第2章 その10 その使用人達の奇行
人物描写が難しいです。
時間的にはお昼頃だろうか。べナールの街に着いた。いや、正確には城壁前に並んでいる行列の最後尾だが。この分だと1時間は並ぶのだろうか。
白い城壁は5メル程の高さ。まるで砦壁の様になっていて、壁の上を衛兵が巡回している様だ。壁門の所は跳ね橋になっているから、夜は閉めるのかな。副都ってだけあって、守りはしっかりしている…レヴィさん程度か。
『ハックシュン!』と前の馬車から聞こえた。
前を進んでいた馬車から、ゼパルジャンさんが降りて来た。今、御者をやってるのはエミーと私。いや私はエミーの前に抱えられる様にしているのだから、ある意味ぬいぐるみと言っても過言ではない。
「貴族用の通用門から入りますので、そのまま付いて来て下さいますか?」
「宜しいのですか?我々は一介の冒険者ですけれど?」
「目的は明日の『登録の儀』で御座いましょう?なれば、同行する方がお互いに都合が宜しいかと」
「それは有難いですが…」
「それに早朝の御礼もせずでは、ヴォレシズ様に叱られてしまいます。別邸ではありますが、今宵は是非とも歓待をさせて頂けたらと」
エミーも困った様子でオズの方を見るが、オズも悩んでいる様だ。
「それにセレナお嬢様も、御一緒を望んでおられるでしょう。エミーレシア様、オズィール様、アルフ様、どうかお願い致します」
ここまで言われたら、同行するべきじゃないのかな。これで断るのも失礼だし。エミーにこっそりと「明日まででしょ。知らない人じゃないし」と言ったら、まるで仕方ないというかの様に私の頭を撫でて溜め息を吐く。
「分かりました。御厚意に甘えます」
並んでいる列を横目に見ながら、通用門を目指す。セレナ様の乗る馬車に旗の様なものが取付けられた。
「あれは貴族の紋章を、あ設えた旗よ。ヴォレシズ子爵は船を模した紋章なの」
ふむ、確かに船、帆船を模した紋章だ。オストーは港街らしいし、そういう事なのだろう。通用門の衛兵が止まれと前を進むセレナ様の馬車が止まる。いくつか会話したら「どうぞ、お通り下さい」と衛兵から声が掛かった。私達の馬車も連なって門を潜る。
街中は二階建てであろう建物が多いな。全体的に白や、薄い黄色の壁が多い。窓のガラス率の高さにちょっと驚いた。勿論、窓は二重になっていて、外側に木製の開き窓があって内側にはガラス製の窓がある。透明ではなく、若干、色付きって感じだろうか。文化レベルではまだ精製が難しいのかな。大量生産も難しいだろうと思う。メインの通りは土じゃなく、石畳になっている。馬が鳴らす蹄の音が、個人的に心地良い。
通りの幅も広く馬車の往来も余裕があり、更には所々で出店があっても問題ないレベルだ。人口も多いのか非常に活気がある。人種にも通常の人間が多いが、獣人も多い。エルフも偶に見掛ける。本当に多種多彩で、異世界に来たんだと今更ながらに実感してしまう。
様々な人を詳細解析で見てるが、一般の人は大体10レベル以内が殆ど。衛兵が20位まで。冒険者らしき人は千差万別。高い人は30後半位だった。エミーやオズ、ゼパルジャンさんがどれだけ強いのかってのが伺えるなぁ。『ハックシュン!』て前の馬車から聞こえた。
レヴィさん、貴女の事は思ってないからね(笑)。
メインの通りを暫く進むと込み入っていた人々が減る。終いには殆ど見掛けなくなってしまった。一軒の御屋敷の前で、前の馬車が止まるのに合わせて此方も止まる。ゼパルジャンさんが馬車から降りて、御者をレヴィさんに任せる。門を開けようとしたところで、中にいた使用人と思しき2人が屋敷から出て来る。何事か会話の後、門扉を開けて馬車を引き入れる。
これ別邸なの?という位の御屋敷。大きさは前世での小学校の校舎位ある。三階建てで、部屋数は20はありそうだ。勿論、別棟もあるし厩も立派。最早、本邸と言っても過言ではない豪邸だ。凄く場違いな気がして来た。エミーやオズが悩んでいたのは、こういう事だったのだろうか。そう考えれば納得だ。
馬車を厩へ…ロドル達もキョロキョロしてる。オズが一緒に厩へ行くというので、エミーや私は先に屋敷に使用人の案内で入る。中も豪華で廊下には、魔具の灯りがいくつもある。窓は透明度の高いもので厚みもある様だ。街中と見比べればどれだけ金持ちなんだよ。
応接間の様な所へ案内され、別の使用人が直ぐにやってくる。どうやら飲み物と菓子を持って来た様だ。どうぞと出されたのは、紅茶だろうか?琥珀色の液体。添えられた菓子は、クッキーかな?有り難く戴く。
アールグレイに近い味で、凄く落ち着く。菓子を摘むと、やはりクッキーだが余り甘くないし固い。口に頬張りながら、紅茶を飲む。うん食べ易くなった。舌鼓を打っていると、部屋の隅にいる使用人達の目線が気になった。なんか眼を輝かせていませんか?
あ、装備解除してないよね。バゼラードを剣帯から外し、革鎧を外してウエストバッグに仕舞う。あれ?なんか更に見る眼が怖いんだが。鼻息も荒いし。エミーに聞こうとしたら…。
「アルフ、あなたが可愛いのが原因よ。頭くらい撫でさせてあげれば?」
は?…私が可愛い?意味分からん。紅茶やクッキー頂いたし、お礼は言っておくか。
「紅茶やクッキー美味しいです。ありがとう御座います」
使用人達の眼が更に輝き、私の下まで来ると…頭を撫でたり肩や手足を触ってくる。
「こんなに小さいのに挨拶出来るなんて可愛い〜」
「髪も綺麗で、肌もやわやわで、癒される〜」
いや、恐い、怖いよ貴女達。
誤字脱字等ありましたら、ご報告頂けると幸いです。読んで頂いた方々に感謝を。
明日も18時更新予定です。




