた笑顔が少し崩れたのが窺える。
「それは迷惑料だよ。取っておいて」
オズに合図して馬車を発車して貰う。ラバンテさんは結局、此方を見送ってくれた形になった。
見えなくなると、エミーが肘で突ついてきた。
「アルフ、あなた判ってて彼処に行ったわね?」
「…うん。死にそうだったから、何だろうって思って」
「はぁ…。仕方ない子ね。それにしても…」
エミーは私を膝の上に抱えて、後ろから抱き締めてくる。大人しくしてると、暫くしてから漸く続きの言葉を言ってくる。
「気障な事をする様になったわね。これも登録の儀を終えたからかしら?」
どうなんだろうね。ただ、あの子を助けなきゃいけないって気がしただけだからね。それにしてもキザだったのは…うん、思うね。
◇◇◇◇◇
「全く…これでは、あの子が次に来るまで面倒を見ないといけないじゃないですか」
そこには、貼り付いた笑顔ではなく柔らかな笑顔になった男がいた。
誤字脱字等ありましたら、ご報告頂けると幸いです。読んで頂いた方々に感謝を。
やっと、メインヒロイン二人目が登場です。実際仲間になるのはまだ先ですが汗。




