第2章 その4 その母の静かな怒り
両親より逃げ出した私は、仕留めたゴブリン共の魔石や装備品回収に勤しむ。ゲームっぽい能力システムな世界だが、現実なのだと実感するのがこの時だ。ゲームの様に倒した魔物が直ぐに消えるなんて事もなく、アイテムなんかがドロップするなんて事もない。
前世の世界では、死体はそのまま…大抵は事件として発覚して回収するか。紛争地域とかは、他人の死体など気にしている場合ではないから、腐って異臭を撒き散らし不衛生極まりないなんて事もある。
だが、世界では他の魔物が食べたり自然に還る速度が早いから3日程で大抵骨だけになる為、異臭がするまでに至らないのはこの世界の救い(グランデ様の救い?)かも知れない。閑話休題。
要は自分で、必要なモノを回収しなければいけない訳だ。この世界での魔物の殆どが、魔石を体内に宿している。魔石の場所は、大体は心臓があるところや眉間辺りとある程度決まっている。ゴブリンは心臓の少し上辺りにある。ゴブリンも人型なので、気が引けるところもある。
ただこう言った魔物は、魔王の配下である魔人や使徒が創り出し、増やして人々や生物を滅して良質になった頃を見計らい魔石を回収、魔王がいる【ヴェーグ魔国】を全て覆う様に張られている【絶対防魔壁結界】を破る為の『力』にするらしい。ならば妨害する為にも我々が回収、有効利用するべきだと。それが冒険者ギルドの設立最初の理念らしい、とオズが語っていた。
平和な方が、私も悠々自適に過ごし易くなるというもの。まぁ、ぶっちゃけ売る事も出来るし、魔具等にも使えるからってのが前世での倫理観を緩めてる原因ではあるが。
魔石回収と共に、持っていたのであろう装備品もいくつか回収する。錆びたものや折れた剣、短槍は使えそう。革鎧も2つは傷付きも少ないので売れそうだ。ゴブリンリーダーの持っていた剣、シミターかな?有り難く戴いておこう。小円盾は『光の針』で穴が空いている。コレはいらないな。うん、そこそこな収穫だな。まぁ収穫っていっても、価値が分からない。これまで家の近くで狩を何度もして、魔石だけなら400個はあると思うが今回、初めて街へ行く。幾らくらいの価値なのか、ようやく調べられる。
詳細解析で魔石を見てもゴブリンの魔石(水色)とか、フォレストウルフの魔石(透明、濁りあり)とかくらいで価値までは分からない。まぁ、物の価値なんて人が勝手に決めるものだから仕方ないのだろう。
回収を終えて、オズとエミーの下へ戻る。30分程経ったから、多少は落ち着いただろう。
戻って見ると、丁度ロドルとペルニーも戻って来た。ちょっと仲良くなってない?仲良くなるのはいい事だけどね。あ、エミーが仁王立ちで私を見てる。こっちはちょっと怖い。
「…アルフ、怪我はない様ね」
「…はい。大丈夫です」
「はぁ…。まぁ、いいわ。そろそろ出発するから」
戻って来たロドルとペルニーを、オズが馬車に繋げて出発の準備を始めた。手伝おうかと思ったが、またエミーに抱えられて馬車に乗せられる。
「…収穫はあったの?」
「あ、うん、リーダーが持ってたシミターとか短槍くらいかな?」
「そう、良かったわね。ところで…」
ちょっと考え込んでから、徐ろにエミーは聞いてくる。
「アルフは、レベル幾つになっているか分かってるの?」
「…うん、分かるよ」
少し考えて答えた。そういや今回はレベル上がらなかったなぁ、と思いながら自分に詳細解析をする。
名前 アルフ・シーン
年齢 9歳
種族 ハーフエルフ
職業 なし
レベル 22
体力 27/28
魔力 29/61
筋力 13
知力 32
魅力 37 (装備品+3)
器用度 42
敏捷性 22 (装備品+1)
SP値 16
才能
剣術 Ⅰ 棒術 Ⅱ 弓術 Ⅰ 風魔法 Ⅰ 森林魔法 Ⅱ
光魔法 Ⅳ(レベル1より4にアップ、SP値28消費済)
料理 Ⅱ 作製 Ⅲ (衣類、装飾、道具)
特殊才能
魔力感知 念話 空間転移 Ⅷ (統合機構に含まれる)
祝福
悠々自適(能力創造、制限あり)
統合機構(天恵眼、地図作成、詳細解析、仲間管理、並列思考、臣従の誓い、才能初期化)
隷属契約 ルナマリア(幻獣)
やっぱり上がってないな。ふと仲間管理でルナマリアを見てもグレー表示のまま。元気にやってるかな。
「レベル22だね」
「…色々、ツッコミたいのだけど…やっぱり天才なのかなアルフは」
そう言って、頭を撫でてくる。笑顔なんだけど、複雑な表情をしてるエミー。ん?普通じゃないのか?このレベル…いやいや、待て。うっかり自分のレベルを言ってるじゃないか。それがマズイのか。そうだ、思い出した。登録の儀をしたら『自己鑑定』の才能を貰うんじゃないか。其れ迄、自分のステータスなんて、スクロール無しじゃ…。
「アルフ、自己鑑定出来るの?」
「……自己鑑定ではないけど…分かるよ。母様は47だよね?」
観念して、ある程度は正直になるしかないよなぁ。だから母様のレベルを敢えて言ってみる。これでどんな才能なのか判別(誤魔化す)出来るだろう。
「…そっか。鑑定系の才能を得たのね…。そうね、小さい頃から調べたりするの好きだったものね」
驚いた顔をしていたが、直ぐに納得の表情に変わった。まぁ知りたがりな性格は前世から変わらない…いや意識が、まんまだから変わらないか。
誤字脱字等ありましたら、ご報告頂けると幸いです。読んで頂いた方々に感謝を。
次回も来週土曜日の18時更新予定です。




